第54話 寝ていた理由
「なんで
目を開けたら、隣に安西さんがいた。ベッドで寝ているから添い寝ってことになるよな……っていまはそんなこと関係ない。
安西さんの部屋は2階のはずだ。俺の部屋は1階だから安西さんがこの部屋に来ることなんてほとんどないと思うんだけど。それに鍵をかけたはずだし――
「って、寝てる?」
隣にいたことに驚きすぎて気付いていなかったが、安西さんは横になってぐっすりと眠っていた。
「もしかして!」
俺は慌てて、スマホを確認した。
安西さんがこの部屋にいるってことは、たぶん沙季さんに予備の鍵を貸してもらったんだろう。そして、寝ている俺を見て眠たくなって、そのまま。
「やっぱり」
時間は8時20分。
沙季さんが指定していた朝ご飯の時間だった。
「安西さん、起きて!」
「……? 斉藤くん、どうして……あ」
「おはよう、安西さん。起こしに来てくれたのは嬉しいんだけど、もう時間だから」
スマホの時計を見せると、安西さんはすぐに起き上がり、紙を少しだけ触った後、玄関の方へ向かった。
「……起こしてくれてありがとう。沙季さんに起こしてきてって頼まれてたんだけど、ごめんね。私は先に行くけど、斉藤くんも準備できたら、すぐに来てね」
そう言って、安西さんは少しだけ恥ずかしそうにしながら、部屋を出ていく。
「うん、分かった」
今度からは、安西さんに迷惑をかけないように、ちゃんと起きるようにしよう。
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