第11話 初めての訪問者
衝撃的な事実を知った最上級神会議から、1週間ほどがたった。
最後の成長期を迎えても、恐らく何も変わらずに立神を迎えるだろうと言うことで、全員の意見は一致した。
あと5年の間に何かしらの手立てを考えて、立神の儀でお披露目をされると言う事になった。なので大人になるまでは、とりあえずまだ隠居生活が続く。
その間、他の神や天使たちと関わったことがないアイリスの為に時々遊びに行って欲しいと、フレイとリアナが最上級神のみんなにお願いをしてくれた。
そして今日は、初めて両親以外の神がアイリスの家へ来てくれるのだ。
「あぁ、緊張するわ」
「まぁまぁ落ち着いてください。アイリス様がそんなに緊張されると、僕達まで緊張しちゃうじゃないですか」
全く緊張感なくジュノが言う。
「だってリアナ様とフレイ様以外の方と、まともにお会いしたことないんだもの。この間の会議だって、個人的にお話した訳ではないし」
天使達とそんな話をしていると、呼び鈴がなった。
「いっ、いらっしゃったわ」
半ば小走りになりながら、アイリスはエントランスへ向かい扉を開ける。
「セフィロス様、ようこそおいで下さいました」
スカートの裾をつまんで膝を曲げ、挨拶をする。
金髪に新緑色の瞳。と、天界ではごくありきたりな色だ。それにも関わらず思わず見とれてしまうのは、もの凄く整った美しい容姿と背の高さのせいだろう。ただ、寸分違わず計算し尽くされたかのような顔に無表情を貼り付けているので、無機質な印象がして少しだけ怖くなる。身長は多分、190cmは超えている。
「自ら出迎えてくれたのか」
「は、はい。狭いですが、どうぞ中へお入りください」
緊張のあまり噛んでしまいそうになる。会議の時にも思ったけれど、セフィロスはその場の空気をビシッとさせるような、そんな雰囲気を出している。
「あの、こちらの天使はノクト様でよろしかったでしょうか?」
リビングに案内すると、アイリスが聞いてみた。アイリスの家には応接室や客間なんてないので、リビングに案内するしかない。
普通は必要最低限の大きさの家を建てたあと母親の家から移り住み、更に増築をしていくのが一般的だ。アイリスの場合は増築する事は出来ないので、1番最初に建ててもらった必要最低限の部屋しかない。
「僕の名前をご存知なのですか?」
「はい、最上級神会議の時にいらっしゃいましたから」
「でも名乗った覚えはありませんが」
「私、うっかり守護天使の皆様の名前を聞くのを忘れていて。帰り道にアレクシアに聞きました。それから、そちらの方は……」
「お初にお目にかかります。風の守護天使のエレノアと申します。」
もう1人いる女天使に目を向けると、人懐っこい笑顔を向けて挨拶をしてきてくれたので少しホッとする。セフィロスもノクトもあんまり表情が変わらないので、余計に緊張するのだ。
「ノクト様、エレノア様、どうぞよろしくお願いします」
挨拶をして下げていた頭を上げると、2人とも何とも言えない表情をしている。
なんだろう。挨拶の仕方を間違えているのだろうか。セフィロスは厳しい方だと聞いているから挨拶も厳格そうだ。
「あっ、ご丁寧に。私たちの方こそよろしくお願い致します」
慌てた様子で2人が挨拶を返してくれた。どうしよう。挨拶するだけでこんなに気を揉まなければならないなんて。
3人を席に案内すると、今度はノクトに猛烈に拒絶されてしまった。
天使は神の
いつも水や太陽の守護天使が遊びに来てくれた時は一緒にお茶をしていたので知らなかった。
そういう訳でノクトは「一緒になんて有り得ません」と言って、虹の天使に別の席を用意させていた。
アイリスがいつもいる暖炉近くに置いてあるローテーブルとソファーの席ではなく、天使たちがくつろぐために設けてあるテーブルの方へと天使達は座った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます