悲劇と決断

英成高校に入学して美術部に入部した三島りんは長期のスランプに陥っていた。

スランプを治すために夏休み半無理やり昼夜逆転状態で描き続けた。

しかし、そんな生活を送ってる彼女に突然病魔が襲う。


次に目覚めた時、彼女の目には機械的な色の天井が映し出されていた。

あれ?私は部屋のドアを開けて...そして...

すぐには理解ができなかった。私はこの世から消えたんだと思ったから

生きてる...

まだ、生きてるわ...

目を開けて呆然夜していたら看護師が駆け寄ってきた。

「あ、三島さん!三島さん!ここどこか分かりますか?先生、三島さん...」

看護師らしき人がそんなことを言っている。

最後なんて言っているか分からなかった。

それにしても、この病院の空気は1mmも慣れない...

まるで、いまから人体実験でもするんじゃないかと思うくらいの恐怖が私を襲う。

とりあえず背中が痒いので右腕を動かそうとするが動かない。

左腕は点滴につながれていたので動かせられない。

そして、なぜか腕に謎の印が付いていた。

検査のためだろうか黒の線と青の線が手首にあった。

しばらく、どうすることもできなかったのでじっとしているとお医者さんが来た。

どこで想像していた大人数ではなく2人程度でもう1人はどこかすぐに行ってしまった。

お医者さんは基本的に健康診断ぐらいしか会わない健康優良児だったせいか余計怖くなった。

すると、奥の方からお医者さんが近づいてきて

「三島さん、もう大丈夫ですよ。安心してください。」

と、初老のお医者さんが私に声をかける。

安心してくださいっと言われてもこんな状況で安心できるわけがない。

私は言葉は話せるようだったのでお医者さんに問う。

「私の身体に何かあったのですか?」

すると、お医者さんはゆっくりと話す。

「ちょっと長い入院になるかもね。詳しく今からお父さんとお母さんと話すんだけど一緒に聞く?」

これは聞くしかないでしょう。

だって、何もわからず入院なんてされたら落ち着かないし

それに私の身体に何があったのか知りたいし

「一緒に聞きたいです」

私はお医者さんに返した。

「分かった。ちょっとつらい話だけどいい?」

この言葉で私の身体は少し拒絶意識を持って考えてしまった。

ここで生命にかかわる病気だったら嫌だな...

でも、何も知らないのは嫌だし...

どんなことがあっても聞こう。

自分を受け入れよう。

「大丈夫です。」

と私は短く返した。

思いっきりの決意と一緒に

「そうですか、看護師さん車いすの準備をして」

そう言うと看護師さんは車いすを持ってきてくれた。

座るまでも思うように身体が動かなくて看護師さんを困らせてしまった。

結局、数十分くらいかかってしまった。

両親と車いすに乗った私はお医者さんの後を追うように診察室へ向かおうとした。

向かって準備をする時お医者さんが

「申し遅れましたが内科医の小池圭一郎と言います。みなさんよろしくお願いします」

と、遅めの挨拶をしてきた。

「では。みなさん私の後についてきてください」

と小池先生が先頭に立って私は看護師さんに車いすを押されて進んだ。

道中、慣れない車いすに揺れされていて落ち着かなかった。

色んな所から感じる音

車いすの車輪の音、みんなの足音、一般の患者さんの声、機械の音など

いつもだったら絶対聞かないような音だったせいか余計気になって仕方なかった。

エレベーターを使い3階のところに行くとすぐ診察室だった。


診察室の中に入り椅子に座ると小池先生は

「りんさん、そしてお父さんお母さん方よく、落ち着いて聞いてください」

といい、カルテを見せた。

怖い病気だったら嫌だな...

何もないといいな...

