第9話「ヴィリスの絶対零度作戦」

この所、ジェットホークとエッジブレイザーは協力し、ヴィリスのデビルズモンスターを次々に倒し連戦連勝をしていた。

「ぐっ……何故だ!!何故奴らに勝てない!!チクショー……」

ヴィリスの苛立ちは頂点に達していた。

このままでは自分の力に期待し日本に呼んでくれたボスに顔向け出来ない。

ヴィリスはそう悩んでいた。


航空ショーでの爆破事件、新宿や秋葉原の襲撃事件等が大大的に報道が繰り返され日本全土でゲルドーの存在が広がっていっていた。


また、度重なるゲルドーに出現に事態を重く見た日本政府はその対策に追われていた。

各分野の専門家が互いの知識を持ち寄りゲルドーの危険性を連日ワイドショーで話し合っていた。


その様子を休憩中にテレビで見る新斗達……。

「いや〜最近こんなニュースばっかりだな……」

隊員の1人がそう呟く。

「ええ、あの暴れてる奴ら何者なんでしょうね〜?」

「それもだが、あの怪物達を倒してるやつらも気になるよな〜……一体どこの誰なんだろ?」

「ああ、ジェットホークとエッジブレイザーですよ」

「え?何でお前知ってんの?」

「えっ?」

新斗はしまったと思った。

「ああ、それ、ネットで考察してる人が居てその人がそう名付けたのよ」

そこに柊がやって来て助け舟を出す。

「柊……へぇそうなのか。お前も良く知ってたな」

「たまたまね、私もあのヒーローについて気になってたから」

「へぇ〜ジェットホークにエッジブレイザーねぇ……」

「まっ、大方どっかのヒーローマニアが名付けたんでしょ」

「まぁ、そんなもんだろうな。……んじゃ、俺はそろそろ戻るわ」

そう言ってその隊員は去って行った。

「ふぅ〜……柊さん助かりました……」

「あんたも発言には気を付けなさいよ」

「はい……」

「ねぇ、今度会わせてよ」

「へ?」

「エッジブレイザーにもさ」

「ああ……そうですね。じゃあ今度……」


その頃、ヴィリスは新たなデビルズモンスターを作り上げていた。

「よし……これで完成だ……」

新たに誕生したデビルズモンスターはシロクマタイプデビルズモンスター。

「さぁ、行け!新たなデビルズモンスターよ。お前の力で日本を凍りつかせてやれ!!」

シロクマモンスターは出撃。


シロクマモンスターは街に現れると口から冷凍ガスを吐き街中を凍りつかせて行く。

急に極寒の世界となり夏が近付いていた日本では殆どの人が薄着……。

凍える寒さに大パニックとなった。


矢木博士の研究所ではゲルドーの出現を察知。

「またゲルドーか……鷹井君に連絡だ」

矢木博士は鷹井に電話を掛ける。

「はい?矢木博士?」

「鷹井君!またゲルドーが現れた!ジェットホーク出動だ!」

「了解!」

電話を切ると……。

「柊さん、俺行って来ます!!」

「分かった……気を付けて」

新斗はしっかりと頷く。


現場には一足先に仁が到着。

「まったく……懲りない奴らだ……」

仁は『ライトニングチェイサー』を降りるとシロクマモンスターに向かって飛び蹴りをした。

シロクマモンスターは仁の飛び蹴りを受け冷凍ガスの攻撃を中断。

「行くぞ」

仁は『変身』

エッジブレイザー登場。

エッジブレイザーがシロクマモンスターに戦いを挑む。

しかし、シロクマモンスターも冷凍ガスの攻撃で応戦。

「うわっ!?」

堪らずエッジブレイザーはシロクマモンスターから離れる。

だが、シロクマモンスターは冷凍ガスの攻撃を続ける。

「クソッ……これじゃあ近付け無い……」

そこへ新斗が到着。

「瀧川さん……」

新斗も『J−ウォッチ』を操作しジェットホークを呼ぶ。

そして『装着』

ジェットホークは右腕の小型レーザー銃でシロクマモンスターを攻撃。

シロクマモンスターは冷凍ガス攻撃を中断。


「大丈夫ですか?」

「ああ、助かったよ。サンキュー」

ジェットホークとエッジブレイザーが構える。

シロクマモンスターも態勢を立て直し再び冷凍ガスを吐く。

ジェットホークとエッジブレイザーは互いに左右に攻撃をかわす。

しかし、冷凍ガスの中からシロクマモンスターがエッジブレイザーに突進して来た。

「うわっ!?」

「瀧川さん!?」

シロクマモンスターはその腕力でエッジブレイザーの首元を掴んだ。

「ぐあっ!?……」

ジェットホークが立ち上がりエッジブレイザーを助けに向かおうとする。

だが、そこにヴィリスが現れジェットホークの邪魔をする。

