貞操逆転異世界に転生した俺、今度こそ野球を真剣にやる: 〜俺だけわかるセイバーメトリクスと現代野球〜
第2話 リトル時代:前世で培った野球知識で女の子たちをボッコボコに仕留めていく(ぐう畜クソ野郎) 後編
第2話 リトル時代:前世で培った野球知識で女の子たちをボッコボコに仕留めていく(ぐう畜クソ野郎) 後編
リトルリーグで無双するのクソ気持ちいい! と思い始めたら、それは少し自省した方がいい。
小学生のガキンチョ相手に大人の本気をぶつけるんだから、そりゃ勝って当然というものだ。節度ある日常生活、適度な運動、そして野球の練習。そうやって計画的に10年間育ってきた身体能力(まともに体が動き始めたのは5年間ぐらいだが)を活かして、さらに大人の配球で勝負するんだから、勝てない方が珍しい。
普通のちびっこなんかと比べたら、俺には限りなく大きなアドバンテージがある。
むしろ、負けたときには「ほほー、凄い子が現れたもんだなあ!」と感動しなくてはならない。
(でもまあ、俺も、才能だけに甘えてきた子なんかには越えられない
もちろん勝つのは楽しい。
俺の工夫が通用した! 長年努力した甲斐があった! ――と思うし、才能の塊みたいな連中を上回ったときは、よっしゃあ! と内心で快哉をあげることもある。
だがそれは、無双してクソ気持ちいいというのとはちょっと違う。長年の努力が報われたような気持ちに近い。
なんというか、無双したいフィールドってのはもっとこう、高校の甲子園とか、六大学野球とか、プロ野球とか、そういう大人顔負けの野球で戦う場所なのだ。純粋に、凄い場所で凄い結果を残したい。
(今日も俺は、才能だけの連中を抑え込めている。いい調子だ。リトルリーグだったら、まだまだ俺の変則投球は通用するな……)
アンダースローもサイドスローも使う変則投法。変化球主体の組み立て。
今まで数々の試合があった。そのたび、知略を尽くして、才能ある連中を抑え込んできた。
たとえば、猛禽類の鳥人族、羽谷遥(はねたにはるか)との勝負。
打率が四割、出塁率が五割強もある俊足巧打のリードオフマン(リトルならではの異常な数値だ)。
コンタクト率は90%を超え、O-swing%/アウトスイング率は21%と
わかりやすく言えば、選球眼がよくバットコントロールもいい。
地味にいやらしいのは、P/PA(一打席あたりの被投球数)の数値が4.48もあることだ。いわゆる粘り打ち。
(早めに追い込まれても、選球眼とカット打法で粘るか。楽じゃない打者だ)
だから俺は、アンダースローで二球、早めにストライクで追い込み、最後に決め球のフォークで勝負した。
球速が早くない俺は、縦の変化をつけるならスプリットよりもフォークに頼っている。これはリトルだけに限らない話だが、縦の変化球は空振りが多い。スイングの軌道で捉えにくいのだ。
直前にアンダースローの球を見てから、突然オーバースローのフォークなんか見せられたら、尚のことピッチングコースの山を張りにくいだろう。
結果は空振り三振。
驚異の四割打者、羽谷が愕然とした表情で俺を見ていたが、俺は曖昧に微笑み返すだけにとどめた。
たとえば、爬虫類の亀人族、甲野巡(こうのめぐる)との勝負。
打率が四割、出塁率が五割強という点は同じ。極めて驚異的である。コンタクト率は85%と平均より良い。
先ほどの羽谷との違いは、そもそものSwing%が低く、42%程度しかスイングしない。スイングのしどころを極端に絞って、代わりにデカい一発を強振するのだ。パワーヒッターといえるだろう。
そのうえで、O-Swing%が15%程度に抑えられている。相当目がいい。
BB%(四球率)も14%。OPSも1.6程度。リトルリーグならではの、相当の強打者である。
ゾーンに投げたらホームランで仕留められる――というイメージの打者だ。
だがしかし。
(何のことはない。統計的には、
あまり一般には知られていないが、統計的には、
引用[1]:https://note.com/baseball_namiki/n/naa2b538934e1
もちろんこれは統計のまやかしというもので、現実的には、狙い球を絞ったり、スイングするコースをHeart Zoneに限定するのが有用だよ、という話なのだが。
早い話、この脅威のパワーヒッター、甲野巡は、先程の理屈を自然にやってのけているのだ。
もちろんそれでも脅威ではある。すっぽ抜けた失投をぶち抜かれたら、それだけで長打一発になる。
