第4話

 

「すいません、紅茶のおかわりをもらってもいいかしら……?」


「俺にも、頼む……」


 驚き疲れた様子の二人が部屋の前にいるレイラさんにお茶のおかわりを頼んでいる間、僕の入学についての話は止まったままだった。





「「ふぅ~~……」」


 やっとここで話せそうな雰囲気になったのでぼーっとしてる姉さんを含めて今日の本題を話し始めてみる。


「それで、姉さん。今日って何でリュート様に学園長を呼んでもらったの?」


「え?ああ、学園長にライのランクを一応言っとこうと思ってさ」


 別に冒険者のランクが何であろうと変わらないだろうと思っていたから自分のランクがどこなのかもわからないし、学園で何の影響があるのかもわからなかった。


「冒険者ランクのことですか?確かに高位のランク所有者の取り合いが起きたりはしますが……それだけのために私たちを呼んだのですか?」


「そうですけど」


「そもそも俺ってどこのランク?」


 学園長がやけに真剣そうだったからちょっと気になってきた俺は姉さんに自分のランクを聞いてみる。

 すると不思議そうな顔をして、姉さんが俺の方を向いた。


「え?ライ、前にギルマスに会った時に教えてもらったでしょ?」


 その『ギルマス』が誰なのか知らないが、一応思い当たる人を姉さんに聞いてみる。


「あの獣人のおっちゃん?」


「うん、その人」


 俺の思ってた人で合ってたみたいだ。

 俺を見た瞬間に『やろうぜ』と言って俺を決闘場まで連れて行った戦闘狂ということしか覚えてないけど強かったし嫌いじゃない。


「あの人にさ、なんかもらったでしょ?ちょっとそれ出してくれない?」


 決闘の後、今までの話をしながらご飯を食べていたら『頼むから…肌身離さず、つけておいてくれ』と懇願されるようにおっさんから言われたとおりつけていた『赤いペンダント』を首の近くから出して学園長にわかりやすいように見せる。


「はい、これ」


「嘘でしょ……」


 学園長は愕然とした様子で俺のペンダントを見つめている。


「これで何かわかるんですか?」


 ふと、リュート様の方を見てみるとリュート様も驚いているようだ。

 すると、二人は姉さんが自分たちを呼んだ理由に納得したように静かにうなずいた。


「あなたの判断もたまには間違っていないものですね」


「ああ、俺も久しぶりにレベッカに感謝しようと思ったくらいだ」


「二人とも言いすぎ!!」


 それで大きくため息を一つ吐いた後、改まったように学園長の方を向いた。


「まあ、そういうことだから。弟をよろしくお願いします」


「任せておきなさい」


 さっきまで驚いたり、さらに驚いたりしていた学園長はきりっとした最初の雰囲気に戻ってそう言った。


「だから、それ何ですか??」


 結局、俺の問いには答えられることなく学園長の初対面及び話し合いは終了したのだった。





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次から学園生活に入ります。

これからもよろしくお願いいたします。

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