第10話「決戦、VSヴィリス(前編)」
シロクマモンスターとの戦いから1週間が経過した。
その間、ゲルドーが仕掛けて来る事は無く、久しく平和な日々が続いていた。
この日、新斗達は矢木博士の研究所に集まっていた。
「瀧川さんもすっかり風邪治りましたね」
「ああ、もう大丈夫だ」
「じゃあ、改めて紹介します。職場の先輩の柊葵さんです」
「初めまして、柊です」
「どうも、瀧川仁です」
「私はヒメノよ。宜しくね」
「柊も新斗がジェットホークとして戦っている事は知ってる。だから機会があったら紹介しようと思ってたんだが……遅くなってしまって」
と岩城隊長が説明。
「本当ですよ。全然紹介してくれないんですもん」
「いやぁ、悪かった悪かった」
「さぁ、皆お茶が入ったぞ。美味しいお茶菓子があるから皆で食べよう」
そう言って矢木博士がお茶を出す。
紹介を終えしばらくは皆で談笑する。
その頃、ノイズのアジトではヴィリスが次の作戦の準備に取り掛かっていた。
「クソ〜ジェットホークめ……エッジブレイザーめ……今日こそ貴様らを地獄に送ってやる……」
矢木博士の研究所を後にして岩城、新斗、柊は基地に戻る事に。
「それでは今日はこれで失礼します」
岩城が挨拶をする。
「ええ、またいつでもどうぞ」
矢木も岩城達を見送る。
「はい、よし、それじゃあ帰るぞ?」
「了解!!」
岩城、新斗、柊の3人は車に乗り込み新斗の運転で帰って行く。
自衛隊基地に向かって車を走らせていると、突然目の前にヴィリスが現れた。
「うわっ!?」
新斗は急ハンドルを切りヴィリスを避ける。
「きゃっ!?……ちょっと何?」
「ヴィリスだ……」
そう言って新斗は車のドアを開ける。
「鷹井、気をつけろ」
「はい……」
新斗が車を降りヴィリスに近付いて行く。
「ヴィリス……何のつもりだ?」
「今日で貴様らとはお別れだ」
「はぁ?」
「ジェットホークとエッジブレイザーを今日殺すと言う事だ」
「!!……テメェ……好き放題言ってんじゃねぇ!!」
新斗は『J−ウォッチ』を操作しジェットホークを呼ぶ。
そして『装着』
「行くぞ!!」
ジェットホークがヴィリスに戦いを挑む。
その頃、仁もヴィリスが現れた事を察知し、既に向かっていた。
ジェットホークがヴィリスにパンチを繰り出す。
だが、その攻撃は軽く受け止められる。
「ぐっ……」
「そんなもんか?」
ヴィリスの反撃を受けジェットホークは弾き飛ばされる。
「ぐあっ!?」
「フンッ、つまらんぞ……」
「鷹井!?」
「鷹井君しっかり!!」
「ぐっ……分かって……ますよ……」
ジェットホークは立ち上がる。
「そうでなくてはな……殺し甲斐がない……」
そこへエッジブレイザーが現れ『ライトニングショット』でヴィリスを攻撃。
「ぐあっ!?……エッジブレイザー……来たか……」
「今日はお前1人か?デビルズモンスターもネタが尽きたか?」
「黙れ!今日はお前達を直々に殺しに来てやっただけだ」
「ほぉ……」
エッジブレイザーとヴィリスは睨み合った後、一気に接近し戦い始める。
エッジブレイザーとヴィリスは激しい攻防を繰り広げる。
「ぐっ……なんて戦いだ……俺も……」
ジェットホークも再び戦いに参戦。
だが、ヴィリスは2人を相手にしても全く引かず、むしろその強さでジェットホークとエッジブレイザーを追い詰めて行く。
「クソッ、やっぱコイツ強い……」
「怯むな……弱さを見せたら負けだ……」
とエッジブレイザーは言う。
「そう……だな……」
ジェットホークはエッジブレイザーの言葉に感化され立ち上がる。
「フンッ、実力の差があり過ぎる……お前達では俺に勝てない」
ヴィリスは右手にエネルギーを集め始める。
「まずい……あの技は……」
「何だ?」
「避けろ!!」
エッジブレイザーが咄嗟にジェットホークを突き飛ばす。
「うわっ!?」
「喰らえ!!」
ヴィリスの放った光球がエッジブレイザーに命中。
「ぐわぁぁぁぁっ!?」
エッジブレイザーは大ダメージを受ける。
「ぐっ……ち……チクショー……」
変身が解除され、仁の姿に戻る。
