現代兵器と女の子でモンスターを蹂躙します

@kapiokapan

異世界転移

―あれ?


十代後半の少年が深い森の中でポツンと立っていた。

唖然としていて、何が起きていてなぜここにいるのかはわかっていないようだ。

少年の顔は唖然とした表情から徐々に焦った表情へと変わっていく。


「あれ?!俺、何でここにいるんだ、おい?!さっきまで俺....そうだよ、飯食ってネトゲしてたんだよ。なんだよ、ここは?!」


少年はひどく動揺するが、しばらくして落ち着きを取り戻す。

誰もいない話し相手もいない森なので、少年は独り言を言うのを止めて考え込む。


―だめだ、何も思い出せない。飯食って、スマホをちょっと弄って、その後で戦車ゲーで地雷な味方を引き続けて袋叩きに合って惨敗したからムカついてFPSをやってたんだ。だが、その後の記憶がない...。


それが少年のここへ来るまでの経緯の全てだった。


そう考えていると突然、光る半透明のディスプレイが目の前に現れた。


―これはステータス表示か?!


表には自身のレベルやスキルなどが記載されていた。

だがどちらかと言えば、スキルやアイテム表の管理がメインの管理表という感じだった。


ここで少年は自身の身に起きたことを漠然とながら理解する。


―俺は、いわゆる異世界に転移したのか!


それから少年はステータス表を使っていろんなことを確認した。


―俺のアビリティは武器生成。あらゆる武器を生成可能なスキルのようだ。異世界転移や異世界転生なら当たりスキルと言えるかも。いや、もっと凶悪なスキルを神に貰って異世界に来る奴が創作ものだとデフォだ。外れスキルだな、たぶん。だってステータス表にあるレベルとスキルポイントのせいでまともな武器が作れないんだからな!


実験したところ、レベル1の今の少年に作れるのはダガーナイフか小口径の回転拳銃だけだったからだ。


―今作れる銃でまともそうだったから作ったのがこのTaurus 942。自動拳銃ですらない護身用拳銃。いや、娯楽用拳銃だ。それにこの拳銃と22ロングライフル弾を少々作ったらスキルポイントがほぼ0になってしまった。ほんとにギリギリだ。スキルポイントは時間が経てば徐々に回復するようなので枯渇を心配する必要はないようだけど、これじゃとてもチートスキルとは言い難い。


少年が周りを見回す。


―なんせここは異世界なんだからな。当然のように凶悪なモンスターが出てくる。本当にこんな武器で生き残れるのか心配だ。どうする、大鳳勇人(おおとりはやと)!


少年は自分の名を心の中で呼ぶ。


「ピィイイ!」


遠くから何かの悲鳴のような鳴き声が聞こえ、勇人はそちらを振り向く。


「言ったそばからおいでなすったか。人のような声にも聞こえるけど...」


―モンスターなら逃げた方がいいか...、いや。いずれは戦わないといけないだろう。ダメなら逃げればいいんだ。見に行こう!


「よし!」


勇人は声のする方へと走り出した。

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