実はMLBでさえも、投手失投は4球に1球発生するといわれている。エース級投手であっても6球に1球は失投を生じると考えてよい。
彼女は、そういう甘い失投を見逃さずにぶち抜くクラッチヒッターなのだろう。
典型的な待ち球タイプ。自分の得意なゾーンに飛び込んできた球は容赦なく打ち返す。
もちろん俺は、制球が難しいとされるオーバースローの速球を多用しないので、もっと失投は少ない。
そしてコース別打率や球種別打率を見て、相手の苦手な変化球を苦手なコースに投げ入れる投球スタイルをずっと練習してきた。
コース別スイング率を見れば、甲野の狙っているコースは瞬時に見抜けた。だから苦手なコースにだけ苦手な球を投げ続ける。
(まだ羽谷の方が、三振に仕留めるイメージを持つのが難しかったが――彼女の場合は苦手なコースを狙い続けたらいける)
この日の試合は、三打席のうち一発だけ長打を喰らったが、後続を切って無得点。
残り二打席は完全に抑え込んだので、まずまずいい勝負だったと思う。
何を考えているのか分からない、天才っぽい風格があった。だがお互いにリトルの段階であれば、まだ俺の方が優位らしい。
たとえば、エルフのフランツィスカ・恵理・森近。
制球の利いた好投手。オーバースローの右投。軟投派。
ステータスオープンで各種数値を見ると、防御率1.27、勝率0.8、奪三振率7.14、K/BB4.38、と、まさに驚異的なピッチャーである。
補足すると、リトルリーグは「打高投低」の世界であり、そんな中で奪三振7.14を守りながらK/BB 4.38は十分すぎる活躍である。
・奪三振率:NPBでは7.5%を超えると高いといわれている。
・K/BB:NPBでは3.5を超えると良い投手だといわれている。
彼女はなんと、カーブ、スライダー、フォーク、シュート、チェンジアップ、シンカー、パームを投げ分けることができる。俺が最終的に目指すべき投手像を体現しているとも言えた。
ストレートとカーブ、緩急差と高低差であっさりと打者を追い詰めていくピッチング。隅を上手く活かした投球で、打者の目を慣れさせない。
これぞエースと言わんばかりの大活躍である。
(でも、俺、投げられる球の数値が分かっちゃうんだよな……。球速、回転数、回転軸、予測コースとかさ)
俺が相手でなければ、と思うばかりである。
悲しいことに、ピッチトンネルまでほとんど同じ軌道で直球と変化球を織り交ぜてこられても、俺にはどっちがどっちだか分かってしまう。
縫い目を見て回転数をざっくり判別できるプロ選手よりも、さらに精緻に球種情報が分かってしまう俺。
最初の打席は、甘く入ってきたカーブ球をあっさり初球から流し打ち、守備陣の意表を突いて進塁。
二打席目は、直球を見抜いて三塁線に転がすセーフティバントで進塁。
(第一打席、初球にカーブを使ったのは甘い考えだな。確かに0ストライク時に最もスイング率が少ないのはカーブ。スイングされにくくカウントを稼ぎやすいカーブでファーストストライクを取りに行く、という意味では正しい選択だが……俺は初球からでも打てるからなあ)
動揺を隠せないエルフの少女を眺めながらも、俺は内心でそう考えた。
俺もよくやる戦法だ。
実際、初球のカーブは手を出しづらい。
NPBの2013~2017の期間の集計[2]で、主な球種のカウント別ストライクゾーンスイング率というデータがあるが、これによると0ストライク時はカーブ(たった27.6%)、次いでスライダー(37.9%)が被スイング率が少ない。プロ野球選手でさえも手を出し控えてくれるのだ。
※引用[2]:https://baseballgate.jp/p/72578/
だが、変化球が来ることが分かっていて、球速、回転数、回転軸から大体のコースが推定できるなら話は別である。
初球打ちができる。
初球打ちに成功すれば、次順以降の初球カーブ作戦を大きく躊躇わせることができる。
この好投手から二打席二安打をもぎ取ったのは、もはや出来すぎだと言える。
こんなにうまく打てるとは思わなかった。心理戦に勝利したといっていい。
後続が続かず帰塁はできなかったが、彼女に凄い目で睨まれたのだけは覚えている。涙目だった。なんだか申し訳ない。
◇◇◇
【速報】リトルリーグの星上投手(10) またもやU-12 代表を粉砕する
1:やきうのお姉さん@名無し
〇U-12打者陣:
緒方 睦(10) 二打席一安打(単打)
羽谷 遥(10) 二打席無安打
