第198話

【198話の登場人物(名前だけを含む)】


○剛田武人(主人公)

 高校2年生の16歳

 武装女子ボーカル(タケト)

 保護官1人

 妻5人、婚約者5人、婚約者仮(仮)2人

 子ども1人(花音)


 念力量 高++

 念動1+++++

 念体1++

 念出1

 特殊

 テレポート10++

 テレパス10+

 ヒーリング10++

 リラクセーション10++

 ※+は熟練度を表しています。


○肥田竹人(タケヒトくん)

 高校2年生17歳

 タケトの大ファンで髪型や服装を真似る

 婚約者(仮)肥田晶の弟

 保護官1人

 妻4人(堤先生を含む)、子ども3人


 念力量 低

 念動1

 念体1

 念出1

 特殊

 未鑑定


○尾根井三蔵(サンちゃん)

 高校2年17歳

 理由があり女装している

 保護官1人

 妻?人、子ども?人


 念力量 低

 念動1

 念体2

 念出1

 特殊

 未鑑定


○東条麗香(東条先輩)

 高校3年生17歳

 東条家、現当主の孫

 沢風和也の元婚約者

 タケトに興味があり転校してきた。

 サーヤ(会員)


○海東加恵(海東先輩)

 高校3年生17歳

 東条麗香のお付き兼護衛

 サーヤ(会員)


○横似大(ヒロシくん)

 高校1年生16歳

 母親が元レディース総長

 母親の元チームメンバーと結婚

 結婚後茶髪おデブ体型からぽっちゃり体型になっている

 保護官1人、妻15人


 念力量 低

 念動1

 念体1

 念出1

 特殊

 未鑑定


○芽立泰我(タイガくん)

 高校1年生15歳

 金髪おデブ体型

 保護官1人

 妻0人


 念力量 低

 念動1

 念体1

 念出1

 特殊

 未鑑定


○薄井影子(うすいえいこ)先生

 事務室の先生33歳、

 既婚者だが別居している。

 娘を授かったあと夫との交流は無し

 娘が1人

 サイコロ部の顧問


○菊野紀美(菊野さん)

 高校2年生16歳

 新聞部、副部長

 サーヤ(会員)

 

○春花花子(春花会長)

 高校3年生18歳

 生徒会長

 サーヤ(会員)


○西条葵(アオイさん)

 西条グループ役員

 一部子会社の社長

 大学生、22歳

 現当主の長女

 タケトの婚約者(仮)

 

—————————————————

————

——


「タケトくん、サイコロ部はここですよ」


 サイコロ部は使える教室の関係上、3年生の校舎にあると菊野さんからその場所を聞いてきたけど、初めて行く場所なので正直自信はない。


 しかし、運が良かったというか、タイミングが良かったというか、3年生の校舎に入ってすぐに春花会長から声をかけられたんだ。


 事情を話すと、俺たちが3年生の校舎にいたことに納得して、サイコロ部まで案内してくれることになったんだ。


 でも、放課後とはいえ男子生徒が3人も並んで歩けば普通に目立つ。


 すれ違う先輩方から声をかけられるから、軽く頭を下げたり手を振ったりして応えるけど、サンちゃんはツンとしていて相変わらずの反応だ。

 タケヒトくんは……ちょっとだけ頷いて応えていたように思える。


 いつからかな、気づいた時にはタケヒトくんもブレスレットをしていた。男性にしては珍しく数少ない俺のブレスレット仲間だね。

 

 そんな感じで春花会長の後を着いていけば、そう時間をかけずにサイコロ部が活動している教室に到着した。


「春花会長助かりました。ありがとうございます」


「いいのいいの。気にしないで」


 ニコッと笑い俺の肩をぽんぽんと優しくタッチしてくる春花会長。

 春花会長はたぶん、スキンシップが多いタイプなんだと思う。


 今は慣れたけど、春花会長に挨拶をすれば、当然のように俺の左手をとり手の甲に口づけをしてくる変わっている人なんだよね。


 先ほども当たり前のように左手の甲に口づけをしてきて、それを見ていたタケヒトくんとサンちゃんは驚きはしたものの一瞬のことで、すぐにサンちゃんが怒り、タケヒトくんは白い目を向けていた。


 それでも、春花会長はまったく気にせずにっこにこ。

 ふんわりとした雰囲気の会長だけど実際はメンタルがとてつもなく強い人でもあるようだね。


「それじゃあ入りましょうか」


 そんな春花会長は、そう言うや否や、教室のドアに向かってノックをしたかと思えば、すぐにドアを開けた。


 ——え?


 案内だけのはずなのにどういうこと? 俺がそんなことを考えている間にも、教室の中には4人の男女がいたが、4人の視線がドアを開けた春花会長に集まっていた。


 とはいえ男子生徒の2人は、こちらを向いたのは一瞬だけで、すぐに目の前にあるサイコロへと向き直り、楽しそうに動かし始める。


「おおサイコロだ」

「まあ」


 それをキラキラした瞳で眺めるタケヒトくんとサンちゃん。サンちゃんも興味があったのか……


「あら? 春花会長さんではございませんか。ごきげんよう。ウチのサイコロ部に何か御用でもありまして?」


「おほほ。これはこれは東条部長さん、ごきげんよう。今日は見学希望のお客様をお連れしてあげましたのよ」


 東条先輩に合わせてなのか、おかしなお嬢様言葉で話す春花会長。というか、もしかして2人は仲が悪いの?


