国を守る力
第16話「公安動く」
新斗達が大阪から帰って数日が経過した。
この日、新斗は休日で友人の晴人と会っていた。
「ごめん、お待たせ」
晴人が待ち合わせの場所にやって来た。
「おう、俺も今来た所だ。んで、今日は何だ?またメイドカフェ行こうってのか?」
「あっ、いや……それはまぁ後で行こうかと……でもその前にお前に付き合って欲しい所があるんだ」
「へ?」
新斗と晴人は街に繰り出す。
久しぶりの休暇を楽しむ新斗。
その頃、航空自衛隊基地では……。
隊員達は新斗と葵が買ってきたお土産を食べ休憩していた。
「ん?うまいな!この新喜劇饅頭!」
「でしょ?試食したけど美味しかったのよ!」
葵が得意気に言う。
「しかし、柊がお笑い好きだったとはな」
岩城隊長も話に加わって来た。
「あっ、隊長!隊長もお一ついかがですか?」
「ああ、ありがとう。だが、この後約束があってね、帰ってから貰うよ」
「そうですか」
「と、言う訳で少し留守にするから後を頼むぞ」
「了解」
岩城隊長は出掛けて行った。
新斗と晴人は久しぶりのゲーセンを楽しんでいた。
「いや〜ゲーセンなんて久しぶりだなぁ」
「ああ、たまには良いよな。ストレス発散になるし」
ゲーセンの薄暗い店内には昔からある様な格ゲーやレーシングゲーム、ゾンビシューティングゲーム等が所狭しと並んでいた。
「なぁ、折角2人で来たんだしホッケーでもやんね?」
「おっ!良いね!そういえば高校の頃良くやったよな」
新斗と晴人はホッケーをする事に。
その頃、ゲルドーのアジトでは……。
四天王が集まる。
「さて、次は誰が行く?」
雷帝ジグルが他の3人に問う。
「俺はエッジブレイザーと遊んでやるかな」
風帝ミザルが口を開く。
「ならジェットホークは俺が潰すぜ!バラダンの仇を取ってやらねぇとな」
ヴォルガも出撃する気の様だ。
「そうか、ならお前達に任せる。メルド、お前は?」
「さて、どうしようかね……」
「お前は留守番だ!!前回の失敗の反省でもしてろ!」
ヴォルガはメルドを叱責する。
「何?貴様に文句を言われる筋合いは無い」
「何だと!?テメェ……」
「はぁ……辞めろバカ共……今は我々が争っている場合では無いだろ」
ジグルがヴォルガとメルドの喧嘩を止める。
「ぐっ……まぁ良い……とにかく俺はジェットホークを仕留めて来るぜ」
ヴォルガは出て行く。
「メルド、お前は我らの事を嗅ぎ回ってる奴の始末をしろ。前回の大阪での件も仕留め損なったのだからな」
「ああ……」
メルドはアジトの奥に入って行く。
仁がヒメノ博士と何かを話し合っていた。
「博士、エッジブレイザーのダメージはどうですか?」
「ええ、この位なら問題無いわ。いつでも戦えるわよ」
「そうですか……」
「それより、結局誰だったのかしらね?仁を助けたスナイパーって」
「さぁ、それに関しては何とも……」
「あっ、そうだ!矢木から大阪のお土産貰ったけど食べる?」
「お土産?」
「そう……吉本新喜劇饅頭ですって」
「はぁ……」
仁も新喜劇饅頭を食べて見た。
「!うまっ……」
その頃、岩城隊長は約束の場所に到着。
「どうも、航空自衛隊の岩城です」
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
男に案内され、岩城隊長はビルの中に入って行く。
案内されるままエレベーターで最上階まで行くと奥の部屋に通された。
扉をノックする岩城
「どうぞ」
中から声がし扉を開ける。
「失礼します。航空自衛隊所属の岩城です」
「お待ちしておりました。警察庁公安課の三上 宗孝(みかみ むねたか)ですそしてこっちが……」
「同じく氷室亮介(ひむろ りょうすけ)です」
「どうも……」
「そして私が村上です」
岩城を案内して来た男も自己紹介し、氷室の横に立つ。
「公安警察ですか……国を守る組織であるあなた方が私を呼ぶと言う事はやはり……」
「ええ、ゲルドーについてです」
「それで……何故私を?」
「我々公安は国家の安全を脅かす存在としてゲルドーをマークして来ました。そして、ジェットホークについても調べさせて貰った……ジェットホークの正体はあなたの部下ですね?」
「はい……その通りです」
「これまでは我々にはゲルドーを倒す力が無かった為、ジェットホークに任せるしか無かった……ですが、我々も遂にゲルドーを倒せる力を手に入れた。その為、これからは我々もゲルドーとの戦いに本格的に参加するつもりです。ですから、あなたにその事を説明し協力体制を築く必要があると思い来て頂いた訳です」
「ゲルドーを倒せる力?それは一体?」
その頃、ヴォルガが街に現れた。
「さて、適当に暴れてジェットホークを誘き出すか」
