第5話「Dr.ドルネスの逆襲」

自信作であったゾウジキを倒され、Dr.ドルネスの怒りは頂点に達していた。

「ぐぁぁぁぁっ!!クソッ!!おのれ……ジェットホークめぇ……」

そこにボスから連絡が入る。

「Dr.ドルネス……」

「はっ、ボス!」

「日本への侵攻があまり進んでないようだが?」

「はっ……思わぬ邪魔者がおりまして……侵攻が阻まれております」

「ならばそやつを真っ先に始末しろ。お前の命に代えてもなぁ」

「は、はっ!何としてもジェットホークを倒してご覧にいれます」


その頃、新斗はトレーニングルームで筋トレをしていた。

そこにやってくる他の隊員達。

「おっ、鷹井じゃねぇか。精が出るな」

「あっ、お疲れ様です……ええ……日々しっかり鍛えておかないと……いつ出撃しても良い様に……」

新斗はベンチプレスをやりながら答える。

「そうだな……なぁ鷹井。お前、例の怪物と空飛ぶ戦士についてどう思う?」

「え?」

新斗はベンチプレスを中断し起き上がる。

「ほら、ブルーインパルスの事件以来ちょくちょく出てくる様になっただろ?あの怪物達は何者なんだ……」

「ああ……そうですね……ゲルドー……奴らはそう名乗ってました」

「ゲルドー?お前聞いたのか?」

「え?ああ……ブルーインパルスの事件の時、現場に居ましたから」

「そっか……ゲルドーねぇ……まさかこの国を揺るがす程の大きな力が動いているのか……」

「あの……何か分かった事でも?」

「いや……ただ噂になってるだけさ。それにそのゲルドーと戦う謎の戦士……奴の事も気になる。今の所我々の味方だろうが……空を自由に飛ぶ技術はすご過ぎる……」

「そう……ですよね……すみません、俺もこれ以上は何も……」

「そうか……邪魔してすまなかったな」

「いえ……では僕はこれで」

新斗は去って行く。


Dr.ドルネスが東京の街に現れる。

「さて……ジェットホークを倒さねば私の命が危うい……ここの人間共には犠牲になって貰わねば……」

Dr.ドルネスがスイッチを押すと周囲の建物が爆発。

割れた窓ガラスの破片が人々に降り注ぐ。

人々は逃げ惑い街は大混乱。


警察が通報を受け出動するが、連絡は自衛隊にも入った。

そして、新斗は岩城に呼び出されていた。

「隊長!」

「鷹井、我々に出動命令は出てないが、恐らくゲルドーの仕業だ。ジェットホークとして出撃してくれ」

「了解しました!!」

新斗は車で現場まで向う。


街では既に多くの死傷者が出て悲惨な状態となっていた。

そんな街の中を悠然と歩くDr.ドルネス。

「ハハハハハッ、良い眺めだ!」

人命救助を行う救急隊員にDr.ドルネスが襲い掛かる。

「ぐあっ!?……なっ……何を……!?」

後ろから首を締めるDr.ドルネス。

「折角死にかけてるんだ……余計な事はするな……」

「お……お前が犯人か……?」

「フフフッ……」

「おい!!何をやっている!!」

警察が駆け付けDr.ドルネスに拳銃を向ける。

「はぁ……君達に用は無いんだけどね……まぁ、ジェットホークが来るまでの準備運動とするか」

Dr.ドルネスは救急隊員を放すと怪人の姿に変身し、警察隊へ襲い掛かる。


その頃、新斗は現場の少し手前で車を停め、ラバースーツに着替えていた。

「よし、行くか」

車を降り『Jウオッチ』を操作し、ジェットホークを呼ぶ。

「おっ!来た来た」

新斗はジェットホークを『装着』

「よし、行くぞ!!」

ジェットホークは飛び立ち現場に向う。


怪人の姿となったドルネスは次々に警察官達を殺害していった。

「あ〜良いねぇ……人を殺める快感は久しぶりだよ……しばらく忘れていた……」

その恐ろしい形相からは想像出来ない程楽しんでいる様だ。

そこにジェットホークが到着。

「来たか……」

「おい!テメェ!!随分好き勝手やってくれたな!!お前は何の怪人だ!?」

「ジェットホーク……初めましてだね……今まで私の合成怪人達を倒して来たその実力……見せて貰うよ?」

「何っ?じゃあ、あいつらはお前が?」

「ああ……どれも自信作だった……なのに貴様は私の可愛い怪人達を倒した……許さないよ……今日は私が自らの手でお前を殺す……」

