第20話 職歴19社目(スーパーのレジ勤務(アルバイト)。勤務期間5日間)
一日でラーメン屋さんのバイトを辞めた私はすぐに別のバイトを探した。正社員の仕事を探しながらバイトをしたいと話すと、ことごとく面接で落ちた。そんな中、近所のスーパーで運よく採用された。優しそうで一緒に働いても怒らなそうな人に見えたので安心した。
失業給付を受けるので、週に20時間未満の勤務という縛りも受け入れてくれた。
面接は店舗のバックヤード。初めて入った。壁には万引きをした、おばさんの写真が貼ってあり、誓約書も貼られていた。
「私は自分の犯した罪の重さを深く受け止め、今後、一切、お店には出入りしない事を誓います」と書かれていた。
テレビでは見たことがあるが、本当にスーパーで万引きをする人がいるのだと実感した。
私の仕事内容はレジだ。ひたすらお客さんの商品をスキャンして、スキャンした商品を別の空のかごに入れて整理して置く。その際、「レジ袋はどうなさいますか?」と尋ねる。
そしてお会計を伝えてお金を受け取り、お釣りを渡す。中にはクレジット決済や携帯を使用しての決済を求めるお客さんもいる。専用の端末機を使用する。
この店は飲み物が安いので、お酒やジュースをケースで大量にまとめ買いする人が多い。
ケースの場合はスキャンしたら、箱にテープを貼る。スキャンをした証拠だ。お客さんが来てからテープを切る手間を省くため、あらかじめテープを沢山切って、レジ横に貼って準備をしていた。優しい女性パートの方から教わったやり方だった。
最初の4回の勤務は問題なく業務を終えたと思った。
5回目の勤務の時、リーダーのおばさんと一緒に勤務する事になった。
これまでと雰囲気が一変した。
そのリーダーおばさんは、私が行う事に、ことごとく叱責をした。
「そんなテープを切る作業は今はしなくていい!」。
「お客さんがレジにいない時はすぐに商品補充の作業に取り掛かりなさい!」。
「商品補充をしたあとに残ったダンボールは、お客様の見える場所に置かずに、すぐに専用のバックヤードにあるダンボール捨て場に置きなさい!」。
「商品の陳列の仕方が間違っている!銘柄が全て揃うように並べて!」。
「並べきれなかった商品は無理やり奥に置かないで!隣の別の商品の列と混在するでしょ!?」。
一日中怒られた。凄い剣幕でギャアギャア怒られた。
私がレジで接客を終えると、そのあとすぐにちゃんと商品補充の仕事をしているか、遠くの棚の陰から私の事を監視していた。
やっとの事で業務終了の時間になった。
私はリーダーのおばさんに挨拶をして帰ろうとしたが、どこにも居なかった。
他の店員さんに聞いたら、外の喫煙所にいるよと言われたので行ってみると
うんこ座りをしながら煙草を吸っているおばさんがいた。機嫌悪そうな顔でこちらを向き「おつかれ」とだけ言った。
私は逃げるように帰って、店長に携帯でメッセージを送った。
「リーダーのおばさんが怖いので辞めさせて下さい。ああゆう叱責をする怖い人とは一緒に働きたくありません。顔を見るのも嫌です。怒られるという事は私に原因があるのかもしれません。という事は私はこの仕事に向いていないのではないかと思います」。
店長は無理にとは言わないが、一か月分のシフトを組んでしまった後だから私に一か月だけは我慢して働いてほしいと言った。
私は考えたが、二日後にやっぱり退職したい旨を伝えた。
「やはり、怖いリーダーのおばさんと一緒に働く事はできません。体が会社に向かないのです。退職の手続きをお願いいたします。以前も他の会社で同じような事がありました。私は自分に対して強い口調で叱責をするタイプの人間を許すことはできません。何卒ご理解の程、宜しくお願い致します」と伝え、私の退職が受理された。
私は、パートとは言え、短期間に2社辞めてしまい、自信を失いかけていた。
正社員の仕事を探しているが、例え採用されても続けられるのか。
社会復帰ができるのか不安になりながらの転職活動になった。
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