「お前!?」

「フンッ……俺も戦いに来たぜぇ……」

ヴィリスがじわりじわりとジェットホークに歩み寄る。

「くっ……」

「ジェット……ホーク……俺の事はいい……戦え!」

「瀧川さん……はい!」

ジェットホークも構える。

ヴィリスがジェットホークに攻撃を仕掛けて来る。

ジェットホークも応戦。

「フンッ……シロクマモンスターよ。今の内にエッジブレイザーが氷漬けにしてやれ!」

シロクマモンスターがヴィリスに命令に従いエッジブレイザーに冷凍ガスを浴びせる。

「ぐわぁぁぁっ!?」

「瀧川さん!?」

「オラッ!!戦いに集中しろ!!」

ヴィリスがジェットホークを蹴り飛ばす。

「ぐあっ!?……くっ……チクショー……」

シロクマモンスターから冷凍ガスを浴びせられ続けたエッジブレイザーは次第に動かなくなって行く……。


その頃、矢木博士の研究所では……。

ヒメノ博士が飛び込んで来る。

「失礼するわよ!!」

「うわっ!?ヒメノ博士!?」

ヒメノ博士はノートパソコンを広げ準備をする。

「博士……何を?」

「コンセントはどこ?」

「へ?ああ、ええっと……」

「ハリーアップ!!急いで!!」

「はっ、はい!!そこに!!」

矢木博士が指差した先にコンセントを発見し、パソコンの電源コードを差すヒメノ博士。

早速パソコンを起動させる。

「早く早く……」

パソコンが起動すると、ヒメノ博士は早速操作を開始。

「博士……それは?」

「シャラップ!!静かにして!!」

「はっ、はい……」

「あっ、あった……」

ヒメノ博士はエッジブレイザーのある機能を遠隔で操作した。

すると……。

「あっ……熱い……」

氷漬けにされ意識が朦朧としていた仁が意識を取り戻した。

「ヒメノ博士……くっ!」

エッジブレイザーはシロクマモンスターを殴り飛ばす。

「何っ!?」

ヴィリスも驚く。

「危なかった……このまま凍傷で死ぬ所だった……」


「ヒメノ博士……あの……喋っても?」

「ええ、一先ずいいわよ」

「今のは?」

「こんな時の為に用意しておいたエッジブレイザーの装甲の温度調節機能よ。氷系の敵に対抗する為に熱を、炎系の敵に対抗する為に冷気をエッジブレイザーの装甲に送れるようにしておいたの。今のはそれを遠隔操作でやったってわけ」

「へ〜……なんて用意周到な……」

「当然よ。だって私はジーニアス!天才なんだから!」


「ぐっ……馬鹿な!?私の絶対零度作戦が!?」

「おい……」

ヴィリスが振り向くと……。

「おりゃぁぁぁぁっ!!」

ジェットホークのパンチが炸裂しヴィリスを殴り飛ばす。

「ぐはっ!?」


そしてエッジブレイザーも反撃。シロクマモンスターに迫る。

「散々好き勝手やってくれたな……」

エッジブレイザーは『ライトニングショット』にグレネードランチャーを装着し、必殺技『ボルテックキャノン』を放つ。

シロクマモンスターは倒された。

「くっ……ここまでか……」

ジェットホークは必殺技『ジェットストリームキャノン』を発動。

ヴィリスに放つ。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」

ヴィリスを倒すまでは至らなかったがダメージを与えた。

「ぐっ……おのれ……」

ヴィリスは姿を消す。

「倒し切れなかったか……」

「だが、確実にダメージは与えられた。今はそれで十分さ」

「瀧川さん……そうですね。それより大丈夫ですか?」

「ああ、何とかな。よし、帰るか」

「ええ……」

二人は変身を解除。

「先に戻ってるぞ」

「あっ、俺はこのまま基地に戻るんで」

「そうか?じゃあな」

仁は去って行く。

「よし、俺も戻るか……」

新斗も戻る準備をする。

「ハークションッ!!」

「ん?」


その頃、矢木博士の研究所では……。

「う〜ん……今回は助かったけど、このシステムもう少し改良が必要ね……」

「何でです?」

「急激な温度変化で風邪引いちゃうのよ……」

「あー……なるほど……」

仁は風邪を引いた。


アジトに戻ったヴィリスは……。

「ぐっ……おのれ……ジェットホークめ……エッジブレイザーめ……必ず俺の手で葬ってやる……」

2人への憎しみを募らせていた。


続く……。

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