ハーピーの女の子と出会う1

勇人が声のした方へ向かうとそこには翼を生やしたヒトのような女性を襲う大蛇がいた。


「あ、あれは...」


翼を生やしたヒトのような女性はいわゆるハーピーと呼ばれる半人半鳥のモンスターだ。


大蛇はハーピーの体に巻き付き締め上げる真っ最中だった。

ハーピーの表情は苦痛に満ちている。


―どうする。どっちもモンスターだ。モンスター同士の食物連鎖なら放置するのが基本だが...。


可愛らしい顔をしたハーピーの苦痛な表情が目に入る。


「やっぱ助けるわ!」


そう言って勇人はダッシュで大蛇に近づく。

大蛇も勇人の存在に気づいたようだ。


勇人は大蛇から数メートルのところまで接近し、拳銃を構えた。

大蛇は勇人を襲うとするがリーチがギリギリで足りなかった。


「だよな!巻き付いたまま首だけ動かすと思ったよ!」


勇人は拳銃の照準器をしっかり大蛇の頭に合わせて発砲した。

銃弾は大蛇の目に命中し、シャーという鳴き声を叫び散らす。


勇人はリボルバーの弾倉が空になるまで大蛇の頭に銃弾を浴びせ続けた。

けれども大蛇は頭がボロボロになってもまだ動ける様子だった。


「まだ死なないのか、くそ!モンスター相手だとロングライフル弾じゃ打撃が足りねぇ!」


勇人はリボルバーをスイングアウトさせると急いでシリンダーから空の薬莢を取り出して次弾を装填していく。


ここで大蛇はハーピーに巻き付くのやめて勇人に接近する。


「やべっ!」


勇人は装填を完了したリボルバーをスイングアウトさせるが大蛇は勇人に嚙みつこうとする。


すんでのところで回避するが拳銃の照準を付けられるような状況ではない。


「くそ!こうなったら一か八かだ!」


勇人は近くに転がっていたギリギリ持ち上げられる程の岩に飛びつく。

大蛇も追従するように勇人に近づき口を大きく開けて襲いかかった。


「これでも食ってろ!」


そう言って勇人は岩を持ち上げるとそれを大蛇の口に押し付ける。

大蛇の口に岩がすっぽりハマって取れなくなった。


「食らいやがれ!」


勇人は渾身の連撃を大蛇の頭に打ち込みまくった。


大蛇は奇声を上げてぐったり地面に倒れこんだ。


「やっと倒した」


勇人が安堵するとステータスプレートがいきなり表示される。


「うわ、なんだ急に?!」


ステータスプレートにはレベルアップしましたと書かれていた。


「やっぱゲームみたいな異世界なんだな」


勇人は確認を後にして倒れこんでいるハーピーに近づく。


―これが異世界のヒト型モンスター...。


ハーピーはベージュ色のヘアカラーとスズメやキジバトのような模様をした翼、鳥のような逆関節の鳥脚をしていた。

他にもこのハーピー固有の特徴なのか犬や狐のような立派な獣耳が頭から生えている。


―こういうのも有りなのか。それにしても...。


目線が体に向かった。

ハーピーは全裸だった。


―胴体はヒトと同じだな。それにしても......すげぇエロい。


勇人は赤面しながら目線をハーピーの体から反らした。

ハーピーを適当なところに運んで寝かせると勇人は近くに座って休憩する。


しばらくしてスキルポイントが回復してからスキルで生成できる物を検索した。


「キャンプ系の野外道具は一通りそろってるな。というよりミリタリー道具だな、これ。生成ポイントは武器より全然少ないから心配はいらないか。とりあえず...」


勇人はコンロや調理器具をスキルで生成した。


「...あの大蛇、食えるよな??」


勇人は若干お腹が空いていたようで食べられるか試してみようと考えたようだ。

しばらく悪戦苦闘した末、大蛇を串焼きにすることができた。


「んー、骨だらけのササミみたいな食感だ。骨邪魔だなぁ」


そんな感じで試食しているとハーピーが目を覚ました。


―お、目を覚ました。たぶん逃げるだろうな。もし襲ってきてもこれで撃ち殺すだけだ。...だけなんだけど、できれば...。


ハーピーはエメラルドのような緑色の瞳で勇人をじっと見つめた後、視線を蛇肉に移した。

目を輝かせ涎を垂らすような感じでいかにも欲しがっている様子だ。


「ほら、やるよ」


勇人は蛇の串焼きをハーピーに差し出した。

ハーピーは少し見つめた後、鳥脚を器用に使って串焼きを受け取り、足を柔軟に動かして口まで持っていって頬張る。


―すげぇ。関節が体操選手かそれ以上にやわらかいみたいだ。


ただ股を大きく開く姿勢なのでハーピーの性器が丸見えになる。

勇人はムッツリみたいに視線をそらしたかと思えばまたチラ見を繰り返した。


串焼きを食べ終えたハーピーが両手の翼を羽ばたかせる。

しかし数回羽ばたくと痛そうな表情をして翼を動かすのを止めて、鳥のように折りたたんで閉まった。


「怪我したのか?」


勇人はハーピーの翼や肩を触ったり揉んだ。


―完全に手羽と同じ構造だ。骨は触ってもそこまで痛がっている訳じゃないから骨折はしていないな。あくまで痛めただけみたいだ。だけど、このまま自由にさせたらウマみたいに怪我を悪化させて最悪死ぬことになるだろうな。


勇人は救急キットを生成すると包帯を取り出して翼をグルグル巻いて羽ばたけない様に固定した。

ハーピーは勇人を観察するだけで抵抗しなかった。


「しばらくは俺が面倒を見てやるよ」


勇人の言葉を理解しているのかはわからないがハーピーはわからない表情で勇人の言葉に頷く。

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