第77話 安西さんとりんご飴
「斉藤くん、あれ、食べてみたいんだけど良いかな?」
屋台を見ながら歩いていると、安西さんが立ち止まってある屋台を指さした。
「りんご飴?」
安西さんが見ていた先にあったのは、りんごやぶどうがきれいに飴でコーティングされた商品が置かれたカラフルな屋台。その周りには小学生くらいの子たちが集まっていた。
「そう、美味しいのかなって。一度食べてみたかったんだよね」
……確かに、美味しいのかな。
お祭りで定番のイメージはあったけど。加賀谷たちと行っていたときに食べてみたいと思ったことはあったが、高くて食べられなかった。
いまは、手持ちもあるし――。
「分かった、食べよう! おじさん、りんご飴2つ下さい!」
店主にお金を渡して、りんご飴を受け取る。割り箸だけで支えられた落ちそうなりんごをそっと安西さんに渡すと、安西さんは「いただきます」といって、ハムッと口に咥えた。
「これ、甘いね」
「そうなの?」
「ほら、斉藤くんも!」
「うん」
どこから食べるか一瞬戸惑いながら、上の方を食べると、パリッとした食感と同時にりんごの甘さが口に広がった。
「確かに、甘い」
「ね、そうでしょ!」
安西さんがもう一口とりんご飴をかじっていく。
その姿にまた見惚れてしまい、俺は顔をおさえた。
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