第15話 職歴14社目(日雇い派遣。勤務期間1か月)
次やる仕事はコンビニのルート配送になった。入社日まで約1か月あったので、日雇い派遣の仕事をしてお金を作りたいと思った。早速、地元の派遣会社に登録に行き、すぐにお仕事を紹介してもらった。自分で仕事は選べるが、どれも肉体労働系だった。毎日やるのはキツイだろうと思い、一日おきか二日おきに仕事を入れた。クリスマスも大晦日も仕事を入れた。いざやってみると、これまで殆ど一日立ち仕事をした事がない私にとっては、とてもきつかった。重たい空のラックを取ってきては、商品がてんこ盛りに入ったコンテナを両手で持ち上げてラックに何段も乗せる。コンテナの高さが高くなるにつれて、コンテナを持ち上げるのも辛くなる。腰に負担がかかる。コンテナをラックに乗せ終わると体全体を使わないと動かせないくらい重たくなる。それを所定の場所まで移動させる。それが終わるとまた別の空のラックを取りに行きコンテナを乗せる。これを一日10時間、永遠と繰り返す。時計を何度もチラチラ見るが、針はスピードを上げてくれない。止まった時計のように秒針は規則正しく一秒一秒刻むだけだった。この仕事を本職として毎日やられている方は凄いと思った。この仕事が楽しくてしょうがないという人は極めて少ないだろうと思った。
大晦日、私は、とある物流センターにいた。配送を終えたトラックが次々と帰ってくる。
与えられた仕事はトラックのコンテナから次々と出てくる重たい空ラックをひたすら別の所定の場所に移動させる仕事だ。しかも冷凍冷蔵用のトラックなので、我々がいる場所も非常に寒く、ジャンパーを着ていても凍るような寒さだった。同じ日雇い派遣の労働者と一緒に黙々と永遠にこの仕事を繰り返した。体力も精神力もギリギリの状態になった。私はふと現実を考えてしまった。前職では暖かい職場でゆっくりコーヒーを飲みながら座って仕事をしていた。年収は550万円を超えていた。そして仕事が難しくなりすぎて耐えられずに辞めた。これからコンビニの配送トラックドライバーという未知の世界に飛び込むことになる。そして今、日雇い派遣で極限の精神状態で寒さに打ち震えながら最低賃金で働いている。泣けてきた。周りで一緒に働く日雇い派遣の労働者たちを見渡しながら涙が溢れてきた。大晦日なのに、暖かい部屋で楽しく歌番組を見て過ごしている人達の事を考えながら涙が止まらなかった。
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