謎の新戦士

第6話「戦い第2幕」

どんよりとした曇り空から激しい雨が降り始めた。

「やっぱり降って来たか……」

岩城隊長は新斗を病院へ運ぶ為に車を走らせている。

雨の中何とか自衛隊病院に到着。

早速新斗は運び込まれ治療を開始する。


「鷹井。死ぬなよ……」

岩城隊長は矢木博士に電話を掛ける。

「矢木博士、そちらはどうですか?」

「ああ、岩城隊長……いや〜参りましたよ。ジェットホークの回収は済んだんですが、びしょ濡れで……これから研究所に戻る所です」

「そうですか……修復作業宜しくお願いします」

「ええ、任せて下さい。必ず直しますから」

そう言って電話を切ると矢木博士も車で研究所に戻って行く。


翌日ーー


新斗の意識は戻らないまま朝を迎えてしまった。


矢木博士は徹夜でジェットホークの修復を行っていた。

「あ〜……もう朝か……少し糖分でも取って一休みするか……」

矢木は伸びをしながらそう言って立ち上がる。

「あいたたたたっ……ずっと座りっぱなしだったから腰が……」

腰を揉みほぐしながらキッチンに向う。


その頃、成田空港にやって来た1人の男。

その男は黒いスーツに黒いハットを被った全身黒尽くめの男だった。

辺りを見渡してから歩き出す。

「ターゲット発見、これより尾行を開始する」

「了解、くれぐれも気付かれない様に注意しろ」

「ラジャー」

この男の名は瀧川 仁(たきがわ じん)(28歳)

