第14話

 翌日、野原建設チャンネルに参加してきたことを皆さんと一緒に撮った記念写真とともにSNSにアップした。もちろん皆さんの許可を得てね。


「これで……よしっと」


 久しぶりにアップしたがすぐ反応があり、にこにこマークの数がバンバン増えていく。一時期は炎上してアカウントの削除まで考えていたのに。


「みんな見てくれてありがとうね。ん、どういうこと? 怖いんだけど」


 何もしてなかったのにフォロワー数がまた増えていた。自分でも何がなんだか。


「まあいいや」


 考えてもしょうがない。俺にはもっと早めに片付けないといけない問題がある。


「次は誰のチャンネルにお邪魔しようかな」


 そう、これが問題なのだ。私のチャンネルに来てくださいというお声が今でも寄せられていて、その数はすでに1000に届きそうな勢い。


 初回の野原建設さんはお世話になったからって理由があった。けど、次だよ次。はっきり言ってどうやって決めていいのかわからない。


 始めこそDMで招待メッセージをもらっていた。でも他のメッセージに混ざって俺が見逃す。なので今はメールをもらっているんだけど……ほんとどうしよう。


 いっその事先着順ってことにする? もちろん、一覧表を作って定期的にSNSにアップすることで忖度がないことを証明しとく。ただ招待メッセージをくれたネッチューバーのみなさんには、その事(一覧表をアップする許可をもらうため)を説明しないといけないが……


 他に思いつかないのでやってみようかな。やりながら改善できることは改善していこうかな。でも、俺ってまだ学生だからどうしても土日に偏ることになるだろな。


 とりあえず今日は、その一覧表を作成しつつネッチューバーに確認のメールを送る。


 ————

 ——


 ネッチューバーの皆さんには申し訳ないけど、はじめに作成したメッセージをコピペしてみんなに送らせてもらった。それでも今日一日がかりだった。


 皆さんネッチューバーだけあってチャンネル名は出ても問題ないとのこと。むしろどんどん出して下さいだって。


 でもこれって週に1人だけだと、1年かけても50人しか対応できない。


 週に2人にしても100人。うーん、これはちょっと不味いんではないか。今の時点でも10年がかりだ。

 うーんもっと数を増やすとして最低、週4人かな。

 でも慣れるまでは一人二人って増やしていきたいところだよね。


 テレポートをもっとうまく使えば……どうにかならないかな。


 とりあえず1番はじめにご招待してくれていた、さちまきチャンネルにアポイント。次の土曜はどうですか……と。送信。


「さちまきチャンネルさんってどんなことしてたっけ? 検索っと」


 へぇ、手作りのお弁当を作る動画だね。可愛らしいものやキャラクターもの時間のない人でも簡単に作れるものまで……美味しそう。


 でも、手元しか映っていなくて顔出しはしてない感じだった。また俺だけ顔出しする感じかな。


 動画チェックしている間にさちまきチャンネルさんから承諾の返事が。


「お、早いね」


 撮影場所はさちまさチャンネルさんの自宅で、住所は驚きの同じ県民でわりと近くて吃驚。

 住宅を教えてくれたのでグリグリマップアプリを使えば大丈夫だろうけど、さちまきチャンネルさん宅の近くには『もってけスーパー』があるそうなので、そこで待ち合わせすることに。


「こんな偶然もあるんだね」


 ここまできてやっと一息ついた。ま、俺がやることって念力使うことくらいなんだけどね。もちろんその念力を使うことが楽しいからなんだけど。

 前の俺氏はゲームばかりしてたもんな。


 しかし、目につく動画はほとんど沢風和也くんの動画ばかりだね。

 ゲーム実況にダンスに歌。歌はなんか聞き覚えがあるような、懐かしいような曲だったから、聞いてたらなんか涙が出てきた。いい曲だ。


「ん?」


 そんな中、野原建設チャンネルを発見。


「へ、へえ、もうアップしたんだ」


 俺がモデルハウスを紹介している動画だった。それが急上昇している。再生回数も50万回超えていて驚いた。


 でも安堵もした。ど素人の俺が紹介したモデルハウスだからね。みんなが興味を持ってくれるか不安だった。


 コメント欄も……


『この家素敵だね。私、こんな家に住んでみたい』

『住みやすそう』

『高級感があっておしゃれ』

『スロープ便利そう』

『玄関は広い方がいいよね』

『私もうすぐ子どもがうまれるけど、こんな家だったら旦那さんは遊びに来てくれるかな』

『タケトくんなら来てくれる』

『うん。タケトくんカッコいい』

『やだ、戸惑ってるタケトかわいい』

『タケトくんの子ども欲しい〜』

『私も〜』

『タケトくんが腰掛けたソファーになりたい』

『じゃあ私はあの赤ちゃん人形、タケトに抱っこされたい』

『私は抱かれたい』

『タケトくん好き』

『私も抱かれたい』

『私が先ね』

『えー私よ』

『ふふ、私は抱かれたよ』

『うそだぁ』

『ウソだと言って』

『じゃあ次は私かな』

 ・

 ・

 ・


 ちょっとスクロールしてすぐに閉じた。


 ちなみにこのモデルハウスを欲しがるお客様、相当いたらしいけど全て断ったそうだ。


 でもさすがはプロ。購買意欲のあったお客をみすみす見逃すようなミスは犯さない。ちゃっかりと新規契約に結びつけたそうだ。

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