第3話

鈴音とは高校一年からの付き合いだ。

もう四年以上もつるんでいることになる。

高校のころからかなり美人で当時の学校で間違いなく一番の美女だった。

それにさらに磨きをかけていてずっとそばにいた俺でも今の鈴音の美貌にはドキッとすることがあるぐらいだ。

鈴音はよく言えば接する人みんなに優しく笑顔を絶やさないまさに女神と称されるほどのできた人物だが悪く言えば八方美人でいつも回りの顔色を伺っている。

まぁ、鈴音の本当の性格を知っているのは大学で俺だけだろうからほとんどの学生からは好感を持たれているに間違いない。

俺はと言うと黒髪をボサボサにしていて前髪は目が隠れるほど伸ばしてメガネをかけ、服はなるべく地味な色を選んでいるので俺のことをよく知らない人には隠キャに見られているだろう。

そんな隠キャの俺が鈴音とよく学内で話しているので入学当初は訝しげな視線をよく向けられていたが最近では隠キャの俺がどんなイケメンからの告白も断っている鈴音に相手にされるわけないと思われていて元々高校の同級生ということと鈴音の表向きの優しい性格から相手しているだけだと思われているようだ。

特に仲が良いことを隠そうとしたわけではないが仲の良さをアピールするつもりもなく接した結果、学内ではこのような評価に落ち着いたようだ。



高校時代の俺たちは今とはだいぶ雰囲気が違う。

鈴音は今と違い嫌いなものは嫌いとはっきり言うタイプで人気はあったが敵も作りやすい性格だった。

俺はと言うと特殊な環境で育ったこともあり平和な日本に馴染めていなかった。

信じられるか?日本では酔い潰れて公園のベンチで朝まで寝ても五体満足で財布すらそのままポケットに残ってたりするんだぞ。

あまりにも今までと違う環境に全く馴染めなかった。

そんな二人がちょっとしたきっかけで話すようになりいろいろあって俺たちは唯一無二の親友と言える関係になった。

ただ他の同級生たちとは良い関係とは言えない状態になり、

結果、地元にいるとそいつらとのしがらみがあるので地元から遠いこの大学を選んだ。

特に約束していたわけではないが鈴音と俺は当たり前のように同じ大学を受験し同じ大学に進学した。

鈴音との関係がいつまで続くかはわからない。

就職すれば別々の道を歩むと思うがそれまでは今のままの関係でいいと思っていた。


まさかその翌日から俺の生活がどんどん変わり始めるとはこのときは思ってもいなかったが。

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