ぽかぽかするんだ★★
〇みんなと一緒だから笑えるよ。みんなと一緒だから話せるよ。みんなと一緒だから学校に通えるよ。僕が考えてること、大体誰かが言ってくれるよ。きっと僕らは深いところで互いに通じ合っているんだ!
会話の情報量はゼロでいい。上機嫌な声音を、相槌を、好意的な目配せを交換することが目的なのだから。こうやって僕らはたくさんの友情を結んできた。昨日の休み時間や放課後に何を話したかなんて憶えていないけど、心満たされたことだけは事実だ。
ああ、思い出したよ。佐伯のことを話したんだった。あいつがいつも一人でいるから心配して声をかけてあげたのに無視されたって話したら、みんなが頷いてくれた。無口で、無表情で、何考えてるかわからなくて怖い。
「たぶんあいつは俺らのこと見下してるんだよ」
誰かが推測を述べると、すぐさま賛同が得られた。
「絶対そうだ。でないと、これまでのことの説明がつかない」
「くそったれ」
「ふざけやがって」
「明日後悔させてやる」
そういうことになった。
●出来の悪いオーディオブックみたいだ。教科書を読めば五分で理解できる内容を五十分かけて授業するなんて生徒を馬鹿にしているとしか思えない。こんな仕事に誇りを持ってる教師がいると聞いた日には自主退学を検討した。
友情は蜂蜜味の泥。舌に乗せれば美味しいけど、上手く消化できなくて、有害ですらある。つまりそういうこと。
君がこのアフォリズムに納得しないなら卑近な例を挙げよう。君の友人とやらは君の言動に時間が許す限り(君が許さずとも)注釈をつける。赤点ギリギリだな、とか。トイレ長かったな、とか。テストの点数も便座に腰かけていた時間も本人は知っているはずなのに。彼らは心配や慰めを口実に声帯を振動させる権利を得ようとする。何故かは知らない。自分の声に酔ってるのかもね。そうだとすれば彼らにとっては教室も歩道も公園も全部カラオケボックスみたいなものだ。もっとひどい奴はシンガーソングライター気取り。歌詞にこだわりがなければ、ボカロ曲よろしく誰かの劣等感をコピペするのがお手軽だ。海賊版の怒りと外注品の悲しみのごった煮を創作物と呼ぶことに躊躇はない。こんな連中と付き合うことは推奨しかねるよ。どうせ聞き入れてもらえないだろうけど。
母が半世紀を腐らせた女なら、父はその臭いから逃げ失せた男。その二人から生まれた私が取るべき態度は何だ。傲慢か謙虚かそれ以外か。仕方ない、君が決めてくれ。そしたら、己が胸に銃口を向け、世界を半分よこせ、と
靴底の厚さが物を言う
冷たい底を裸足で歩く
もしも生まれ変わるなら辞世の句も詠めない馬鹿になりたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます