第2話 入隊式の幸運
『ルシファーは一人じゃないよ。』いつも夢の中で聞くお母さんの声だ。
と思ったとき目が覚めた。俺は急いで準備をした。
今日から配属先のインモルターリスで任務が始まる。
俺は朝食を食べて、インモルターリスの基地本部に向かった。
初日は、入隊式が行われるため本部に行くが明日からはどこかの駐屯地などに派遣される。
基地本部は、とても規模が大きく式場につくまで時間がかかった。
入隊式が始まるとお偉いさんがいろいろと話始めた。もちろん、カミエル様も話した。話によるとインモルターリスに所属した新人一般兵のほとんどは、教官から推薦されたらしい。はじめは、ここにいるみんなが優秀なのかと思っていたが違っていた。
全員の話が終わってわかったのだ。みんなここに所属したくなかったということが。
俺は訓練兵のとき受けた授業で教官が言っていたことを思い出した。
『INDEPENDENTは、インモルターリス ジェノサイド レナトゥス レボルシオンの4つに分かれている。それぞれ防衛または奪還作戦エリアが決まっている。特にインモルターリスのエリアは、敵の本拠地があると思われていてとても危険だ。お前たちの中にもインモルターリスに所属するやつが出てくる。まっ、死なないように頑張れよ!』
俺は自ら死に来たようなものだった。
ただ聞いてるだけの退屈な時間が過ぎていった。
次に、どこの駐屯地に派遣されるか発表される。インモルターリスのエリアの中で第2世界の駐屯地は安全だが第1世界(地上)の駐屯地は危険で、そこに選ばれた人たちは頭をかかえてたり、放心状態になっていたりしていた。
俺の名前はいつになっても呼ばれなかった。
そしてそのまま入隊式が終わった。俺は、どうすればいいか分からず周りのやつらと一緒に式場を出ていこうとしたその時声をかけられた。
「君、ルシファー・ファラクトだよね。ちょっと私と一緒に来てください。」
俺は何かやっちまったかと考えながらついてった。
思い当たることは、特になかった。
ついていくとある部屋に来た。
入りなさいと言われたので、ノックして入ることにした。
「(コンコン)ルシファー・ファラクト入ります。」
「どうぞ。」
「失礼します。」
といってドアを開けて入ると、そこにはカミエル様がいた。
俺は『こんなに早く対面できるなんて!』と心の中で思った。
そしてソファーに座るよう指示された。
カミエル様も俺の目の前のソファーに座った。
「君は、自ら志願してインモルターリスに来たと聞いたけれど、本当?」
「はい」
「理由を聞いてもいいかな?」
俺はまずいと思った。インモルターリスに来たのは、カミエル様が可愛くてカミエル様の側近になれば恋愛に発展するのではという理由で、真当な理由はないのだ。
俺は少し考えてから答えた。
「俺の両親は侵入者に殺されました。インモルターリスのエリアには、敵の本拠地があると聞いたので侵入者たちをボコボコにできると思い、自ら志願しました。」
これで大丈夫だろうと思っていたが次の質問がきた。
「君、私直属の部隊に所属する気はない?」
俺はそれを聞いて一瞬戸惑ったが、駐屯地の基地本部まで昇格していく時間がはぶけたと思うと嬉しくなった。もちろん所属するが、理由も聞いてみた。
「ぜひ所属させてください。失礼ですが、どうして俺を部隊に所属させようとしたのか理由を聞きたいのですが。」
すると意外な答えがかえってきた。
「君に興味があるから。過去にも侵入者に親を殺された人はいたけど、自ら志願して来たのは君だけだからね。」
俺に興味があるだって!うれしいことを言ってくれるじゃないか。しかし次の質問で少し落胆した。
「君名前、何だっけ?」
カミエル様は俺の名前を覚えてなかったのだ。
「俺の名前は、ルシファー・ファラクトです。」
「ファラクト…聞いたことがある気がする…」
「前に俺の家に将軍と四天王のみなさんでじいちゃんに会いに来たときにでも聞いたんじゃないですか?」
「そうかもしれないわね…」
カミエル様は次の仕事があるらしく、俺は部屋を出て行こうとしたとき呼び止められた。
「ねえ君、あなたは、一人じゃないよ。てどういう意味だと思う?昔聞いたことがあるんだけど…」
夢の中でいつもお母さんに言われている言葉だ。
「周りの人が助けてくれるみたいな意味じゃないですかね。」と答えた。
「そう…足止めしてごめんなさい。では、今日からよろしく。」
俺は、その言葉を聞くと部屋を出た。
『よーしっ。カミエル様の側近になる道のりが一気に近くなった。』
俺は、うきうきで家に帰った。
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