第22話「メルドの暗躍」

氷室の相棒、村上は息を引き取った。


降りしきる雨の中、村上の葬儀は行われた。

氷室は勿論、新斗と仁、そして矢木博士、ヒメノ博士も参列していた。


「お焼香はこうで良かったかしら?」

ヒメノ博士は手の動きをやって見せた。

「ええ、あってますよ」

矢木博士が答える。


「村上さん、奥さんと子どもが居たんだな……」

新斗が呟く。

「ああ……お子さんはまだ5歳……これから奥さんは大変だろうな……」

お焼香を終えた氷室が近付いて言った。

「氷室さん……」

「家族を失って悲しむ人は沢山いる……だからこそ、奴らの好きにさせる訳には行かない……この国の人々を守る為に……必ず奴らを潰さなくてはならない……」

「……ですね。皆で協力してゲルドーを倒しましょう」

氷室は去って行く。


ゲルドーのアジトでは残りの四天王、メルドとジグルが話し合っていた。

「我々四天王も残るは俺達2人だけになってしまったな……」

「ええ……しかし、奴らを倒すには十分ですよ」

「ほぉ、2人が殺られたと言うのに随分な自信だな」

「ええ、私には頭脳がありますから……まぁ今回は任せて下さいよ……」

そう言ってメルドは去って行った。

「フンッ……お手並み拝見と行くか……」


村上の葬儀を終え、新斗が基地に戻って来た。

「すみません、戻りました」

「おお、鷹井、知り合いの葬儀だったんだって?大変だったな」

「ええ、何とかお焼香だけ上げて来ました」

「そうか……あっ、さっき病院から電話があってな、隊長が意識を取り戻したらしいぞ」

「本当ですか!良かった〜……」

「今、柊が代表でお見舞いに行ってる」

「そうなんですね、いや〜でも良かった〜」


その頃病院では……。


意識を取り戻した岩城と柊が話していた。

「そうか……四天王の内2人を倒したか」

「ええ、ゲルドーとの戦いもいよいよ終わりが近いと思います」

「そういえばお前も人質に取られて大変だったらしいな?」

「ええ、鷹井君のお陰で何とか助かりました」

「鷹井はここまで良くやってくれたよ。ゲルドーとの戦いが終わったらしばらく休みでもやるかな」

「そうですね。所で隊長、一体何があったんですか?私達もヒメノ博士や矢木博士から聞いてはいますが……」

「ああ……科学者協会でゼロブレイカーの開発者について調べていたらいきなり四天王の1人、ジグルが襲って来てな……何故奴がそれで襲って来たのかまるで分からんよ……何か奴らにとって都合が悪いのだろうか……」