甲野 巡(10) 三打席一安打(二塁打)
森近恵理(10) 二打席無安打
竜崎 心(11) 四打席一安打(単打)
羽谷 翼(12) 二打席一安打(単打)
豹堂 舞(12) 四打席無安打
〇星上くん:
緒方 睦(10) 二打席一安打(単打)
森近恵理(10) 二打席二安打(単打2本)
U-12打線、ひえっひえの模様
2:やきうのお姉さん@名無し
しゃーない
3:やきうのお姉さん@名無し
リトルリーグなんやし、ほっといたれや
星上きゅんが変則派すぎるんや
4:やきうのお姉さん@名無し
星上くん、こいつピッチもバッチもいけんのか
5:やきうのお姉さん@名無し
ヒエ~ッwww
6:やきうのお姉さん@名無し
>>1
OGATAとKOHNOはようやっとる
OGATAは打率五割やしKOHNOは打率三割三分や
7:やきうのお姉さん@名無し
>>6
草
8:やきうのお姉さん@名無し
>>3
それな、別にいつも調子いいってわけじゃないし
それに、男の子の球を本気で打つのも気が引けたんじゃないかな
ピッチャーライナーとかになったら可哀そうすぎるもん
9:やきうのお姉さん@名無し
U-12代表のセレクションやり直したほうがええんちゃうか
10:やきうのお姉さん@名無し
星上が羽谷を二打席も抑えたの凄くね?
11:やきうのお姉さん@名無し
今からでも星上をU-12代表に呼ぼう(名案)
トライアウト余裕やろ
12:やきうのお姉さん@名無し
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星上くんきゃわわ
13:やきうのお姉さん@名無し
何でだれもホッシを打てへんのや?
打ち頃の球速ちゃうんか?
14:やきうのお姉さん@名無し
>>1
何気に、両投手相手に通算で四打席三安打なのも凄い
15:やきうのお姉さん@名無し
>>12
GIF見たけど星上くんバント上手くない?
どんな球が来るのか、どんな風に転がせばいいかあらかじめ分かってたって顔してる
16:やきうのお姉さん@名無し
星上きゅんまじで上手いな
かわいい顔してプロ顔負けの投球見せつけてる
17:やきうのお姉さん@名無し
誰か解説たのむ
18:やきうのお姉さん@名無し
今見たけど、星上くんおかしくない?
森近と同じぐらい変化球投げれるし、アンダースローもサイドスローも変幻自在。
上位互換ちゃうか?
19:やきうのお姉さん@名無し
星上くん、あれだけ可愛い顔してて、やってること野球星人なの笑う
20:やきうのお姉さん@名無し
ほんま、弱小リトルのエースやな星上くん
防御率1.8、勝率0.5、奪三振率12.5
60打席52打数22安打 打率0.42 本塁打3本 四死球8
21:やきうのお姉さん@名無し
>>20
打率4割2分もあるんか
失投は全部打つイメージあるし選球眼するどいイメージあるけど
なんか見えてるんかってぐらい打つ
天才肌なんかな
22:やきうのお姉さん@名無し
出塁率5割いってるやんけ
こんな完成度の高いピッチャー中々おらんぞ
23:やきうのお姉さん@名無し
mttps://i.imgirl.com/QazXswEdRftg.gif
汗だくの星上きゅんきゃわわ
靴下欲しい
24:やきうのお姉さん@名無し
mttps://i.imgirl.com/QazXErfTyUi.gif
色んな子たちと連絡先交換する星上きゅん
私も交換したいよぉぉぉ
25:やきうのお姉さん@名無し
大理石の彫刻かってぐらい美しい横顔の星上きゅん
これ相手打者が見とれすぎて、打つのに集中できない説とかある?
26:やきうのお姉さん@名無し
>>21
やってることはノーステップ打法っぽい
コースや球種の見極めが上手いのもそれなのかな?
バッティングフォームも独特……
グリップの握り方がちゃんと雑巾絞りみたいになっていないし、ダウンスイングじゃないし
もったいない
27:やきうのお姉さん@名無し
緒方世代って言われてたのに、星上きゅんの登場で星上世代になりそうやな
ほんまに王子様やな
28:やきうのお姉さん@名無し
ワイのムッスメ、星上くん見てリトル入りたいとか騒いどる
この前のニュースでも見たけど、今どきの小学生って男女比1:5ぐらいらしいし、星上くん目当てでめっちゃリトルリーグに子供入りそうやな
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