「単刀直入にいいますけれど娘さんはギャランバルー症候群です。」

余りにも聞きなれない名前だった。

ふと、両サイドにいる両親を見るとお父さんは落ち着いてたけどお母さんは今にも倒れそうな感じだった。

「娘は大丈夫なのですか!?」

お母さんはパニックな状態で聞いてきた。

すると、小池先生は冷静に

「ギャランバレー症候群は身体が一時的に動かなくなる病気のことです。しかし、おおよそ半年ぐらいで回復する場合がほとんどですのでお母さまそんなに深刻にならあなくても大丈夫です。」

と言い安心させてた。

続けてお父さんが横から入る。

「それは手術とか必要なのですか?」

手術とかは絶対ヤダ。恐怖心の方が余裕で勝つ。

「手術の心配はいりません。しかしながらリハビリをしなければなりません。」

と小池先生は私たちを安心させる顔をした。

その言葉を聞いて私は安心した。

少なくてもどこか身体を傷つけることがないということに安心した。

お父さんも少し安心した表情を浮かべていた。

小池先生は

「この病気の発症原因は分かっていません。しかし、大体の患者さまは半年で完治に近い状態になります。リハビリは主に身体を動かすために行います。そんなに負荷の大きいものではないので...」

などと、私たちに分かりやすく話してくれた。


診察が終わり私は一旦現在の状況を整理する。

落ち着いていられなかったけど自分の心に言い聞かせて必死に落ち着かせる。

「えーと、身体が動かない病気で半年は治療に専念しなちゃいけないか...」

ん...え...

やばくね。

え、だって...学校だったりはどうするん

他にも絵とかみんなのこととか...

せっかくここまで上手くできていたのに...

何もかも楽しかったのに...

それよりもお母さん、お父さんにすごく迷惑がかかる...

そんなことを考えてるとお母さんが突然こんなことを言う。

「あーも、あんたが何も世話をしなかったからりんはこうなったんだよ。りんだって、何か危ないことをして病気になったんじゃないの?」

と、異様にキレていた。

何を言ってるのか理解ができなかった。

え、なんなのこれ...

私のせい...

さっき、先生が原因は不明って言ってたよね...

「おい、りんも聞いてるんだぞ。お前こそ本当に面倒見てたのかよ!?」

久しぶりにお父さんがキレてる...

