第21話「ミザルの最後」
ミザルの罠にハマり変身が出来なくなってしまった新斗と仁……。
公安の村上に助けられ一同は矢木博士の研究所に向かう。
「矢木博士!!」
慌てて新斗が入って来た。
「新斗君、どうした?」
「俺達……変身が出来なくなって……」
そう言って新斗は『J-ウォッチ』を矢木博士に見せた。
「コレは……」
「この粘着剤のせいで変身が出来ないのね……良いわ直ぐに中和剤を作るから待ってて」
ヒメノ博士は早速準備に掛かる。
「しかしどうやって?」
「成分が分かれば中和する方法が見つかるはずよ。その粘着剤を採取させて」
そう言ってヒメノ博士は新斗のJ-ウォッチに付着した粘着剤をピンセットで採取した。
「しかし困ったな……これでは誰も戦う事が出来ない……今ゲルドーが襲って来たら……」
「矢木!そんな事言ってる暇があったら手伝って頂戴!ハリーアップ!!」
「は、はい!」
矢木博士も作業に掛かる。
「村上さん、ありがとうございました……氷室さんはどうです?」
「氷室はまだ目を覚まさない……あれだけのダメージだ……復帰は大分先になるかも知れん……」
「そうですか……」
「そういえばお前の仲間が拐われたと言っていたな。彼女は大丈夫なのか?」
仁が新斗に尋ねる。
「ああ……柊先輩の事ですか……正直分かりません……助けられるかどうか……」
「そうか……だが俺も全力でサポートする。彼女ならきっと大丈夫さ」
「はい……」
ダメージを受けたミザルは採石場から離れて街の方に向かっていた。
「おのれ……奴らを……この手で……」
そこにメルドがやって来た。
「ミザル……随分辛そうだな」
「メルド……黙れ、想定外の事が起きただけだ」
「公安か……確かにこの国を攻め落とすには邪魔な存在だな……しかし、国を守ろうとする連中はどこの国でも居るぞ?日本の公安警察如きに苦戦していては我々の世界征服など夢のまた夢だ……」
「分かっている……だが、俺は俺のやり方でまずは奴らを倒す!」
「ならコレを貴様にくれてやる」
そう言ってメルドはカプセルを差し出した。
「なんだ?それは……」
「貴様がこれまで散々喰らった公安の弾丸を分析して作られた薬だ……コレを飲めばあの弾丸も効きはせん」
「本当か……ならくれ!!」
ミザルは手を伸ばす。
「おっと……最後まで話を聞け。これは相当強い薬だ……一歩間違えばお前は自我が保てなくなり最後には死ぬかも知れん……その覚悟があるか?」
「……世界征服は我々ゲルドーの悲願……それを達成する為なら命など惜しくはない!!」
「なら使ってみろ……」
ミザルはメルドからカプセルを受け取った。
早速カプセルを飲み込むミザル。
「うおおおおっ……何だ!?身体が熱い……」
「次期に慣れる。これで奴らの弾丸への耐性がついたはずだ」
「ぐぅぅぅ……だが、感謝するぜメルド!」
ミザルは空を飛び街に向かう。
「感謝するのはこちらの方だよ……丁度良い実験ネズミになってくれて……」
そう言い残しメルドは姿を消した。
街に到着したミザルは片っ端から突風により街を破壊して行った。
「何だ!?以前よりも力が増している……これもカプセルの力か……」
その頃、アジトに戻ったメルドは……。
「ボス、ご命令通りミザルにカプセルを飲ませて参りました」
とボスに報告。
「ご苦労だったメルド……」
「しかし……このカプセルは一体誰が?」
「何、我々の協力者がな……同じ悪の道を歩むお友達だ……」
「はぁ……お友達……ですか?」
そのボスの言うお友達とは……。
スカーとブラウだった。
「怪人強化の新薬……中々の効き目の様ですね……」
ブラウがスカーに言う。
「ああ……組織が開発した新たな強化薬だ……奴らを実験台にするには丁度いい……」
スカーが答える。
街でミザルは暴れ回る。
「そこの怪物!止まれ!!」
警官隊が駆け付けミザルに拳銃を向ける。
「あん?お前らみたいな雑魚に用はねぇんだがな……」
「撃て!!」
1人の警察官の指示で警官隊が一斉に発砲。
しかし、警察官達が持つ普通の拳銃では全く歯が立たない。
次々に警察官がミザルに殺害されて行く。
ミザルの出現は矢木博士の研究所でも察知していた。
「クソ〜……もう来たか……急いで中和剤を完成させないと……」
矢木博士は中和剤の完成を急ぐ。
「奴は俺が食止めておく。中和剤の完成を頼むぜ」
村上は出て行く。
「待って!今俺達に戦う手段はありません……もしもの事があったら……」
「悪いな、俺も公安の人間として国を脅かす存在を放ってはおけない……それにこの弾丸があれば大丈夫さ」
「しかし……」
「君達が来てくれる事、信じてるぜ」
そう言って村上は出て行く。
「あ〜もう!矢木博士、ヒメノ博士まだですか!?」
「そう急かすなよ……専門外なんだから!」
「でも!!」
「シャラップ!!」
ヒメノ博士が怒鳴る。
「はい……ごめんなさい……」
村上は現場に到着。
「酷いな……」