ヴォルガは破壊活動を開始。
突然の攻撃に街の人々はパニックとなり逃げ惑う。
その情報を矢木博士がいち早く察知。
岩城に連絡する。
携帯がなる岩城隊長。
「失礼……もしもし?」
「岩城隊長、ゲルドーだ!ヴォルガが暴れてる!」
「なんですって!?分かりました。直ぐに鷹井を向かわせます」
「ゲルドーか、丁度いい、我々の力もお店しましょう」
「え?」
「氷室、村上、出動だ」
「了解!」
氷室と村上は現場に向かう。
連絡を受けた新斗は晴人を避難させ、現場に急ぐ。
「矢木博士、ジェットホークは?」
「ああ、いつでもオーケーだ」
「了解!」
新斗は『J-ウォッチ』を操作しジェットホークを呼ぶ。
その頃、仁も『ライトニングチェイサー』で現場に向かっていた。
だが、仁の前にはミザルが現れる。
『ライトニングチェイサー』を停める仁。
「またお前か……」
「フンッ、あっちはヴォルガが楽しんでるはずだ。だからお前は俺と遊ぶんだよ」
「上等だ……今度こそ倒してやる!」
仁は『変身』
エッジブレイザーとなりミザルと戦い始める。
『ライトニングエッジ』を手に接近戦に持ち込む。
その頃、新斗はジェットホークを装着し現場に到着。
「ヴォルガー!!」
ジェットホークはヴォルガに殴り掛かる。
「フンッ!来たかジェットホーク……」
だが、ヴォルガは余裕で攻撃を受け止める。
「くっ……」
「なら……楽しく遊ぼうぜ!!」
ヴォルガはジェットホークを投げ飛ばす。
「ぐわっ!?」
壁に叩きつけられジェットホークはダメージを受ける。
「喰らえ!!」
ヴォルガは火球を放ちジェットホークを攻撃。
「うわぁぁぁぁっ!?」
更にヴォルガは火球を投げ続ける。
ヴォルガの容赦ない火球攻撃がジェットホークを襲い反撃の隙を与えない。
「ぐっ……ダメだ……このままじゃ……反撃に移れない……」
そして、エッジブレイザーもミザルに苦戦する。
ミザルの突風攻撃で近付けない。
「くっ……」
「ハハハッ!どうしたエッジブレイザー?そんなもんか?」
「くっ……奴を……なんとか……」
ヴォルガとジェットホークが戦う現場に氷室と村上が乗った車が到着。
「まずいな……奴の攻撃で被害が広がる一方だ……」
「氷室、サポートは任せろ。お前はしっかり初陣決めて来い!」
「ああ!」
氷室が車から降りる。
「ん?何だアイツは?」
氷室の登場に気を取られたヴォルガは攻撃を止める。
「くっ……誰……だ?」
「この国を脅かす者よ……とっとと消え失せろ!」
氷室は桜の紋章があしらわれた黒い変身アイテム『ゼロコマンダー』を腰に当てる。
するとベルトが展開され黒いアイテムはバックルとなった。
氷室は『変身』
3人目のヒーローが姿を現した。
黒いボディーに身を包んだ新たなヒーロー、ゼロブレイカーが登場。
「アレは!?」
ジェットホークも驚く。
「何だと!?」
ヴォルガも驚いている。
そして、その戦いの様子を村上がパソコンのカメラで撮影し、三上と岩城にも中継で見せていた。
「これが……ゲルドーと戦う力……」
驚く岩城。
三上は得意げに頷く。
「氷室、奴の火球攻撃は遠距離からの狙撃じゃ無効化される。接近戦で一気にケリを着けろ!」
村上の指示がゼロブレイカーに届く。
「了解……」
ゼロブレイカーは両手にグローブタイプのアイテム『ナックルバスター』を装着。
ゼロブレイカーは一気に距離を詰めヴォルガに殴り掛かる。
「何っ!?」
ゼロブレイカーはボクシングスタイルで連続でヴォルガにパンチを叩き込む。
「ぐあっ!?」
強烈なパンチを連続で喰らいダメージをよろけるヴォルガ。
「何だ?もうダウンか?」
「くっ……ふざけんな!!」
ヴォルガの反撃。
だが、ゼロブレイカーはその攻撃を体勢を低くしてかわし、そのままアッパーを喰らわせる。
「ぐっ!?」
「凄い……」
「馬鹿な……俺が……ここまで!?」
「さぁ、そろそろトドメと行くか!」
「くっ……ふざけんな……この勝負預けたぞ!」
ヴォルガは姿を消した。
「逃したか……」
「いや、初陣には十分だったよ。幹部クラス相手なら尚更ね」
村上が車から降りて来て言う。
「そうか?じゃあ、まっ、いいか」
ゼロブレイカーは変身を解除し、氷室の姿に戻る。
「大丈夫ですか?ジェットホーク……」
「ああ……あなた達は一体?」
ジェットホークも『装着』を解除して新斗の姿になる。
「我々は公安警察の者です。これからあなた達と協力する事になるでしょう」
「え?」
まだまだ驚きを隠せない新斗……。
しかし、新たなヒーローが登場した事でゲルドーとの戦いは更に激しさを増す。
続く……。
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