「ん〜……どうなんでしょう?そういえばゲルドーはまだ黒幕の存在も分かってませんでしたね」

「黒幕……つまりゲルドーのボスか……そういえばそうだったな……公安でも掴めてないらしい……」

「なんか……嫌な予感がします……」

「ん?」

「あっ、いえ、何でもありません。隊長、復帰お待ちしております」

葵は岩城に敬礼。

「ああ、ありがとう」

岩城も敬礼で返す。


病院を出た葵は空を見上げた。

「あーあ、まだ止まないなぁ……」

雨はまだ降り続いていた。

葵はタクシーを呼び止めタクシーに乗り込む。

「お客さんどちらまで?」

タクシーの運転手の問い掛けに少し考えてから行き先を伝える。

だが、その瞬間振り返ったタクシーの運転手はメルドの姿に変わった。

「!?」

驚いた葵は慌ててドアを開けようとするが、メルドは薬を嗅がせ葵を眠らせる。

「フフフッ……簡単だったな……後はコイツを餌に……」

メルドの暗躍が始まった。

しかしまだこの事に新斗は気付いて居ない。


その頃、仁は『ライトニングチェイサー』で雨の中を走りホテルに戻って来た。


「ふぅ〜……いやぁ、凄い雨ですよ……ヒメノ博士……」

部屋に戻るとヒメノ博士に声を掛ける仁だったが、返事は無い。

「あれ?シャワーでも浴びてるのか?……でも鍵開いてたしそれは無いよなぁ?」

不思議に思いながら部屋の奥に入ると……。

テーブルの上に置き手紙を発見。

「ん?……コレは……!?」

その置き手紙はメルドからの物だった。

内容はこうだ。


ヒメノ ジュリ博士は預かった。返して欲しければジェットホークと共に奥中澤の村に来い。

メルド……。


「奥中澤……?何でそんな所に……クソッ、メルドめ……」

仁は手紙を握り潰す。

そして、新斗に電話をする。


「はい、鷹井です」

「鷹井、頼む……力を貸してくれ……ヒメノ博士がメルドに拐われた」

「何ですって!?分かりました、直ぐに行きます。場所は?」

新斗は急いで出発しようとする。

だがそこに自衛隊基地に警報が鳴り響く。

「何だ?」

そしてアナウンスが流れて来る。

《基地内に侵入者あり、ゲルドーの怪人と見られる、総員直ちに対処に当たれ。繰り返す……》


「そんな……こんな時に……」

自衛隊の基地にはジグルが侵入していた。

「やれやれ……メルドの回りくどいやり方は時間が掛かり過ぎる……俺は俺でやらせて貰うとするか……」

「止まれ!!」

自衛隊員達がジグルに向かってライフルやマシンガンを構える。

「フンッ、少し遊んでやるか……」

「撃て!!」

1人の指揮官の指示で隊員達は一斉にジグルに向かって発砲する。

だが、ジグルには全く通用せずジグルはひたすら突き進む。


新斗はジグルの対処に向かう。


その頃、仁は奥中澤に向かって『ライトニングチェイサー』を走らせていた。

激しい雨か降り続ける中仁は奥中澤に急ぐ。


新斗はジグルの前に到着。

既に多くの隊員達が倒れていた。

「ジグル……お前の好きにはさせない!!」

新斗は『J-ウォッチ』を操作し『ジェットホーク』を呼ぶ。

そして『装着』

ジェットホーク登場。

「あいつが……ジェットホーク?」

まだ意識のあった隊員が新斗がジェットホークを装着する所を目撃。


ジェットホークはジグルに戦いを挑む。


仁はその頃、奥中澤に差し掛かっていた。

この辺りは雨は降っておらず青空が広がっていた。

仁は奥中澤のとある村に到着。

辺りを見回す。

「変わってないな……この村は……」

そこに何者かが攻撃を仕掛ける。

「うわっ!?」

ギリギリ攻撃をかわす仁。

「フフフッ……何を思い出に浸ってるんですか?戦いはもう始まってるんですよ?」

メルドだった。

「メルド……貴様……」

「おや?あなた1人ですか?ジェットホークはどうしました?」

「何を言ってんだ……自衛隊基地を襲い鷹井の邪魔をしたのはお前達だろ!!」

「はて?それは知りませんね……だって私はジェットホークと一緒にと……!まさか、ジグルの奴勝手に!?」

「何だ?予定でも狂ったか?」

「ジグルめ……余計な事を……まぁ、いいでしょう。まずはあなたを殺します!」

「その前に……ヒメノ博士は何処だ!!」

「そうですね、会わせてあげましょう」

そしてメルドは十字架に磔にしたヒメノ博士と葵の姿を仁に見せた。

「何っ!?そうか、ジェットホークを一緒にとはこの事だったのか……」

「これから約10分後にあの2人を磔にしている十字架は爆発します。それまでに私を倒し2人を助け出せますか?」

「何だと!?貴様……絶対に許さん!!」

仁は『変身』

エッジブレイザーが登場。

エッジブレイザーがメルドに戦いを挑む。

「フンッ」

メルドはエッジブレイザーの攻撃を軽くあしらう。

「くっ……」

「急がなければ2人を助けられませんよ?」

「くっ……だったら……速攻で倒す!!」

エッジブレイザーは『ライトニングショット』でメルドに攻撃。

「ぐはっ!?」

メルドにダメージを与える。

「水の力を持つお前が電気に弱いのは見え見えなんだよ!!」

「そうですねぇ……ではこれならどうです?」

メルドは水のエネルギーを集め始めた。

「何だ……?何をする気だ!?」

「この水帝メルド……命に変えてもあなたを倒しますよ!!」

メルドの水のエネルギーは凝縮されエッジブレイザーに向かって放たれる。

「うわっ!?」

エッジブレイザーをとてつもない水圧が襲う。

水の勢いに流されるエッジブレイザー。

「ぐあっ!?……なんて威力だ……」

「これであなたも水を喰らいましたね……電気の力を使えますか?」

「しまった……体が濡れた事でライトニングショットの攻撃は俺にもダメージが……」


そして、自衛隊基地内で戦うジェットホークはジグルの雷攻撃に苦戦していた。

「喰らえ!!」

ジグルが指先から雷を放つ。

「うわぁぁぁぁっ!?」

ジェットホークは大ダメージを受ける。


果たしてジェットホークとエッジブレイザーは2人の四天王に勝てるのか?


続く……。

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