仁は空港から出て来た男を尾行する。


しばらく歩くと男は迎えに来た車に乗り込む。

「あっ、クソッ!」

仁は車を追い掛けるが追い付けるはずも無く見失ってしまった。

「チクショー……」


そして尾行されていた男は……。

「フンッ……上手く撒いた様だな……」

「ええ、流石ですね、ヴィリス支部長」

「当然だ……奴が俺を嗅ぎ回っている事など端っから気付いてた……しかし……まさか日本にまで追って来るとはな……ご苦労なこった」

この男の名はヴィリス。

「日本支部までは2時間程掛かります。長旅でお疲れでしょう?少しお休みになられては?」

「ああ……そうさせて貰うよ……それにしても……ドルネスを倒したジェットホークってのは何者なんだ?」

「申し訳ありません、我々には何も……ただ、日本を守る戦士とだけ……」

「そうか……下っ端にはそこまでの情報は降りて来ないか……じゃあいいよ。少し寝かせて貰う」

そう言うとヴィリスは被っていた帽子で目隠しをして眠りに就いた。


その頃、仁はある人物と合流していた。

「ハロー、仁!」

「ヒメノ博士、お待ちしてました」

「ノー、ノー、ジュリでいいわよ」

「いや、そんな訳には……」

やって来たのはジュリ ヒメノ。

博士と呼ばれるこの女性、そして仁は何者なのか……。

「申し訳ありません。ヴィリスを見失いました」

「ノープログレム!問題無いわ。奴は直ぐにでも動き出す。それより、まずは矢木博士に会いに行きましょう」

「分かりました。では先にそっちに」


その頃、自衛隊駐屯地では……。

岩城隊長が帰って来た。

「あっ、岩城隊長、鷹井君が怪我をしたって聞いたんですけど……」

尋ねて来たのは葵。

「ああ……昨日病院に運ばれてな……まだ意識が戻らんそうだ」

「そんな……大丈夫でしょうか?」

「そう信じるしか無い」

「やはり、ゲルドーですか?」

「ああ……今の我々にはジェットホーク以外ゲルドーに対抗する術は無い……今奴らに動き出されたら……」

岩城隊長の脳裏に不安が過る。


一台のタクシーが矢木博士の研究所に到着した。

「ここね……」

タクシーから降りてきたヒメノと仁。

早速チャイムを鳴らす。

「はい?どちら様?」

「突然すみません、矢木博士に会いに来たのですが……」

「ん?分かりました。今行きます。少々お待ち下さい」

そして矢木が玄関の扉を開けると……。

「あなたがツネオ ヤギね」

「そうだけど……あんた達は?」

「私はこういう者です」

そう言ってヒメノと仁は名刺を差し出す。

「ヒメノ……ジュリ……科学者か……それにFBI!?」

「あなたに是非協力して頂きたい事があるんです」

「はぁ……とにかく中へどうぞ」

矢木は2人を招き入れる。

「さささっ、適当に座って下さい。今、お茶淹れますから」

「ノー、私はティータイムを楽しみたい訳じゃないの。早速話をさせてちょうだい」

「え?あっ……はい……」

「矢木博士……まず我々はあなた達の味方ですから安心して下さい。……お願いです、今、あなたが持っているゲルドーの情報を我々にも提示して下さい」

「ゲルドーの情報?」

「YES、アメリカで暗躍していたゲルドーの幹部、ヴィリスが日本に侵入しました。私達はそれを追って日本に来ました」

「ゲルドーの新たな幹部!?ちょ、ちょっと待ってくれ、そういう話なら是非もう1人聞いて欲しい人物が居る。彼を呼ぶから少し時間をくれ」

そう言って矢木は席を立ち、岩城に電話を掛ける。


岩城隊長のスマホが鳴る。

「ん?矢木博士?」

「あっ、岩城隊長、忙しい所すまんが直ぐに私の研究所に来てくれないか?」

「どうしました?またゲルドーですか?」

「ん〜まぁ、それ絡みと言うか……ゲルドーに関わる事で君にも会って欲しい人物が居てな」

「分かりました。そういう事でしたら直ぐに伺います」

そう言って岩城隊長は電話を切る。

「皆、すまんが急用が出来た。少し出てくるから後を頼むぞ」

「了解……」

岩城は出掛けて行く。

「隊長、最近1人で外出する事多いよな?」

「ああ、そういえば鷹井を連れて行った事もあったぞ」

他の隊員達がそんな会話をしている。

バレるのは時間の問題かも知れない。

葵はそう思っていた。


岩城は矢木博士の研究所に向かって車を走らせる。


その頃、ゲルドーでも動きが。

「ここが日本支部か……」

ヴィリスが到着していた。

そこに通信が。

「日本支部へようこそヴィリス君」

「ボス!?はっ、ヴィリス只今参上致しました」

「君をここに呼んだのは他でもない。我々の計画を邪魔し、ドルネスをも倒したジェットホークを君に始末して貰う為だ」

「ジェットホークですか……何者なんですか?ソイツは」

「我々にもまだ詳しくは分からん。だが、我々が騒ぎを起こせば奴は必ず現れる。その時、現れたジェットホークを君に抹殺して貰いたい」

「なるほど……承知致しました必ずやジェットホークを亡き者に……」

早速ヴィリスは東京の街に繰り出す。

「さて、日本で暴れるのも新鮮だな……さぁ行け、悪意に満ちた邪悪なモンスターよ」


岩城隊長が矢木博士の研究所に向かってる途中でヴィリスが呼び出した怪物が街で暴れている所に遭遇した。


「何だ?ゲルドーか!?」

岩城隊長は車を降り、様子を見に行く。

そこに居たのはこれまでの怪人達とは違う凶悪なモンスターだった。

「何だ……この怪物は……」

そしてこの怪物の出現は矢木博士も研究所で察知していた。

「ゲルドーか……クソッ、まだジェットホークは戦える状態では無いし、鷹井君も……」

「ヒメノ博士、俺が行きます」

「そうね、日本でのファーストミッション、頼むわよ!」

「ラジャー!」

「え?どういう?」

仁は左腕に装着したブレスレットのボタンを押す。

すると、彼の体を光の粒子が包み変化させて行く。

「何だ?」

矢木博士も驚く。

「あれは私が開発したナノテクノロジーによって仁の体を包み込むアーマーを構成いく装置。そして彼の体に付着したナノマシンがアーマーとなったエッジブレイザーよ」

仁は瞬時にエッジブレイザーに変身した。

エッジブレイザーとはメタリックなオレンジを基調とし、シルバーのラインが入った戦士。

「す、凄い技術だ!?」

「当然よ。だって私、ジーニアス!天才だもの!」

「博士、行って来ます」

「オーケー、エッジブレイザー……ゴー!!」

エッジブレイザーは外に出ると専用のバイクライトニングチェイサーを呼んだ。

「じゃあ、行って来ます」

エッジブレイザーはライトニングチェイサーに乗り、現場に急行する。


続く……。

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