第206話
【206話の登場人物(名前だけ含む)】
○剛田武人(主人公)
高校2年生の16歳
武装女子ボーカル(タケト)
保護官1人
妻5人、婚約者5人、婚約者仮(仮)2人
子ども1人(花音)
◯野原香織(カオリ)
野原建設の役員
タケトの妻
妊娠中(9月予定)
26歳
◯松川音々(ネネさん)
サウンド・マツの役員
香織とは学生の頃からの親友
タケトの妻
妊娠中(10月予定)
26歳
◯松川花音(花音ちゃん)
ネネの娘
タケトの義理の娘
2歳
◯面堂未留(ミルさん)
施設育ち
S級保護官
タケトの妻
オッドアイ
26歳
◯中山綾子(アヤさん)
武装女子会
武装女子兼タケトのマネージャー
沢風和也の元マネージャー
タケトの妻
25歳
◯ふぉーいあーず
マサカ社には今力を入れて売り出している48人で構成されたアイドルグループ。
年齢は13歳から18歳、4人ずつで構成された12のアイドルグループ、元気系、可愛い系、クール系、清楚系、ポップ系、セクシー系、個性派系、癒し系、実力派系、お嬢様系、お笑い系、ギャル系に分かれている。
各自でネッチューブ配信もしている。
『ジャニュアリー』の、ゆう、あい、みい、しぃ。
『フェブラリー』の、いっこ、にこ、みこ、よーこ。
『マーチ』の、あか、あお、みどり、きい。
『エイプリル』の、はる、なつ、あき、ふゆ。
『メイ』の、あさ、ひる、よる、ぱん。
『ジューン』の、あいす、らいす、ないす、おいす。
『ジュライ』の、かか、きき、くく、ここ。
『オーガスト』の、さー、ぷー、らい、ずー。
『セプテンバー』の、あれ、それ、これ、どれ。
『オクトーバー』の、りく。そら。うみ。もり。
『ノーベンバー』の、ひー。すい。ふう。つっち。
『ディッセンバー』の、あーこ。りーこ。がーこ。とーこ。
◯一之宮チカ(一之宮先輩)
元生徒会長
大学1年生 18歳
実家がデザイン関係の会社
サーヤ
—————————————————
————
——
「編集されて音(劇伴)が入るとこうなるのか、すごいな。
自分の演技でも普通に見れるレベルになってるもん」
「「「「「……」」」」」
俺が出演したドラマ『桐の学園II』が放送されているんだけど、正直ホッとしている。
俺の演技がダメ過ぎて番組の評価を落とさないか不安があったのだ。
——? しかし、なんだ。あんなに楽しみにしてくれていたみんなの反応が薄いと気になるんだけど……
花音ちゃんはおやすみしているからいないけど、香織もネネさんもミカ先生もアヤさんも、ミルさんはいつもどおりだけど、みんな無言で食い入るようにテレビ画面を見ている。
2週間前に撮影したドラマが、土日の二夜連続で放送されると連絡を受けてからというもの、数日前から放送されるこの日を家族みんなで楽しみにしてくれていた。
俺はというと、歌番組が放送される時とは違った緊張感があり、落ち着かない日々だったけど、なるべく考えないようにしていた。
サイコロ部に顔を出したり、先輩に声をかけられてサイキックスポーツ部に顔を出したり(たまにお呼ばれする)、武装女子会に顔を出したり、葵さんの会社でサイコロ大会の練習(サイコロを飛行させながら歌う)をしたり、鮎川店長に呼ばれて次のシーズン(秋物)のデザインについて話し合ったり、やる事は山のようにあったからね。
その中には中間テストもあって、涙がでそうになったね。
女子生徒と違って学年順位は出ないし成績表もないから、受ける必要はないんだけど、俺は毎回受けていた。
この学校に男性が俺1人だった頃、1人だけテストを受けないというのが嫌だったんだ。
それでテストを受けたけど、ちなみに男子で今回のテストを受けたのは俺だけ。
1年男子や3年の先輩は知らないけど、タケヒトくんとサンちゃんは朝からサイコロ部の部室で過ごしていてとても楽しそうだった。
