第39話 江戸時代にネット掲示版が出現するときはこんな感じです
葛飾大観、という雅号を名乗った。
葛飾大観の
妻を
そんな画業三昧の末、ある日ふと、
画想が降りて来ぬ。
蔦屋重三郎からは矢の催促がある。
やれどこそこの大名から引き合いがあった。
やれどこそこの公家から是非にと頼まれた。
やれどこそこの坊主が本尊にしたいと言っている。
焦る。
焦りが募る。
いつかのように、白紙の
ぐにゃりぐにゃりと視界がゆがむ。
白紙の襖に文字が浮かび上がる。
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【今日も】インキュバスたん、(*´Д`)ハァハァ 47【まったり】
1 名無し@モン虐
今日はぼろんなかったなあ
2 名無し@モン虐
いいかげんテンプレに入れとけや
ttps://xxxxxxx.maze/xxxxxxx/s1024984/video982
・・・
・・
・
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見慣れぬ文字が青く光っている。
誘われるように、指で触れる。
すると、金髪の童女が奇天烈な装いのものたちに折檻される絵が映った。
絵は色鮮やかで、動き、音まで聞こえてくる。
美しい。
まるで天女のようだ。
しかし、これで
信長公に仕えた森蘭丸、島原で乱を起こした天草四郎。
彼らはひと目で男も女も狂わせる美童であったと云う。
なんだこれは。
それがしの幻覚か?
あるいは狐狸のたぐいに化かされているのか?
しかし、画想が降りてきた。
この
絵筆を手に取り、襖に文字を書きつける。
驚いたことに、返事がある。
書いた文字が上へ、上へと流れていき、やがて消え失せる。
かの美童は日暮里ダンジョンにいると云う。
ダンジョン……?
ダンジョンとはなんだ……?
ああ、迷宮のことだ。
なぜこんなことを忘れていた。
日暮里といえば
写生で何度も訪れたことがある。
矢も盾もたまらず、
谷中の町を抜け、諏訪神社の境内に入る。
鳥居の先が下りの階段になっている。
薄暗いその道を降りていく。
猿の全身から毛を抜いたような生き物が飛びかかってくる。
ほのかに光る苔がついた石壁に、緑色の血が飛び散る。
どこかひょうけた、しかし恐ろしい妖怪絵が描けた。
これは、面白い。
夢中に、なった。
かの美童だ。インキュバスたんなるものだ。
創作意欲が沸き立つ。
ここまで強烈な画想は初めてだ。
顔が引きつる。
ああ、これは笑っているのだ。
きひひ、と奇声が聞こえる。
ああ、これもそれがしの笑い声だ。
それがしは
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