第217話
アオイさんとアカネに早速連絡を入れると見せたいモノがあるから来てほしいと言われたので、ネネさんのスタジオを借りて新曲の練習をしようとしていたさおりたちとはそこで別れることになった。
「用事が早く終わったら俺も練習に行くかも」
「うん、分かった」
「無理はしないで」
「タケトくん、早く帰ってきてね」
「待ってるよ〜」
「……私はバイトがあるので失礼します」
前唐さんはさおりたちとスタジオに行きたそうにしていたけど、バイトの時間が迫っていたので泣く泣くバイトに向かって行った。
再びテレポートでアオイさんの会社に戻ってくると、
「タケトくんおかえりなさい」
「おかえりタケトくん」
「ただいま?」
テレポート許可をもらっている部屋の前で待ってくれていたアオイさんとアカネが近づいてくる。
「じゃ、行くよ」
「どこに行くんですか?」
「いいとこ」
「いいとこ?」
行ってからのお楽しみと言うので不思議に思いながらもアオイさんとアカネに手を引かれながら会社の外へ出たんだけど、そこにはアカネの補佐役の西部京子さんと、アオイさんの秘書をしている西園雅美さんが高そうな車を準備して待機していた。
「こちらにどうぞ」
「あ、すみません、ありがとうございます」
アオイさんの秘書さんが車のドアを開けてくれたのでそこに乗り込むと、アオイさんとアカネが両隣に乗り込んでくる。
「ふふ」
「むふ」
車は大きいのになんか狭い。言えないけど。ミルさんは空気をよんで前の座席に普通に座ったようだ。
そして、車で移動すること30分くらい? 連れて来られた先はサイコロバトル大会の会場だった。
「ここって……たしか建設中だったはずじゃ……」
「ふふ。まだ細かいところの作業が残っているのよ」
一瞬完成していたのかと勘違いしてしまったほど立派なドーム状の建物がいま目の前にある。
「さあ、中に入りましょう」
「タケトくん、行こ」
「は、はい」
中に入ると野球の球場のようになっていて中央辺りにバトルステージがあり両サイドにコックピットのようモノが4つずつ目に入る。
今回は4人で1チームでの参加になっているから4対4のバトルもありえるってことだろうか。
——ん?
よく見たら、バトルステージの周囲を透明なパネルがドーム状に覆っているけど、アオイさんの会社で見ていたバトルステージとはまったく違う。
「あれが何か分かる?」
アオイさんとアカネがどこか楽しげに俺の事を見てくる。
「俺にはさっぱりです」
「ふふ。あれは……」
ドヤ顔のアカネの話では、透明パネルでバトルステージを覆うことで、小さなサイコロを大きく見せるだけでなく、登録しているビーム兵器や実弾兵器などを再現し、実際に目の前で戦っているかのような、迫力ある演出(爆発などのエフェクト)ができるようになったそうだ。
普通はVRゴーグルを通して見ないとビームなのどの演出は見えないからね。こんなことになっていたのか。
そして、天井からぶら下がっているように見える大型モニター(4面ある)。
あれもパイロット(操縦者のコックピット席)を映したり、いい動きをするサイコロをアップにしたり、クリーンヒットした場合などをVTRで流したり、色々と使い方を考えているそうだ。
「すごい」
「どうしても迫力に欠けるからね、これくらいはしないと」
当初は、観客みんなにVRゴーグルを嵌めてもらうつもりだったようだけど、それだと閉塞感があり窮屈に感じてしまう。
他にも、友人や家族と仲良く観戦できない可能性など色々な問題が上がってきたため、このような形に落ち着いたそうだ。
初めは物珍しくて観戦に来てくれた人も次回の大会から観戦に来てくれなくなっては困るともね。
そういった理由から工期が大幅に延びていたそうだ。
「だからタケトくんの話してくれた演出は、登録さえしてしまえば、すべて実現可能なんだよね」
「うん。数日待ってくれればできる」
——なんと!?
正直なところ、時間もないし間に合わないと思っていただけに驚きを隠せない。
「でも、それを前座で全部やっちゃうと主役を全部タケトくんに持って行かれそうで怖いんだよね」
「あ〜それはあるかも」
それから開発に関わっているスタッフさんが集まり、イメージの掴めないスタッフさんに合わせて、俺が歌いながらブジンを飛ばしている姿をみせれば、歌いながら音符のビームを撃ち出し、ハート型や星型のバルーン(映像)を、撃ち抜くとバトルステージにいっぱいに♡や★、♪などがステージの上から降り注ぐような演出だけでもやってみようという話になった。
みんな俺のファンだったから初めから前向きで話もスムーズ。
でも、迷惑をかけるお詫びに何か準備していた方がいいかな? いや、それよりも歌う曲を完璧に仕上げておく方が先だね。
なるべく早くプログラムを組み準備が出来次第連絡をくれるって話になったし。
「お忙しい中、無理なお願いをしてしまいすみませんでした。
俺ができることならなんでも協力しますので、どうかよろしくお願い致します」
思ったよりも皆さんの時間をとってしまい申し訳なかったので、帰り際にお礼を伝えてから、さおりたちに連絡を入れてからその日は自宅に帰った。
それでも思ったような演出が出来そうで興奮していた俺は、その日、なかなか寝付けなかった。
後日、なぜかアオイさんからキチンとしたブレスレットを手渡されることになるとは思わなかったけどね。
※短くてすみません。次回から章を変えてサイコロバトル大会に入りたいと思いますm(__)m
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