第4話

鈴音とのことを考えていた翌日の金曜日、大学で講義を受けたが今日は鈴音と話はしていない。

同じ教室に居るのは見かけたが毎日話したりするわけではない。

鈴音は交遊関係が広いし、俺は隠キャ気味なので意外と話をしない日のほうが多かったりする。

そのまま今日は顔を合わせることなく夕方になり俺はバイトに向かう。

俺はリサイクルショップでバイトしている。

定番の本やゲームにスマホ、日用品に家電からアウトドアグッズなどさまざまな商品を扱うよくあるリサイクルショップである。

高校のころは漫画には興味がなかったが大学に入り人付き合いが少なくなりバイト先の影響で最近はけっこう漫画好きになっていて家には本棚いっぱいに漫画があったりする。

ゲームも家族に人気のゲーム機を持っている。

まぁ滅多にやらないのだが。


「おはようございます。」


俺はバイト先に着いてあいさつをして店長と軽く会話をする。


「伊庭くん、おはよう。今日も本のコーナーでお願いするね。」


「わかりました。」


店長に言われたコーナーに向かい俺よりも先に働いていた女子高生にあいさつした。


「おはよう。村田さん。」


彼女の名前は村田早苗むらたさなえさん。黒髪でショートヘアに眼鏡をかけていて大人しそうな見た目の女子高生で趣味も漫画やアニメらしい。人見知りらしく最初はほとんど話すこともなかったが最近は漫画の話で多少盛り上がれるようになってきた子だ。


「おはようございます。伊庭さん、今日もよろしくお願いします。」


「よろしくね。またなんか面白い漫画あったら教えてね。」


「はい。また今度漫画の話で盛り上がりましょうね。」


「そーだね。」


そのまま仕事をこなし閉店の10時になった。


「お疲れ様でしたー。」


お決まりのあいさつをして帰路につく。

いつもなら遠回りして一時間ほどかけて走って帰るんだか今日は少し前から雨が降っているで歩いて帰る。

天気予報はチェックしていたので傘をさして帰っていたが途中コンビニに寄ることにした。

ここから近いコンビニは一本隣の通りにあるのだがちょうど目の前の公園を横切れば近道なので公園に入る。

そこで傘もささずにベンチに座り下を向いている女性に傘をさした二人組の男が話しかけていた。


「ねぇねぇ、そんなとこに座ってたら風邪引くよ。俺らと遊びに行こうよ。」


「いえ、あの…」


「奢るからさぁ。どっか屋根のあるところにいこうよ。」


どうやらナンパのようだ。

知り合いでもないのでそのまま通り過ぎようとしたのだか「お願いします。止めてください。」と小声で言っているのが聞こえて目を向けると女性が涙目になっていた。

あまり他人に興味を示さない生活をしているがこの状況を無視するのも気が引ける。

大学の知り合いならいつもと違う自分を見せたくないところだが女の子はたぶん高校生だろうし男たちも雰囲気的にうちの大学ではなさそうだ。

素を見せても問題ないとは思ったがどうするか迷っていると

男の一人が女の子の肩辺りに手を伸ばすのが見えた。

思わずその男の手を掴み男と女の子の間に体を割り込ませる。


「嫌がってるのがわからねえのかよ。」


普段、大学では使わない口調を使い掴んだ手に力を入れる。


「なんだ。お前。」


男が手を振りほどこうと力を入れるがこの程度の力では俺の腕はピクリとも動かない。

するともう一人の男が絡んでくる。


「おいおい、俺たちはこの子と遊ぶんだから部外者が邪魔すんなよ。」


凄んでくるが俺から見たら雑魚以外の何者でもない。

俺は空いてる方の手で眼鏡を外し威圧すると男の表情が一瞬で青白く変わる。

俺の手から逃れようと手を引いていた男の手を放すと反動で後ろに倒れそうなほどよろめく。

すると男たちは小声でなにかを話すとそそくさと去っていった。

姿が見えなくなるのを確認して俺は眼鏡を戻しいつもの隠キャモードに戻り女の子の方を向く。

そこで俺は息を飲み絶句した。

びっくりするぐらいの美少女だった。おそらくハーフなんだろう銀髪碧眼で顔は人形のように整っている。髪型はセミロングでお淑やかな印象の表情だ。

おそらく高校生一年ぐらいかもしかしたら中学生ぐらいかもしれない。

鈴音で美人は見慣れているつもりだったが将来は鈴音以上の美女になるかもしないと思った。

そんな俺が目を話せなくなるほどの美少女だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る