再開と再会

前回、学校を変えることになった三島りんさん。

2つの高校に見学に行き、鈴の宮高校にあっさり決めてしまう。

転校をするため英成高校へ転校の手続きをするため向かったところ学年主任に倒されかけてしまうがお父さんに助けられ無事に終わらせることができた。

来週、鈴の宮高校に体験授業行くことになったがそこには...!?


来週まで絵を描くことにした。

私は、再び絵を描いたことで自分に少しだけ自信を持てるようになった。

自分が輝いていられる。

輝いて行動できる。

真っ黒な世界に私は光を照らした。

一本の光だしそれは小さく対して大きくないものだけど私には大きく見えた。

ずっと、照らしていたい。

そんな存在だった。


そんなことを何日も過ごしているとあっという間に時間が経った。

時間を数える暇はあったけど数えなかった。

めんどくさいからな...

鈴の宮高校へまた向かう。

今までよりも足取りは軽い。

なぜか、学校を決めてから安心したのか心が軽くなった。

ほんの少しだけだけどどこか自分にあった苦痛という鎖を少しだけ紐解いだ。

そんな気がした

学校へ向かうとやはり入り口には前回と同様大村先生が立っていた。

「ようこそ、三島りんさん。それとお父様。また、来てくれて先生も嬉しいよ。」

そう言って、私たちを校舎内へ案内した。

校舎は駅前にあり最近にできた感じが満載だった。

あちらこちらにダンボールが転がっていた。

案内されてしばらく進むと教室というか一つの部屋が見えた。

そこには、あの「福田日葵」がいた。

髪型とか服装の好みとかは若干違ってたけど、それでも福田日葵ということは一眼見てわかった。

日葵はやっぱり明るくどこか抜けてる感じもするけどちゃんとしっかりしてる子

中学校の卒業式の時と変わらなかった。

すると、私に気付いたのかこちらに手を振る。

力一杯ではなく小さくだったけど私はそれを見逃さなかった。

私も手を小さく振り返す。

付き合いはそんな特別長いということではないがなんだかお互い見て一目で分かった気がした。

大村先生はそれに気付いたのか

「知り合い?」

と、私に聞いてきた。

「そんな感じがしたので...」

そう返すと

「後で、ルームでの触れ合う機会もあるからとりあえず今はこっちに着いてきて」

と、私に言ってきた。

大村先生は教室を抜けると応接間みたいな部屋に私たちを案内した。

「入学金に関しては後ほど入金の方をお願いします。またですねこちらの資料には...」

とか、入学に必要な書類や新年度に必要なことなどちょっと眠くなりそうな話をしていた。

私はとりあえず聞いてたけど全部はさすがに覚えられそうになかった。

すると、それを見た大村先生が

「りんさん、退屈な話でごめんね」

そう、私に言ってきてくれた。

「あ、いえいえ。全然大丈夫なので」

そう、私は焦った感じで返した。

「もう少しで終わるからね。待っててね」

そう言うとお父さんは少しだけ笑顔を浮かべていた。

「話を続けます。入学後は...」

話は30分近くに上った。

話が終わり大村先生は

「りんさん。そして、お父様。お疲れ様でした。りんさんはこの後ルームで触れ合う時間どうしますか?」

そう、聞いてきた。

もちろん行くに決まってるでしょ。

私だって、久しぶりに同級生と話したい。

「あ、はい。お願いします」

そう、大村先生に返した。

「では、こちらへ案内します。お父様はどうなさいますか?」

そう、問いかける。

「そうですねー。私がいてもりんは邪魔だと思うので帰ろうかと...りん、帰り迎え行くからチャットに教えてくれ」

そう、返した。

「はい、分かりました。では、りんさんはちょっと待ってて。お父様入り口までご案内させていただきます。」

「じゃあ、なんかあったら連絡ちょうだい」

そう言って、2人は部屋から消えた。

ドア越しからは見えないかったけどすごく大村先生は丁寧だった。

手を抜かず、バカ真面目

まるで、私みたいだ...