「はて? 見学希望のお客様とは、あなたの息がかかった、ぇ、タケトさ!? こほん、これは剛田様。サイコロ部にようこそいらっしゃいました。

 何もないところですが、こちらにお掛けになってゆっくりとご覧ください。皆さまもそちらでご覧にならずに、こちらへどうぞ。カエ皆さまを中へお通しして」


「はい。剛田様、肥田様、尾根井様どうぞこちらへ」


 海東先輩の案内で中に通してもらうが、中に入ってびっくり。


「え!?」

「すごい!」

「これはすごいわねん」


 お洒落なテーブルや質の良さそうなソファーがある寛ぎスペースに、小さいけどサイコロ用の闘技場っぽい囲いのあるステージがあれば、障害物競争なんかが出来そうなレース場もある。


 もちろんアオイさんのところのように本格的な物じゃないけど、学校の部活で使うには充分な設備だといえる。


 今も1年の男子生徒がサイコロを操っているけど、そこがサイコロに慣れるための練習スペースらしく、VRゴーグルを使用せずにサイコロを動かしている。


「東条部長さん。できたばかりのサイコロ部に割く予算が少なくて、大変申し訳ないと思っていますが、他の部の手前、少しは自重していただきたいのですが」


「そうしたいのは山々ですが、わたくしにもサイコロ部を立ち上げた以上、サイコロ部が正常に活動できるよう整える義務がございますの」


「そうかもしれませんが……では、ここにあるソファーやテーブルは必要ありますか? 少なくとも、他の部にこのようなソファーやテーブルはありませんよ。学校の机や椅子で充分だったはずです」


「そこは価値観の違いですわね。わたくしとしましては……」


 うーん。春花会長と東条先輩がこそこそ話をしているけど、2人が俺のすぐ近くに座っているから聞こえちゃうんだよね。


 ここは、聞こえていないフリしてた方がいいよね。


 しかし、このソファーはすごく座り心地がいいな、さすが東条先輩が揃えているだけある。

 とはいえ、ソファーに座っているのは俺と東条先輩と春花会長だけなんだよね。


 一年生の男子(ヒロシくんとタイガくんと言うらしい)だけでなく、タケヒトくんとサンちゃんも海東先輩から教えてもらいながら、楽しそうにサイコロを操作している。


 ここにある4体はミルさんが扱うサイコロと同じタイプだけど、楽しそうに操作している4人を見ていると、俺もサイコロに触りたくなってきた。


 でも、全部で4体しかないから無理だよな……


——ぇ!?


 あの2体はなんだ? プラモデルじゃないよな……サイコロっぽいけどサイコロじゃない? 少しゴツいけど、もしてかして俺の知らない間にアオイさんたちが新機体(新しいモデル)を開発していたとか? いや、それはないか……


 そんなことを考えていると、


「剛田様、こちらが気になるのですか?」


 俺が見ていたサイコロらしきものを持った東条先輩が俺の隣に腰を下ろす。


「そう、ですね。似てますけど、サイコロとは違うんですか?」


「ふふ。これ我が社(東条グループ)が開発しているサイコロなんですよ。試作機ですけどね」


 正確には東条グループが開発したサイコロはサイコロ・T(東条)。

 西条グループが開発したサイコロはサイコロ・S(西条)。

 今後、俺のサイコロはサイコロ・Sブジンとなるっぽいね。


「そうなんですか?」


「ええ。まだここだけの話にしてほしいのですが……」


 サイコロは間違いなくサイキックスポーツの一つとして認められるとのこと。なぜそんなことが分かるのだろうと思うが、東条家くらい大きなグループともなれば、色々なところに手や足だけでなく目や耳だってあるに違いない。


 そんなサイコロの開発は西条家が1番進んでいたらしいのだけど、今回を機に、東条家だけではなく、南条家や北条家の参入も決まっているのだとか。

 東条先輩は濁して言うけど、どうも、西条家が技術提供する形で、かなり大きなお金が動いているっぽいよ。

 正直聞きたくない話だ。うっかり漏らしてしまったらどうするんですか。


「そうなんですか。でもうれしいですね。これで今のサイキックスポーツも注目されるといいんですけどね」


「そうですわね」


 でも、なぜ4家が技術提供を受けてまで、サイコロの開発に力を入れ始めたかというと、俺の勝手な憶測だけど、それはたぶんサイコロで利用されている念力エネルギーだろう。


 念力エネルギーは出力不足で効率が悪く、扱いにくいエネルギーと思われていたが、今回のサイコロの開発で、念力エネルギーも正しく扱うことで大いに期待できるエネルギーだと認識されたはずだ。


 これはエネルギー資源の少ないこの国にとっては、とても喜ばしいこと。

 今後は念力エネルギー産業が活性化していくかも……


 そんなことを勝手に妄想して考えていたら、東条先輩が俺のことをじーっと見ていた。


「どうかしましたか?」


「い、いえ。ごめんなさい。その動かしてみませんか、我が社のサイコロを」


「え! いいんですか。ぜひお願いします」


 今のところ、規格や出力は西条グループのサイコロと同じにしているらしいけど、明確なルールができてしまえば、一つ一つ、サイコロ(機体)の個性を出していくことになるだろうって。楽しみが増えたよ。

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