第21話 油断してる? 油断できてる、だろ。
おしりペンペンターイム!
の前に少しこの世界のことを説明しておきたい。
ここでいきなりのおあずけ……興奮してくるね?
いやね、この辺で言っておいた方がいいかなと。
わかる人にはわかるはずだけど、こう思う人もいるだろう。
――ってか、武器つかえよ。
と。
魔法がしょぼいのはまあわかる。
でも、人間にしろ悪魔にしろ、なんで素手やねん。
一応それなりの文明があるのに、一切の武器がないわけないだろ……という疑問を持っている人がいるかもしれないね。
この世界……まあ知ってるのはこの国の一つの街だけだから、どこかに武器が存在する可能性はあるが……武器がない。おかしくね? そう思ってる?
――俺も思ったよ?
思ったのだが……、今は納得している。
地球の人類が当然のようにしていたが、この世界では行われていないこと。
それは、狩りである。
弓矢とか槍とか銛とか、狩りのためのアイテムでしょ。
大昔の人間って、マンモスとかを倒してたイメージあるよね。
この世界、デカい哺乳類がいない。
鯨ももちろん倒さない。
だから武器がないと。
それどころか、小さな人間は海が怖すぎて舟すら無いからね。
猟もしなけりゃ漁もしないのよ……。
――いや、魔法使えるんだろ? 海で漁くらいしろや。
これも思ったよ。
悪魔を倒す攻撃魔法が使えないのは、まだわかる。ファイアーボールを出せたとて小さすぎて弱いって話だからね。
でも海で溺れないとか、自分を守る魔法できるだろっていう。
魚だって、別に倒す必要ないんだし。海から魚をゲットするだけっすよ。そんなこともできないわけないだろと。
――めちゃくちゃ疲れるらしい。
どうやら魔法を使うってのは全速力で走るようなものだそうで。だから使用時間は短いそうです。
身を守りながら海を渡ればいいじゃんと言ったら、泳いで海を渡る方がマシなんですけどと返されました。
そんなわけで、この世界にはマジで武器も舟もないそうです。
――は? 包丁は?
それも思ったよね。
はっきりいって、俺たちが知ってる包丁は無いです。
人間は持ってないそうです。まず製鉄技術がありません。武器がないわけだからさ、そういう技術が発展してないわけ。
で、哺乳類の肉を食わないじゃない。食ってるの、幼虫とかじゃない。だから、いらないっぽいね。
もちろん服を作るとか、家を建てるとか、切るということは必要なんだが、そういうときは風魔法を使うようだ。
なまじ魔法があるぶん、道具に関して進化が足りないというのはあるみたい。
一応あいらんは持ってるんだよ、包丁。上から体重をかけて、ギコギコすれば魚を捌ける石でできた包丁は。武器になるかは疑問だね。素手よりはマシだと思うけど、食事の道具としか思ってない。俺たちだってフォークで戦おうとは思わないじゃない。そんな感じっぽいね。
――俺が武器を使うのは?
武器がない世界で、俺が武器を使えば無双。
とんでもない話です。
これは絶対にやっちゃいけない。
悪魔たちは自分たちを脅かす存在なんていないから、大きめの石を投げて攻撃するという戦法も思いつかないですから。
悪魔たちが俺からヒントを得て、武器を使うという発想が生まれるのが一番ヤバい。
仮に悪魔たちが、ハンカチみたいな布に石をいっぱい入れて、俺を殴ってくるようになったらおしまいだ。
素手で十分に無双している。いや、むしろ相手も素手だから無双できているというのが正しい。
俺は魔法力でも、現代文明の知識でも、ゲームのうまさでもなく。
ただ単に体がデカいという理由のみで無双しているのである。
――これ、まだ続くの?
ほんとそれ。
美少女が出てこないと読んでられないだろ。
なんの努力もしてない男子高校生が、戦術や面白い魔法の使い方などの工夫もせず、余裕綽々で戦闘してどうすんだよと思うが、美少女におしりペンペンするという点においてだけ救われてるんだよ。
これがゴブリンだったらどう?
ゴブリン相手に、おしりペンペンして無双。ムリです。俺はそんな人生ムリです。
鬼だろうが、オークだろうが、小さなオジさんだろうがムリです。そんなのに無双したところで、虚しいだけですよ。
敵がメスガキでよかった。
――悪魔なんだろ、ギタギタにしろよ?
こわっ!
ええ? そういうタイプ?
生意気なクソガキなんて、容赦なく殴りつけて、肋の一本くらい折れよって?
よーし、あいらんの腕を切断しちゃうぞー、じゃないんですよ。
全部の歯を抜いてから奴隷にするぞー、じゃないんですよ。
いや、あのですね。これ、ダークファンタジーじゃないんで。怖い怖い。
美少女には笑顔でいて欲しいタイプです。
ほんと敵がメスガキでよかった。メスガキ最高。
――え? ロリコン?
相手は悪魔だから年齢は年上ですけど?
あと美少女ってそのくらいの年齢ですけど?
国民的美少女コンテストってご存知?
日本において、最高の美少女なんじゃね、っていう少女を決めるわけですよ。ねえ。優勝するの、だいたい13歳くらいでしょ。12~14歳でしょ。
――そういうことです。
国民的美少女コンテスト優勝者三人におしりするだけのお仕事ですよ。最高じゃん。
「いつまでお尻触ってるの~」
「ユウは異常なお尻好き」
「ぶっちゃけ、撫でられるの気持ちいいから羨ましい」
おっと、考え事をしていたら……。
そろそろわからせてやるか。
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