部屋に大村先生が戻ってきた。

「りんさん、ルームまで案内いらしますので着いてきてください。大丈夫?」

そう、腰を落として声をかけてきた。

「大丈夫です。すぐ行きます」

私はそう言って腰を上げた。

ドアの先を進むと見たことのある道なのになぜか新しく通る道かのようなワクワクが私の中にはあった。

ルームはよく見るととても広く、開放的だ。

リビングより広く大家族用かよってツッコミたくなるほどだった。

ルームのドアを開けて真っ先に日葵と確証はないが先ほどの人がこちらに近づいてきた。

やっぱりそうなのかな...

そんなことをちょっと考えていると大村先生が

「りんさん、自己紹介いいかな?」

そう、横で小さな声で言ってきた。

私はそれに答える。

「あ、はい!来年度高校2年生の三島りんです。みなさん、よろしくお願いします!」

そう、少々大きな声で言うとみんなは笑顔だった。

すると、やはり先ほどの日葵に似ている人がこちらに近づいてきた。

「あ、やっぱり!久しぶりというかすごいところで再会だねー。私のこと分かる?」

彼女は少し笑顔を見せながらこっちに寄ってきた。

私の鈍感な直感は少しは働くことができた。

「うん、声で分かるよ。日葵でしょ」

「あったり!みゆしまさん。半年ぶり?」

「多分そのくらいだと思うよ。」

少し話していると大村先生が

「2人は知り合い?」

そう、言ってきたので日葵が

「中学校の時の友達でーす。めっちゃ仲良かったので」

「なら、すぐに馴染めそうだ。りんさん少し話している?」

そう、聞いてきた。

「はい、ちょっと話したいことがあったんで」

そう言い私と日葵は奥の椅子に座る。

「そもそもなんで日葵がここにいるのか私は疑問なんだけど?」

そう、言うと日葵はすぐに答えた。

「あぁー、実は部活でちょっとやられちゃって。色々、問題起こしちゃって気付いたら部活も学校も辞めてここに流れ着いたって言う感じかな?」

そう彼女は淡々と答えた。

「りんは言わなくてもなんとなくきた理由が分かるから。大丈夫、ここ結構いいところだから」

そう耳元で言ってきた。

少しだけドキッとしたけどそんなことは一瞬だった。

「ねぇ、」

日葵がまた、耳元で何か言いたそうだった。

今度はさっきよりもちょっと近い。

「今度からさ、2人だけの時はりんちゃんって呼んでいいかな?みゆしまさんは私たちの中では一旦お休みで。みんなの前ではみゆしまさんって言うけどいい?」

そう、言ってきた。

私はためらうことなく言葉を返す。

「うん、いいよ。」

そう、言うと彼女は喜んでいた。

そこからはすごく他愛もない話だった。

前の学校の愚痴

中学時代の思い出

ここの学校について

後ででもいい話だった。

そんな話を続けていると日葵はとても中学校の時とは違う反応だった。

彼女は地獄から抜けたかのような笑顔で反応をしていた。

彼女の笑顔は中学の時と比べても輝いていた。

そして、彼女は成長した優しさを得ていた。

そんなことを話しながらでいるとあっという間に夕方の時間を回そうとしていた。

ここから家までは20分くらいだし海の家までも20分くらい

すごくいいところだ。

「私、そろそろ帰るね。」

そう言い、帰るための準備をする。

長年愛用しているトートバックの中に色々と詰め込む。

鈴の宮高校に関する資料

ルームでもらったお菓子

その他、イベントのパンフレットなど

様々なものを詰め込む。

詰め込みはあっという間に終わったのでトートバックを肩にかける。

「日葵、今日は楽しかったよ。またいっぱい話そうね」

そう言うと日葵は首を振り

「うん、そうだね!」

と、かけてきてくれた。

そう言い出口へ向かおうとするとやはり大村先生がやってきて

「りんさん、出口まで案内するね」

そう言い、私を誘導してくれた。

「今日はどうだった?」

大村先生が私の問いかけてくる。

「はい、とても話もしましたし良かったです」

と、返した。

「それはよかった!」

大村先生はとても喜んでいた。

「日葵さんとも上手く話せてた?」

そう、また問いを言う。

「はい、めちゃくちゃいい感じに」

私はまた、そう返す。

そんなことを話していると出口まであっという間

すぐに着いた。

「じゃあ、気をつけてね。いつでも待ってるから」

そう言い、私が見えなくなるまで出入り口にいた。

しばらくして、有線イヤホンで曲を聴きながら考えた。

とりあえず海の家に昼間はいるとしてそうなると家のものを片付けておかないとな...