「何だ……この狂気に満ちた感じは……今までの奴らとは……違う……」

「私はDr.ドルネス……私の自信作達を壊したお返しをさせて貰うよ!!」

Dr.ドルネスがジェットホークに襲い掛かる。

「ぐわっ!?」

Dr.ドルネスは自ら怪人の姿になる事で感情が狂気に支配され、普段以上の凶暴性を出していた。

「くっ……なんて奴だ……怪人を作ったなら頭も良いんだろうに……それに加えこのパワーか……」

Dr.ドルネスの猛攻を受けジェットホークは反撃が出来ないでいた。


その頃、矢木博士はジェットホークの状態を見て驚愕していた。

「馬鹿な!?あの怪人はジェットホークのスペックを大きく上回っている!?このままでは新斗君が危ない!?」


「オラッ!!」

「ぐあっ!?」

Dr.ドルネスはジェットホークの頭を車の窓ガラスに叩きつける。

「早く死ねよ……その方が楽になれるぞ?」

「くっ……ふざけんな……おりゃああ!!」

ジェットホークは反撃。

しかし、Dr.ドルネスには大したダメージを与えられていない。

「くっ……」

ジェットホークは右腕のレーザー銃で攻撃。

しかし、Dr.ドルネスには全く通用していない。

「くっ……ダメか……」

Dr.ドルネスが反撃。

「ぐわあぁぁっ!?」

ジェットホークが大ダメージを受け内蔵されていたカメラが破損。

「ああ……映像が切れた……鷹井君!鷹井君!!」

矢木博士は必死に呼び掛ける。


「さて……そろそろトドメかな?」

Dr.ドルネスがジェットホークに迫る。

既に新斗の意識は朦朧としていた。

「ハァ……ハァ……くっ……クソッ……」

何とかその場から離れようとするジェットホーク。

「何か……何か手を打たないと……」

ジェットホークは態勢を立て直そうと朦朧とする意識の中で必死に動いていた。

そして、建物の壁際まで何とか這って辿り着く。

パイプを伝い何とか立ち上がるジェットホーク。

「フンッ……トドメだ。楽にしてやる……」

ジェットホークは右腕のレーザー銃を構える。

「ほぉ……まだ反撃して来るか……」

「くっ……」

ジェットホークはレーザー銃を撃つ。

だが、意識が朦朧としている為、Dr.ドルネスに狙いが定まらない。

「フンッ……何処を狙っている……」

「クソッ……意識をしっかり保て……狙いを定めろ……」

そしてようやく視界のピントが合った。

「ここだ!!」

ジェットホークはレーザー銃で狙いを定める。

だが、そのレーザーはDr.ドルネスでは無く後ろの車に向かった。

だが、車のガソリンに引火しDr.ドルネスの背後で爆発が起こる。

「ぐわっ!?」

Dr.ドルネスは爆発に巻き込まれる。

「今だ!!」

ジェットホークは必殺技『ジェットストリームキャノン』を発動しDr.ドルネスに追い打ちを掛ける。

「ぐわぁぁぁぁっ!?おのれ……だが……ゲルドーは滅びん……」

そう言い残してDr.ドルネスは大爆発。

遂にDr.ドルネスは倒された。

「かっ……勝った……」

だが、意識が朦朧とする中で戦っていた新斗は限界が来てその場で倒れてしまう。


完全に新斗との通信が途絶え矢木博士は岩城隊長に連絡。

岩城隊長と共に現場まで新斗を探しに行く。

「鷹井ー!!」

「鷹井君ー!!」

そして、ようやく新斗を見つける岩城隊長。

「あっ、居ました!」

急いで新斗の元に駆け寄る岩城と矢木。

「鷹井!しっかりしろ!鷹井!!」

矢木博士はジェットホークの装着を解除。

「岩城隊長は鷹井君を病院へ、ジェットホークは私が回収します」

「分かりました……お願いします」

そう言って新斗を車まで運ぶ岩城隊長。

ふと空を見上げるとどんよりとした曇天が広がっていた。

「嫌な空だ……一雨来そうだな……」

そう言いつつ岩城隊長は新斗を病院へ連れて行く。


Dr.ドルネスを倒したが、まだゲルドーを壊滅させた訳ではない。

奴らはいつまた襲って来るのか分からない。


立ち上がってくれジェットホーク!


続く……。

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