第7話
そのまま、レスティアとの会話をしていると教室の窓の外がざわざわし始めた。
「…ん?なんだろ……」
「…まだ始業式には時間があるはずですが……」
そう言って、俺とレスティアが窓の外を見るとさっきの貴族が倒れたまま動かないでいるのを教師や腕章をつけた生徒の何人かが取り囲んでいた。
「決闘で派手にやられたみたいだけど、なんで先生たちが来てるのかしら?」
「……何か知ってるの?」
俺は内心、ひやひやしながら何か知ってそうなレスティアに聞いてみた。
「外部進学のライは知らなくても仕方ないわね」
「えっとね、この学校には『決闘』のシステムがあるんだけどどこでもやっていいっていうわけじゃないの」
「なるほど!」
ここで俺は、あの教師たちが俺のことじゃなくあの貴族を問題視してきたのだということに思い至り、その安堵の気持ちからさっきまでのひやひやが嘘のように消えていった。
「それで、そういうのって大体風紀委員が割って入って止めるんだけど……外に先生がいるから別の事情なのかな~って思ってさ」
「ん?」
「決闘って一発当てたら終わりなのにあの人気絶してるし……」
「……」
「って、あれ?ライ、どうしたの?」
さっきまでの声の張りがなくなった俺の方を見て、レスティアは心配そうな表情を浮かべている。
「気分悪いの?保健室まで連れて……」
「失礼する」
レスティアの言葉が遮られ、教室のドアから一人の風紀委員が教室の中に入ってきた。
「久しぶりだな、ライ・ヴィスティル。少し話を聞かせてもらおうか」
「え?ヴィスティル!?」
「……誰?」
いきなり教室に入ってきた金髪の男は、俺のことを知っている上に外の貴族を殴ったのが俺だと分かっているような様子だった。
「……俺のことを覚えていないのはまあいい」
「だが、外のあれをやったのは忘れてはいないだろう?」
「わかりましたよ……行きますよ」
この後、何を言っても逃れそうになかったので俺は仕方なく男の後をついていった。
力ある男は売られたけんかを全部買う。 @belbera
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