「瀧川さん!!」
「くっ……おのれ……」
仁はその場で倒れた。
「チッ、纏めては無理だったか……だが!」
ヴィリスはジェットホークを睨みつける。
「次はお前だ……」
ヴィリスがジェットホークに迫る。
「まずい、させるか!!」
岩城隊長が手榴弾を投げヴィリスの気を反らす。
ヴィリスの目の前で手榴弾は爆発。
「ぐわっ!?」
「今だ!」
岩城と柊は仁を何とかその場から離れさせる。
「ぐっ……おのれ〜……ただの人間がぁ……」
「鷹井!今は1度引け!!」
岩城隊長の指示が飛ぶ。
「いや、でも……」
「引け!これは命令だ!!」
「くっ……了解……」
ジェットホークは空から岩城と柊は仁を連れて車でその場を離れる。
「チッ……逃したか……だが、次で必ず……」
仁はそのまま病院に運ばれた。
ヒメノ博士と矢木博士も病院に駆け付ける。
「岩城隊長、仁君の様子は?」
「ええ、今はまだ何とも……現在処置室で……」
「そうか……心配だな……」
「大丈夫よ。仁はタフガイだから、そう簡単に死なないわよ」
「そうですね」
「所で鷹井君は?」
「途中で別々の方向に逃げましたから……」
「無事だと良いが……」
その頃新斗は……。
「ハァ……ハァ……クソッ……」
ジェットホークの装着を解除し、敷地の広い公園に来ていた。
公園のベンチに座って休む新斗。
「あ〜……クソッ……ヴィリスの奴……なんて強さだ……」
ヴィリスの強さを見せつけられ攻略の糸口を考えていた。
そしてヴィリスは……。
「チッ……奴らめ……何処に行った……?」
病院では仁の処置が終わり処置室から出て来た。
「仁!」
まだ仁は麻酔が効いていて眠っている。
そして医者がやって来る。
「何とか一命は取り留めました。しかし、何故こんな事に?」
「はぁ……それは……」
「……とにかく、しばらくは激しい運動は控えて下さい」
「はい……」
「ではお大事に」
そう言って医者は去って行く。
「あの……ヒメノ博士、我々はあのヴィリスの技を初めて見ました。しかし、瀧川君は知っている風でした。知っているんですか?」
岩城がヒメノに尋ねる。
「ああ……あの光弾ね……あの技はヴィリスにとっても最大限の大技なんだけど……前にアメリカで戦った時も1度使われた事があって……その時は酷い被害が出てしまったわ……アレは私がエッジブレイザーを完成させてわりとすぐの頃だったんだけど……」
そう言ってヒメノ博士は以前アメリカで起きたヴィリスとの戦いの説明をし始めた。
今から3年程前、まだアメリカの世間でもゲルドーの存在はあまり知られて無かったが、当時ヒメノと仁は既にゲルドーの存在に気付き、ヒメノが完成させたばかりエッジブレイザーと共に仁が戦っていた。
そんなある日動き出したのが幹部クラスのヴィリスだった。
ヴィリスは戦いを好む性格の為、デビルズモンスターと共に自ら戦いに出て来ていた。
その時はエッジブレイザーもヴィリスに苦戦し、敗北寸前まで追い詰められていた。
ヴィリスはエッジブレイザーにトドメを刺そうと例の光弾を放った。
仁も死を覚悟したが、その時、彼の前に現れ身代わりとなって光弾を喰らったのが仁のFBIの相棒のエリックだった。
光弾を喰らったエリックはその場で殉職。
「そうか……だから瀧川君は咄嗟にジェットホークを庇ったのか……」
「ええ、それから私はエッジブレイザーに改良を重ね、今の強さにまで押し上げたわ。もう二度と仁の大切な人を失わせない為に……」
「瀧川君は悲しい過去を背負ってると言う訳か……」
「ええ……でも彼の場合それだけじゃないの……」
「え?」
「あっ、それは仁に聞いて……私から勝手に話す事じゃないと思うから……」
「わかりました……」
ヴィリスは新斗と仁が見つからない事にイライラを募らせていた。
「クソッ!!こうなったら炙り出してやる!!」
痺れを切らしたヴィリスは2人を誘き出す為に無差別に東京の街を破壊し始めるのだった。
続く……。
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