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    僕の足取りは………早かった。

   あのドアを開ければ、また……


   “誰にも邪魔されない世界” が……

   待っている……………


   そんな事を思っていたからだ。



   だが “それ” は……………


   『引きこもり』 ………への、


   カウントダウン直前に起きた。



 「 おじさん……………


   ……………どうしたの??


   とっても… とっても………


   ………怖い顔してるよ??


   前にね、

   死んじゃったおじいちゃんが……


   …………言ってたよ、


   辛い時こそ…………


   笑ってなくちゃだめなんだぞ!!


   …………ってねっっっ。 」



    その瞬間、僕は仰け反った。



 「 う、うわぁぁぁっ…!!! 」



    普段、人の気配すらない……

   “潮ハイツ” に…………


   『人』 ……がいたのである。


   しかも、僕のすんでいる………


   “101号室” のドアの前だ。


   歩は、恐る恐る…………


   その 『人』 に話し掛けた。



 「 び、びっくりしたぁっ………


   い、いつからいたのっ…!!?


   あぁ、キミ………………


   ……………な、名前はっ??


   一人で来たのっ…???


   お父さん、お母さんはっ…? 」



   すると、

   その 『人』 は、素直に……


   ……………こう答えた。



 「 わたしの名前は……………


   …………… 『れい』 ……。


   あのね、れいはねぇ~~~……


   今、6歳なんだよっっっ!!


   あのねっ…………

   れいの、お母さんは……………


   …………………いないの。


   れいが4才の時にねっ…………


   …………いなくなっちゃったの。


   でもね、お父さんは、いるよっ!


   …………あのね、れいねっ、


   遠い所からっっっ…………


   引っ越してきたんだよっ!!


   あ、あのぉ~~~っ…………


   …………おじさんっ、


   お名前は何てゆ~のっ…?? 」

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