「りんは何も悪くないんだぞ!何も分かってないのはお前の方だ!」

と、お父さんはお母さんの方を指さす。

「あんたには分からないでしょうね!!」

そう言いお母さんはお父さんに襲い掛かる。

「やめてください!ここは病院なんですよ。」

そう言い看護師さんが間に入る。

私には何もできなかった。

「今、一番に苦しいのはりんちゃんなんですよ!ご両親たちが喧嘩してどうするのですか!」

と言い2人を離した。

見てるだけで心がえぐられるような場面だった。

「りん、はい。これ」

そう言いお父さんはカバンから私のスマホを取り出してきた。

「これ預けておくから何かあったらいいな。あと、さっきはごめんな」

お父さんは優しく今にも泣きそうな感じで話しかけてきた。

「パスコード覚えてる?」

さすがにそれは私も覚えていたので打ったらあっさり開いた。

「よしよし、大丈夫だ。」

そう言って、私の頭を撫でてくれた。

ふと、お母さんの方を向くと何か不満そうに私の目を見ていた。

「お父さんたち入院の用意してくるから一旦家に帰るけど何か必要なものやほしいものとかあったりする?」

そう言われるとつい絵の画材がほしいって言っちゃいそうだけど目の前にはお母さんがいる。

「じゃあ、スマホの充電器とあと、学校のファイルがあるからそれがほしい。ちょっとは勉強したいからさ」

そう、お父さんに返した。

お母さんは機嫌がちょっと治ったけどお父さんはそうとはならなかった。

「りん、今は治療に専念しなさい。勉強は後からできるけど治療は今しかできない。それこそ両立して余計身体を壊してしまっては元もこうもない」

そう言われてしまった。

結局、入院期間私は絵を描くことはできなかった。

本当はお父さんに絵の画材を持ってきてもらうこともできたけど必要以上にお母さんが毎日来てるせいで描くことはできなかった。

もちろん落書き的なことはこっそりとしてたけどやはり今までやっていたようなことが恋しい。

そもそも日によっては体調が本当に優れなくて1日中ベットで寝てるという時もある。

そんな状況で描けるわけない。

そもそもこっそりやってるからできないしな笑

なんでそんなに勉強だけなんだろう...お母さんは

意味が分からない。

入院中お母さんは

「今は治療に専念できるけど退院したらすぐ勉強して追いつくのよ。あなたにはやることが山のようにあるんだよ」

そう毎日言ってきた。

鬱陶しかった。

「お母さん、分かったから毎日は言わないでほしい」

って私が毎度言ったら

「あなたのために言ってるのになんで分からないの!?」

と、返ってくるだけだった。

この繰り返し

それ以外はお母さんとの会話は何も覚えていない。

後はただ単に手伝いをしてもらってただけ

手伝いをしてる時も

「あーも、なんでこうなったんだろうね」

と、聞こえる程度の声で言っていた。

そんな時お父さんが

「学校変えられるけどどうする?」

と聞いてきた。

どうやら、勉強に追い付かないと思うから学校を変えて通信制にしない?と提案してきた。

私は一瞬いいなと思ったけど

「私は一緒の友達と勉強したいし学校で過ごしたい。だから、入院期間もがんばって追い付く。私はがんばりたい」

と、伝えた。

お父さんはゆっくりとうなずいていた。

入院20日目

ある程度調子が戻ってきた。

最初の頃と比べると身体も動いてきた。

手先も少しずつ動くようになった。そういえばお母さん今日来ないな...

入院30日目

お母さんが来ない。

お父さんは仕事で仕方ないけどなんで来ないんだろう...

まぁ、別にもう1人でできること多くなったし大丈夫だけど看護師さんがいないとできないこともまだある...

入院50日目

もう誰もきてない...

幸いあかりちゃんや日葵とはチャットで話せているから寂しくない。

でも、人と話さないとこんなに辛いんだ...

早く戻りたいな...

入院60日目

昨日は久しぶりにお母さんが来た。

最後に会った時と比べると明らかに太ってた。

なんだか腹が立ったけどなんとか堪えた。

なんで太ってるのか聞きたかったけど聞いたら怒って騒ぎになると思ったから聞かなかった。

入院90日目

もう、自分の家や通ってる学校の風景が怪しくなる。

私は本当にこのままでいいのかな...

気が狂いそうだった。

今度お父さんが来たら話してみよう...

入院120日目

お父さんは「今を我慢すれば未来はよくなるんだよ」って言ってた。

本当なのかな...

なんだかいつも信用してるけど今回だけは信用できなかった。

そろそろ朝の検診だ。

「三島さん」

朝の検診でなぜか小池先生も来た。

え、どうゆうこと

いつもは看護師さんだけなのに

そう言い私の手や足を動かして痛くないか確認してきた。

そして、その後なぜか色々検査しましょうといい私を検査室へ連れて行った。

検査を受け終わると小池先生が

「そろそろ自宅療養に切り替えても大丈夫でしょう。もう安心してもらっていいですよ。長い入院生活よくがんばったね」

と、言ってきた。

やった...

これで戻れる...

私は一安心どころじゃない安心があった。

すぐさまあかりちゃんと日葵に報告

2人は予想通りの反応をしてくれたし日葵に関してはすぐ行くとか言ってたから驚いた。

あかりちゃんも少し遅れるけど行くって言ってくれた。

入院123日目

退院の日

もう手足も少し不便っというだけになった。

不便と言っても手足が一番上まで上がらないけど半分以上は動くようになったしっていうところで決定みたい。

手続きとかがあり退院は夕方になりそうだ。

お昼頃、お父さんが1番乗りで来てくれた。

「りん、もう大丈夫になったのか?」

と、会社を明らかに早く切り上げてヨレヨレのスーツ姿で来てくれた。

ヨレヨレすぎて少し笑っちゃったけど

お父さんは別室へ案内されてなんだか難しい書類に目を通してた。

お母さんはまだ来ない。

まぁ、来なくてもいいんだよね...

来てもどうせあーだこーだ言ってくるから

結局退院祝いにはお母さんは来なくて自宅での歓迎となった。

「りんちゃん、おかえりなさいねー辛かったでしょう」

そう言い私を迎え入れたお母さん

入院中来なかったくせに...