あと、実際に海の家がどんな部屋なのか気になるしそこも見ておきたいな...

吉村さんや愛華さんなら大丈夫か

そんなことを考えていると20分はあっという間だった。

元々、この道は何度も通っていたから迷うこともなかった。


家に帰り、私は部屋を見渡す。

ある程度は片付けられているがどこか散らかって見えた。

食べた後のお菓子の袋などを片付けてもやはりどこか満足はしなかった。

なぜなのだろうかと考えても答えはすぐには出なかった。

少し布団の上に座り考える。

それでも、私はなぜか何かが満足しなかった。

いつも通りの風景

いつも通りの雰囲気

いつも通りのお父さん

そういえば、こんな日々を送っていたからか人と話すの楽しいな...

そんなことが頭をよぎる。

私は気づいたらリビングでネットサーフィンをしているお父さんに声をかけていた。

「お父さん、吉村さんと愛華さんのお店の道教えてよ。」

私がこう言うとお父さんは

「あそこまではこーやってでって説明しても大変そうだから住所送っておくよ。えーと、どこにあったけ」

そう言いながらアプリの電話帳を開いていた。

「そういえば、吉村さんと愛華さんってお父さんとどうゆう関係なの?」

「ん、あー吉村さんは会社の部下で脱サラで店始めるから修行するって一昨年度で辞めた人。で、愛華さんはその修行先で出会って一緒に店始めようとなったみたい。」

そう、言った。

「なんで、私のこと預けようと思ったわけ?」

私は純粋に質問をする。

「あぁ、吉村さんはいつもうちの会社に弁当を運んでいるんだけど、こないだりんの病院で休んだ時なんか上司が言いやがってそうしたらうちで今度昼間だけ預かりませんかーって話になったわけ」

なるほどねぇ...