今回は忙しくて時間がなかったからタケヒトくんとサンちゃんからサイコロ部に居ようと誘われた時には、その誘惑に負けそうになったけど、一応、一夜漬けではあるがテスト勉強はしていたし、無駄にしたくなかったのだ。
ミカ先生は気にしなくても大丈夫だと言ってくれるけど、夫として情けない点数は取りたくないからね……
手応えはあったけどクラスの平均点くらいは取れているといいな。
『陽子っ!』
『月影さんっ』
——あ、月影さんが俺を庇い大怪我をするシーンだ。
「俺ってほとんどアドリブなんだけど、どうかな?」
感想がすごく気になるから何度かみんなに尋ねてみるんだけど、こくこく頷いてくれるのはいいけど、それだけ。
すぐに視線をテレビ画面の方を向けてしまう。
まあ、しょうがないと言えばしょうがないんだけどね。
俺がドラマに出ると分かってから家族みんなで『桐の学園II』と『ドクターコトリ』の最新話まで見れる、ネットテレビ『ペアァネットTV(見逃したテレビ番組が何度でも見れる)』と契約してまで見ていたからね。
そして、その面白さに見事にハマった。
『くっ。まだだ。まだ倒れるわけには……いかないっ!』
「おおっ」
俺の覚醒シーンだ。この時の俺は仁王立ちの状態で足下から吹き上がってくる風をしばらく受け続けるだけでオッケーをもらったんだけど、なるほど。こうなるのか。
ドラマの俺は上手く編集されていて、覚醒者っぽく明るめの赤に染まった髪を逆立て(吹き上げる風の影響)、プラズマっぽい何かを全身に纏っている。
全身がバチバチしているから、それっぽくてカッコい。
そのシーンは妻たちにもとても好評で風疹をワンパンした時なんかは自分のことのように喜び、すごく盛り上がっていた。
ミルさんが念動を使い綺麗な髪を逆立て満足そうに笑みを浮かべていた姿にはちょっと笑ってしまったけど、よく考えたら、念動で自分の髪を動かすって普通はできないんだね。どうやったんだろう。後で聞いてみよう。
その後、ドラマの中の俺は覚醒した反動で倒れて、シーンが月影さんと日向さんに移るんだけど、番組が終わると同時に妻たちから心配され、抱きつかれてしまった。
ドラマの中の話なのに、あまりにも集中して見ていたからつい心配になったらしい。
「あはは、でも心配してくれてありがとう」
それからドラマについてあれこれ聞こうと思っていたんだけど、
ピロン♪
ピロン♪
ピロン♪
・
・
・
ドラマが終了してからというもの俺のスマホにメッセージが届いたことを知らせる通知音が鳴り続けていたのだ。
「えっと……」
歌番組が放送された時もこんなことがあったが、あの時はすぐに止まったからあまり気にしなかったのだけど、
——あれ?
今回は通知音がまだ鳴り止まない。不思議に思いつつも、MAINアプリを開いて見ると、
さおり『タケトくんは大丈夫だよね?』
つくね『タケトくん倒れてない?』
さちこ『入院しないよね?』
ななこ『心配。すぐに会いたい』
アカネ『すぐに返信して』
葵さん『タケトくん。最近無理していたように見えたけど、倒れてない?』
晶先輩『タケトくん大丈夫だよね? 元気だよね?』
さおりたちや、アカネに葵さん、晶先輩、それに、ふぉいあーずのみんなに、今までに知り合ったネッチューバーのみなさん、さらには学校のみんなからも俺が倒れていないかと、心配するメッセージが届いた。
ドラマの影響力ってすごい。
そういえば一之宮先輩たちからも入っていて『ドラマ見たらタケトくんの顔が見たくなった』といった他の人たちとは違ったメッセージでちょっと笑った。
その後すべてのメッセージに苦労しながらもどうにか返信し終えたのだが、その次の日の日曜日に『ドクターコトリ』が放送されてからも同じようなことになり俺は涙を流した。
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