現場には既に何人もの警察官の死体が転がっていた。
「公安か……貴様……さっきはよくもやってくれたな!!」
「ミザル……俺に氷室の様な戦う力はない……でも、この国を守る為にお前達を許す訳には行かない!!」
村上はミザルにライフルを向ける。
「またその銃か……良いぜ……やってみろ?」
村上はライフルを撃つ。
弾丸は見事に命中。
しかしミザルには全く効いていない。
「何っ!?そんな馬鹿な!?」
「ほぉ……あの薬は本当に役に立つみたいだな……」
「薬?」
ミザルは村上に襲い掛かる。
「うわっ!?」
ミザルは村上の首を締め上げる。
「がっ!?がっ……」
氷室……氷室……。
心の中で必死に氷室の名前を呼ぶ。
その声が聞こえたかの様に氷室も目を覚ます。
「……村上?」
そしてその頃……。
「出来たわ!!」
ヒメノ博士が中和剤を完成させた。
「流石ヒメノ博士、この短時間で……」
「成分さえ分かればイージーよ」
ヒメノ博士は早速、新斗と仁のブレスに中和剤を注入。
すると、粘着剤はみるみる溶けて行く。
「おお!凄い!」
「急ごしらえの割には上手く行きましたね」
矢木博士も成果を見て納得。
「当然よ、だって私は……」
「ジーニアス!天才なんでしょ?」
矢木博士が言うと……。
「ちょっと!私の決めゼリフ取らないでちょーだい!」
「滝川さん、行きましょう!」
「ああ!」
新斗はジェットホークを『装着』
仁はエッジブレイザーに『変身』
「よし、行きますよ!」
ジェットホークがエッジブレイザーを抱きかかえ空から出動。
「おいおい、まさかこのまま行くのか!?」
「勿論!!」
ジェットホークはエッジブレイザーを抱きかかえたまま出動。
「気を付けろよー!」
矢木博士が見送る。
「本当、良いコンビになったわね」
「ですね」
そして直ぐにジェットホークとエッジブレイザーは現場に到着。
「ミザル!!覚悟しろ!!」
エッジブレイザーが空からミザルを攻撃。
「ぐあっ!?何っ!?貴様ら〜!?」
そして着地。
「村上さん!大丈夫ですか?」
ジェットホークが村上を駆け寄る。
しかし、既に村上の意識は無かった。
「くっ……ミザル……なんて事を……」
「フンッ知るかよ……」
そこに氷室もやって来た。
「なるほど……村上をやったのはお前だったのか……」
「え?氷室さん?」
「やぁ、村上の敵討ちだ。僕も参加させて貰うよ」
「大丈夫なんですか?」
「ああ、どうって事ない」
氷室もゼロブレイカーに『変身』
3人のヒーローが並び立つ。
「フンッ、ヒーロー3人揃い踏みか……なら纏めて地獄に送ってやる」
「残念だが……地獄にはお前1人で行って貰う……」
「皆さん、行きますよ!!」
「ああ!」
3人で一斉にミザルに攻撃を仕掛ける。
「死ねー!!」
ミザルを攻撃を仕掛ける。
しかし、3人は見事に連携し誰かが攻撃を喰らえば誰かが攻撃を仕掛けるを繰り返しミザルを追い詰めて行く。
ジェットホークが空からミザルに攻撃。
「ぐわっ!?」
続けてエッジブレイザーがミザルを攻撃。
「ぐっ……」
最後にゼロブレイカーが攻撃。
「ぐはっ!?」
エッジブレイザーは『ライトニングショット』を構える。
「喰らえ」
ミザルにダメージを与える。
ゼロブレイカーは『ゼロスナイパー』を構える。
「こっちもおまけだ!」
ミザルに更にダメージを与える。
「ぐっ……何だ……さっきから身体が重い……まさか……薬の効き目が切れたのか!?」
その様子をスカー達が見ている。
「アイツ……なんか動きが鈍くなってませんか?」
ブラウが尋ねる。
「その様だな……薬の効き目が切れて来た様だ……」
「え?じゃああの薬は?」
「まだまだ改良の余地がありそうだ……まっ、実験台としては良い仕事をしてくれたよ……行くぞ」
スカーは去って行く。
「え?ちょっと、スカーの兄貴……」
「フンッ……ゲームオーバーだな……」
スカーはそう最後に呟き姿を消した。
「ぐっ……馬鹿な……身体が……思う様に動かない……」
「トドメだ!!」
ジェットホークは『ブルースカイフォーム』にチェンジし『ブルースカイブレード』で上空からミザルを攻撃。
必殺技『ジェットストライカー』が炸裂。
「ぐわぁぁぁっ!?」
ミザルは倒された。
「勝った……」
「!村上!!」
ゼロブレイカーは変身を解除し、氷室が村上に駆け寄る。
そして村上を抱き上げる。
「村上!村上!しっかりしろ!!」
「ん?……氷室?」
「ああ、俺だ!しっかりしろ!!」
「良かった……気が付いたんだな……奴らは手強い……この国を……守……れ……」
そう言うと村上は力尽きた。
「村上?村上!村上ー!!」
氷室は何度も村上の名を呼び続けた。
だが、村上がもう返事をする事は無かった。
このまま村上は氷室の腕の中で息を引き取った……。
続く……。
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