何嘘を言ってるの。

この人には分からないんだろうね。


2ヶ月の予定の自宅療養は通院形式だった。

病院というかなんか運動器官を治すリハビリのところみたい。

そこに2ヶ月通って完全に治っちゃえばもう大丈夫みたい

だから、その期間お母さんがいないときつい...

「お母さん、毎日の病院までの送り迎えお願いね...」

「そんなのあったりまえじゃん」

と、お前いくつだよ。っと疑いがかかりそうな口調で返ってきた。

吐き気が凄まじい。

そこからの生活は地獄に等しい感じだった。

毎日お母さんはどこか行ってしまうしリハビリはキツかったし帰ってきたら何もできないし...

生きてる意味が分からなくなった。

毎日同じことの繰り返し

そのせいで入院してた時よりもつらい...

それだったら1人でいた方がいい。

それくらいだった。

自宅療養7日目

一昨日は日葵が来て昨日はあかりちゃんが来た。

2人とも私が帰ってきたことに喜んでいた。

でも、私はもう完全に疲れ切ってたからあまりいい感じにできなかったかな?

でも、2人は喜んでいた。

その嬉しい顔が見れるだけ私は嬉しいよ。

自宅療養14日目

今日でリハビリは次のステップに入る。

手足は7、8割は動くようになった。

お母さんはやけに急かすようになった。

「ほら、さっさと行くよ!もたもたしないの!」

それを毎日繰り返す。

お母さんどこか行くの...?

自宅療養32日目

今日はお母さんが朝まで帰ってこなかったのでタクシーを使って病院へ行った。

タクシー代が地味に大きかった。

タクシー初めて乗ったんだけどこんなにかかるんだ...

すると、タクシーのおじちゃんが

「ここの家の娘さんかい?君のお母さんが毎日使ってるから分かるんだよ。お嬢ちゃんどこに行くんだい?」

え、ちょっと待って...

私は家の方を向く。

お母さんは自分の車を持ってる。

タクシーなんてまず使うわけがない。

しかも毎日?

どうゆうこと...?

「ここの病院までお願いします。あと、母はどこへ行くのですか?」

つい、聞いてしまった。

「お母さんならいつも市街地のバーに行って毎日同じ男の人連れて行ってたな。ありゃあ、完全に浮気だな」

浮気か...

ころころと表情が変わる人ならあるな...

信じたくなかったけど信じるしかなかった。

私に急かしていたのは浮気相手と会うため...?

お母さん今まで私たちを騙してたの...

お母さん嘘なの...

自宅療養34日目

タクシーのおじちゃんから聞いた話そのまんまお父さんに話したら深くうなずいてくれて

「りん、ごめんな。お父さんあまりいられなくて...」

と、後悔していた。

別にお父さんは悪くない。

大丈夫だよ。きっと

きっとそうだよね...

自宅療養45日目

お父さんは探偵を雇って調べたみたい

そしたらタクシーのおじちゃんの言っていたことは本当だった。

信じたくなかったけど受け入れるしかなかった。

これを知って夕方にお父さんは早めに仕事を切り上げてお母さんの帰りを待った。

21時...23時...いつまで経っても帰ってこなかった。

結局帰ってきたのは翌日の10時だったみたい。

私はその時間リハビリに行かないと行けなかったのでお父さんにお金を渡されて

「こんなことしかできなくてごめんな...」

と言いタクシーの背中が無くなるまで居てくれた。

どうやらお母さんは普段しない濃い化粧をして、派手なパーカーを着てたみたい。

玄関先でお父さんを見つけて慌てて自分の車で逃げたそうだけど

お父さんが車のバッテリーを外していたおかげで逃走できなかったみたい。

そして、いくつもの証拠を上げたらあっさり堪忍したみたい

「もう、りんもそっちにあげる。でも、あんた育てられないでしょ?」

と、笑ってきたみたい

ありえないよね...?

