第8話「相棒」

新斗と仁は2人で矢木博士の研究所に向かう。

「ふぅ〜……着いた」

新斗がドアをノックすると、矢木博士が出迎えた。

「やぁ、鷹井君、瀧川君」

「どうも……矢木博士、ご心配お掛けしました」

「いやいや、無事で良かったよ。さっ、中に入って」

「あの……岩城隊長は?」

「え?一緒じゃ無かったのか?」

「現場では会ってませんけど……?」

「そうか……入れ違いになってしまったんだな……じゃあ、岩城隊長に連絡しておこう」

「はい!」


その頃、岩城隊長は現場に残っていた。

「はぁ……今回も随分派手に暴れてくれたな……」

「岩城か?」

声のした方を振り向くとそこには岩城隊長の同期の下田が居た。

「下田?久しぶりだなぁ!」

「よぉ、元気そうだな」

「お前が何でここに?」

「今回は街中で随分被害が出てしまったからなぁ、被害状況の調査の任務でウチの隊が出て来たんだよ」

「そうか……」

「それより、何で航空隊のお前がここに居るんだ?」

「ん?ああ、ちょっとな……」

そこへ新斗から電話が掛かって来る。

「ん?鷹井か」

「部下か?」

「ああ、ちょっとすまん」

岩城隊長が電話に出る。

「隊長、今どちらへ?」

「鷹井か、今現場の被害状況を見ていてな。お前、もう博士の所か?」

「はい!申し訳ありません、入れ違いになってしまったみたいで……」

「いや、大丈夫だ。そのまま博士の所で待機していてくれ、少ししたら戻る」

「了解!」

会話を終え電話を切る。


「いいのか?戻らなくて」

「ああ、少ししたら戻るさ」

「そっか……なぁ、岩城……森山の事は残念だった……今回の怪物騒ぎといい……今、この日本で何が起きてると思う?」

「森山か……確かに残念だった……だが、日本で今何が起きてるかなんて見当も付かんよ……」

森山、それは岩城隊長の同期でブルーインパルスの隊長をやっていた人物だ。

バクダンゴムシが起こした爆破事件で殉職したメンバーの1人だ。

「そうか……あっ、すまん、つい長くなってしまった。俺も仕事に戻る。お前も部下と合流しなきゃだろ」

「ああ、そうだな……じゃ、また……」

「おう!」

岩城隊長は下田と別れ矢木博士の研究所に戻って行く。


その頃、新斗は瀧川仁とジュリヒメノを矢木博士に紹介されていた。

「改めて、さっき君を助けたのはFBIの捜査官でエッジブレイザーの瀧川仁さんだ。そして、こちらがエッジブレイザーを開発した科学者のヒメノ博士だ」

「瀧川だ。宜しく」

「どうも、宜しくお願いします」

「ノンノンノン、私はジーニアス!天才科学者のヒメノよ」

「はぁ……ど、どうも……」

「俺達は日本に渡って来たゲルドーの幹部、ヴィリスを追って来たんだ。これから日本でも活動させてもらう」

「そうですか……まぁ、仲間が増えるのは心強いです!」

「私達はしばらく近くのホテルに滞在してるから何かあったら連絡して」

そう言ってヒメノは新斗に名刺を渡した。

「あっ……はい」

「じゃあ、用は済んだ。帰らせてもらうぜ」

そう言って仁とヒメノは帰って行った。

「なんか……凄い人達ですね……」

「ああ……二人共かなりの自信家だ」

新斗と矢木はお互いに顔を見合わせて苦笑い。

「さてと……ジェットホークの方も問題無く機能したようだな」

「はい、俺ももう大丈夫ですから、また戦いますよ」

「ああ、宜しくな」

その後、岩城隊長とも合流し帰って行く新斗と岩城。


翌日、新斗は晴人と待ち合わせしていた。

「お〜い!お待たせ!」

「よっ!久しぶり今日はどうする?」

「またあそこ行こうぜ〜」

「え?またってまさか……」


2人が行った先は以前映画の後に立ち寄ったメイドカフェだった。

「お帰りなさいませご主人様」

この前と同じ様にメグちゃんが出迎えてくれる。

「メグちゃんただいま〜」

「はぁ……ど、どうも……」

新斗はまだ緊張している様だ。

しかしそれでも前回よりは緊張が解れたようで楽しむ事が出来た。

「お前、この前の時より楽しそうじゃないか」

「ああ、少しは慣れたかな……それに……」

「それに?」

「たまにはこうゆう癒やしも必要と思えてな」

「分かる。分かるよ〜。この非日常的な空間が良いんだよな〜で?どうする今日チェキとか撮っちゃう?」