上司さん有能なのか知らないけどいい刺激になったわ

ありがたいわ

「明日何時から行くんだ?」

「んーと、午後には到着の予定にはしたいね」

「分かった。そうしたら吉村さんに連絡を入れておくわ」

お風呂に入り、冷蔵庫にあった麦茶を飲もうとすると

「りん、明日なんだけど吉村さんがうちまで迎えに来てくれるっぽい。12時ぐらいだからそれまでに起きることできる?」

そう、私に問いかける。

「うん、いつも10時ぐらいには起きていられているから大丈夫だと思うよ。」

そう、私は返す。


次の日

私は、目を覚ますと10時まもなく回りそうだった。

いつもはこんな時間に起き上がるのに今日はなんでかちょっと焦った。

英成高校に通っていた時期は平日にこんな時間に起きるなんてありえなかったからな

私は部屋で少しリラックスした状況でいると昨日お父さんの教えてくれた住所の道をマップの検索にかけて道を改めてみる。

その道は前回迷ったような道ではなく明らかに新しくできた直線道路をずっと通るかのような道だった。

横には立派な歩道があって山を切り開いてできたかのような感じだった。

12時うちの前に吉村さんの車が止まる。

吉村さんは配達用の車に乗っていた。

私は吉村さんだと確認をして用意をしてドアを開ける。

「りんちゃん、今日は体調大丈夫そう?」

そう、吉村さんは私に問いかけてくる。

「はい、大丈夫です。」

「それじゃあ、行こっか。」

そう言い、私を誘導する。

私は誘導通り車に乗りオープン予定のお店の方へ行く。

道中、吉村さんは私のことについて聞いてきた。

新しい学校のこと

お父さんの会社での感じ

色んなエピソード

そんなことを話していた。

そんな話をしているとあっという間にお店に着いた。

お店は前回よりも仕上がっていてお店の外観には空色のアクセントカラーが入っていた。

お店の中は前回の時よりもあんまり変わんなかったように感じたがそれでもよく見ると奥の方とかだとだいぶ進化をしていた。

そんな感じでお店の中を観察していると愛華さんが出てきた。

「りんちゃん、元気にしてた?」

そう、陽気な声で話しかけてくる。

普段だったらちょっとイらっとするかもしれないけど愛華さんなどはそんなことを一切感じなかった。

しばらくは愛華さんが休憩時間と称して私と話をした。

そばには暖炉とかまだ無かったけど温かいココアが身体を温めてくれた。

話は私主導だったけど全部受け入れて聞いてくれた。

こんな大人になりたいな...

そんなことをかすかに思いながら話続けた。

しばらく話を続けているとふと、何かを思い出したのか愛華さんが私に問いかける。

「ねぇ、りんちゃん。うちの看板に絵を描いてくれない?」

愛華さんがそう言ってきた。

「看板に絵ですか...?」

「うん、そうやで。ちょうど文字だけで殺風景だったん。向こうにあるからおいで」

そう言い、愛華さんは私を連れ出す。

段差が多くとても転びそうになる。

でも、それらは目に見える程度だからすぐによけられた。

1分もしない道を歩いているとそこには最初に出会った時の駐車場に広がっていた。

駐車場には看板がありそこには文字だけしかなかった。

「ここにりんちゃんの思った通りのものを描いてほしいの。絵の具とかはまだでいいから何かいいアイデアとかそうゆうの考えてほしいな。もちろん分かんなくなったらなんでも言っていいからね」

そう、愛華さんは言ってきた。

私なんかの絵でいいのかな

これ下手な絵は描けないな

「あの...私なんかでいいのでしょうか?」

私は小さくなる声で話す。

「うん、りんちゃんの絵がいいの!ゆっくりでいいから大丈夫だよ」

そう、返ってきた。

これ、やるしかないな。

「うん、本当にゆっくりになるけどいいですか?」

「全然大丈夫大丈夫。さぁ、もう寒いから戻ろうか」

そう言い、私を連れて元の場所に戻ってきた。

元の場所に戻り私は早速構想を考える。

中央にすでに文字があるからどうやろうかな...


私は、この約2年間で何度も絵を描くのを諦めた。

続けようとしたけどまた辞めてまた続けて辞めて...

そんなことを繰り返していた。

SNSなんてどうでもいい。

5人が見てくれればいい。

顔なんて知らなくていい

顔を知っていれば正直めんどくさいしいつまでも嫌な記憶として残っちゃう。

めんどくさかった。

やる気なんてかけらもなかった。

でも、一度全部失って私はできたことは絵を描くことだけだった。

ゲームとかもあったけどそれはそんなに長くは続かなかった。

あっという間に終わった。

だから、私は筆を動かした。

それでも私は描きたい。

その思いただ一つだけだった。

私は振った相手にもう一回仲直りを繰り返す意味不明な人だ。

こんな人そうそういないんじゃないか。

でも、こんな私を受け入れて見捨てずに自分の思いのように反応をしてくれた。

それだけが救いだった。

だから、みんなにもこう言いたい。

人は感情があるから裏切る。

その人が嫌だったら離れていく。逃げていく。

でも、筆は自分の通りに動いてくれて私を輝かせてくれる。

ずっと、光を照らしてくれる。

そして、何度も受け入れてくれる。

だから、スランプとかあるし描きたくなくなる時もある。

でも、筆は裏切らない。

どんなに描くのが遅くなってもいい

投げたくなりそうになってもいい

でも、描くのだけはやめないでほしい

なぜなら、筆は裏切らないから

ただ、それだけ

そう思い、私は看板のアイデアの構想を膨らませていた。

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Colorful World 廣海 奈央斗 @hirouminaoto

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