第22話 ブリザンド星系攻防戦
【銀河ユニオン歴】19年6月7日。この日、我が国のブリザント星系帝国侵攻部隊はついにブリザンド星系の隣の星系アガルスタを占領し、帝都ブリザナへ侵攻しようとしていた。
警戒していた相手の巨大移動要塞は、首都星の付近で待機している。
私なら砲撃の自由が効く、恒星系外に配置するが、向こうさんは、そうは考えてなかったらしい。
3億隻の艦隊を星系全体に分散配置しつつ、攻撃のタイミングを計っていた。
向こうの移動要塞が動き出した時点で、その侵攻方向の反対側から回り込んでいた部隊を前進させる。
こちらの部隊を分散配置したのは要塞砲の餌食になるのを防ぐためだ。
現行のペルセウスⅤ級とどちらが射程距離が長いのかわからない為、旗艦やペルセウス級は星系外で生産をしつつ待機中だ。
敵の部隊は巨大要塞とともにこちらの主力部隊の展開する方向へ加速しながら前進てきている。
ペルセウス級より大きな敵要塞は威容を誇っている。
ある程度前進した時点で、要塞の一部分が開口し、その30kmはあるだろう穴をこちらの主力艦隊のいる場所へ向けた。
「予測射線から艦を離脱させろ!!」
マイエルの怒鳴り声が響いたが、向こうで指揮を執っているメセナからは、
『間に合いません。全艦隊を最大戦速で突入させます。予測される被害は三割になるかと。』
淡々と返答が返ってきた。
こちちらの艦隊が加速しはじめたころ、巨大要塞の砲身と思われる穴に光が輝きだす。
こちらの艦艇は加速しつつ砲撃を開始。
敵要塞の表面に爆発が生じる。
そして一分もしないうちに、画面が白濁する。猛烈な荷電粒子が放たれ、我が軍の艦艇をその光の中で消し飛ばしていく。
『被害は二割以下です。損傷を受けた艦艇は主力艦隊全体の5割を下回っています。誤差範囲です。背後にむかっていた別動隊が敵背面より攻撃を開始します。』
壮絶な砲撃戦となった。
こちらの強襲突撃艦が砲撃をしながら敵艦隊に突入していく。その背後にかくれるようにして、生き残った航宙母艦が強襲降下艇や強襲移乗艇を射出していく。
どうやら敵要塞の占領をメセナは考えているらしい。
敵の艦隊は攻撃力こそはあるが、防御性能が低いようだ。こちらの艦の砲撃を一度でもうけると大き目の戦艦でもほぼ撃沈されている。
強襲艦部隊が敵の前線部隊を食い破り敵要塞の正面に出る。
要塞からは防空用のタレットから猛烈な対空砲火が撃たれるが、そんななかでも強襲艦部隊は突入していく。
途中で何隻かこちらの航宙母艦に攻撃があたって撃沈される。巡洋艦や戦艦が相手の惑星表面のタレットに攻撃を当てて沈黙させていく。
そして生き残った強襲降下艦や強襲移乗艦が敵要塞にとりつき、運んでいたアンドロイド兵や攻撃ドローンを中へ送り込む。
乱戦になった為か、敵要塞の主砲は再砲撃をしてくる雰囲気はないが、こういうときのお約束で、味方事砲撃するなんてことがあり得る。
『タルタロス級の分離体を突入させます。』
メセナは戦闘の締めに入るつもりのようだ。ペルセウスV級の一部が敵要塞後背の居住惑星の衛星軌道に接舷し、降下部隊を送り込んでいる。
地上からも激しい対空砲火が加えられているが、こちらも負けじと艦砲射撃を行なっている。
そして、予想の通り、タルタロス級の分離体が多数向かってきている場所に、敵要塞は球体を回転させて砲門を向けた。
そして自分たちの味方事まとめて砲撃で吹き飛ばした。
予測はしていたが、手段をえらばないやつらだなと正直おもった。
この間も敵要塞には次から次へと降下部隊が向かっている。大型制圧ドローンなども名部に侵入し、敵部隊をレーザー砲撃で薙ぎ払ったりしている。
相手側は隔壁を下して、区画ごと閉鎖するなどの対応をしているが、こちらのドローンの砲撃でその隔壁は破壊されている。
こういうときに人型戦闘機械がああれば楽なのかなと一瞬思わなくもないが、現実、人型大型戦闘ロボットを作ることに合理性はない。もし依頼すればクラフトAIのドュエルグ達に呆れられそうだ。ロマン好きのラグナはのってくれるかもしれないが・・。
この日の戦いで投入戦力の四割を消耗したが、無事に星系の制圧には成功。
要塞は鹵獲したが、研究用いがいの意味はなさそうだった。
どうも宇宙における砲撃戦に向こうは慣れていない様子だ。命令系統に齟齬が多すぎる気がした。
遠距離砲撃で削るだけ削ってから、艦隊を突入させるのが通常の作戦セオリーだ。
しかし彼らは要塞砲を一発撃った後、艦隊戦をすぐに仕掛けてきている。私なら要塞を後退させて、相手の進路を限定し、そこにさらに要塞主砲を叩きこむ。
なんにせよ相手の首都星を落とした意義は大きい。
相手国の皇族を捕縛したが、即日公開処刑に処した。選帝侯家の人間も捕縛した人員はすべて処刑した。
現地部隊への補充を急がせた。
ブリザンド星系帝国の領有星域はあと121位残っている。その各地へ軍を派遣して、現地を掌握し無ければならない。
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