桜が咲いた
わいふぁい
開花
亡くなった人間の体から桜の木が生えてきた。
その木はとても美しく、決して枯れてはならぬ責任感により花を咲かせている、そのような重圧を私は感じ取った。それは愛なのか、憎しみなのか、最後の思いを桜に乗せて私に伝えに来たのだろうか。
今、階段の下には母親の遺体が横に伏している。私は手に持った包丁を見て、事実を再確認する。私が殺してしまった母親の体から凄い勢いで桜が成る。まるで生前、私に伝えきれなかった罵詈雑言を美しくひっくるめたように私の胸にまで桜の枝は上ってくる。私の目から伝った涙は母親だったモノに流れ、桜の木は成長を止めた。私は膝から崩れ落ち、かつて母だったソレに一言、感謝を言葉を述べた。
私はこれから警察に行こうと思う。数年ぶりに家のドアを開けて空を見る。季節は春みたいだ、あんなにも恐ろしかった外の世界だが今では澄んでみえる。桜の花が私の頬へ落っこちた。
桜が咲いた わいふぁい @JSNTR
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