「チェキ?いや〜それはまだ……」

「メグちゃ〜ん!チェキお願〜い!俺ら1枚ずつで」

「っておい!まだ心の準備が……」

「は〜い!」

「じゃあ、新斗先にどうぞ?」

「え?え〜……」

「ではご主人様こちらにどうぞ」

「えっと……」

「では最初はハートのポーズで撮りましょう。片手でハートマークの半分作って下さい」

「え?こ……こうゆう事?」

新斗は片手でハートの半分を作る。

「ぶっ……!?何だよお前、そのぎこちないハートは」

晴人に笑われる。

「うるさい!」

「はい、では撮りますよ〜」

チェキを撮影。

「では出来上がったチェキにお絵かきして行きますね!何か入れて欲しい言葉とかありますか?」

「え?あっ、いや……特に……」

「じゃあ、お任せで描かせて頂きますね〜」

「はぁ……じゃあ宜しく……」

新斗はそそくさと席に戻って行く。

「お前さぁ、普段男ばっかの職場に居るんだからこういう所で楽しまないと!」

「ああ……」


その頃、ゲルドーのアジトではヴィリスが次の作戦に動き出していた。

「さて、次は……コイツでひと暴れするか……」

ヴィリスはデビルズモンスターを引き連れ出撃。


メイドカフェを後にした新斗と晴人は別れる。

「今日は楽しかったぜ、ありがとうな」

「ああ、お前も段々緊張解れて来たんじゃないか?」

「まぁ……な」

「んじゃ、次は1人で行けるな」

「はぁ!?何でだよ!?」

「ハハハッ、まっ、一緒にも行ってやるけどさ。じゃあな!」

「ああ……じゃあな!」

そこへ矢木博士から電話が入る。

「はい」

「鷹井君!ゲルドーが動き出した。デビルズモンスターが千葉県にある京葉臨海コンビナートに出現した!あそこが破壊されたら大変な被害が出る!直ぐに向かってくれ!!」

「何ですって!?了解!!」

新斗は『J−ウォッチ』を操作しジェットホークを呼ぶ。

黒のラバースーツを着てジェットホークを『装着』

ジェットホークが京葉臨海コンビナートに向かって飛んで行く。


そして仁の『ライトニングチェイサー』で現場に向う。


京葉臨海コンビナートではヴィリスとリザードタイプデビルズモンスターが現れていた。

「フフフッ……このコンビナートを破壊すれば首都圏は火の海だ。日本壊滅の日は近い」

「そうはさせるか!!」

ジェットホークがリザードモンスターに飛び掛かる。

「チッ、ジェットホークか……もう来たか」

「お前達の好き勝手にさせる訳には行かないからな!!」

ジェットホークがリザードモンスターと戦い始める。

「邪魔だ!!」

ヴィリスも戦いに参加しジェットホークに襲い掛かる。

「ぐあっ!?」

ヴィリスはジェットホークを蹴り飛ばしリザードモンスターと引き剥がした。

「フフフッ……俺は戦いが大好きだ。さぁ楽しもうぜ……」

ヴィリスはジェットホークに怒涛の攻撃を仕掛け続ける。

「ぐあっ!?……クソッ……コイツ……強い……」

2対1の戦いに苦戦するジェットホーク。


だがそこに仁が到着。

「ヴィリス……」

「ん?お前か……瀧川……」

仁は『変身』

エッジブレイザーとなりヴィリスに戦いを挑む。

「くっ……」

「ジェットホーク、今のうちにデビルズモンスターを……」

「了解!」

ジェットホークはリザードモンスターとの戦いに集中する。

「ぐっ……瀧川……いつもいつも邪魔を……」

「悪いがこれが仕事なんでね……」

エッジブレイザーとヴィリスは激しい攻防を繰り広げる。

ジェットホークは怒涛の連続攻撃でリザードモンスターを弱らせて行く。

「トドメだ!!」

ジェットホークの必殺技『ジェットストリームキャノン』が発動。

リザードモンスターを倒す。

「くっ……おのれ……またしても……」

ヴィリスはエッジブレイザーとの戦いを切り上げ姿を消す。

「逃げたか……」

「助かりましたよ、瀧川さん……いや、エッジブレイザー」

「ああ……また宜しくな」

そう言って仁はジェットホークの肩をポンっと叩いて去って行く。

この時、ジェットホーク……いや、新斗は心の中で瀧川とは最高の相棒になれると確信していた。


続く……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る