お前は親の自覚無いのか!?と激高してたみたい。

どうやら離婚に進むみたいだけどここにお母さんがさらに怒ってきた。

どうやらやっぱり娘が欲しいと喚いてるみたい

子供かよ...と思っちゃった。

だって、やっぱり欲しいって最高にずるいと思うんだよね。

それ言ったらキリないじゃん

自宅療養60日目

結局、私がお母さんと一緒に生活するということはなかった。

欲しいと言った数日後にお母さんはスーツケースと一緒に出て行った。

出ていくのは誰にも見せたくなかったのか早朝に出て行った。

私が朝起きたらすでに居なかった。

お母さんは私を見捨てた。もう、諦めたんだろう。

でも、これで自由になりたいことができる。

もう、これでいい...

今日でリハビリはおしまい。

身体はすっかり完全に動き元通りになった。

リハビリを担当した人も安堵の表情をしていた。

明日からは学校

とりあえず半日で午後からのスタートと決まった。

そこからどんどん学校にいる時間を広げて最終的には元に戻るということみたい。


120日の入院治療と2ヶ月の自宅療養を終え私は学校へ戻った。

久しぶりの学校だ。みんな元気にしているのかな?

私は、どこかみんなから歓迎されるムードを予想していた。

だってそうでしょう?少しぐらいは歓迎されてほしいよ。

もう、普通に歩けるようになったし元気に話せるし大丈夫

そう思い私は教室のドアを開けた。

「おはよう!」

午後だったけどおはようと言った。

私は半年ぶりの教室に足を踏んだ。

みんなはこっちを向いた。

「みゆしまさん、もう大丈夫になったんだね!」

あかりちゃんが最初に私に話しかけにきてくれた。

「うん!もう大丈夫だよ。心配かけてごめんね」

最初はみんな元気に振舞ってくれた。

みんなすごく心配してくれて私にたくさんのプレゼントをしてくれた。

最初だけは


「てかさー、あかり聞いて」

「んー、どうしたの?」

「いや、うちのお母さんが浮気しててまじ最悪なんだけど」

「え、それまじでやばくね笑」

「やばいでしょ笑」

「まっじで最低やん。同じ女としてありえないわ笑」

そんな会話を繰り返してた。

それでいい...

私はみんなと話を繋ぐためにがんばらないと...

学校復帰5日目

よし、まだみんな付いている...

勉強遅れている分がんばらないと

学校復帰10日目

あれ?なんでみんな離れていくの...

え、私は障がい者だって...

それ、誰が言ってるの?

本当に誰...?

学校復帰20日目

どこ行ったの?みんな

本当に誰が言ってるの?

部活だけが私の楽しみ

部活なら山本さんや河野先輩などみんながいるから楽しい

馳君なんでこっち向いてるだけなんだろう...

教室行ってもこそこそと言われてるのが聞こえる。

全部聞こえてますよ。

全部分かってますよ。

全部知ってますよ。

学校復帰35日目

誰に聞いても「そんなこと言ってない」の一点張り

本当にそうなの...?

もう、みんな信じない。

嘘つき...みんな怒らないから言ってよ...

学校復帰50日目

学年に広まってた。

もう知らないや...

生きてるのつらいな...

部活でもなんだかみんなに心配させてごめんね...

うちに来てほしくないの?

あ、大井川先生久しぶり...え...部活来ないでくれ?

大井川先生...何を...

学校復帰52日目

なんでこうなってるの...

どうゆうこと...私どうしちゃったの...

明るくしてなくてごめんね。

ごめんね...ごめんね...


もうどうでもいいや...

学校行ってもみんなから無視やからかわれるし家に帰っても誰もいなくて寂しいし...

絵なんてもう最後描いたのいつだっけ?

現実世界に疲れて描く気力なんてもうないよ...

甘い考えでごめんね...

もう、いっそのこと...

私は気づいたら学校の屋上への階段を登っていた。

自分ではダメなんだと分かっていた。

でも、もうこれ以上耐えるのは無理...

生きてるのさえ奇跡でもう消えててもおかしくないのに...

屋上のドアの前に来た。

ドアは一見すると空かなそうに見えたけど全身を使って押し込むとものすごい勢いで開いた。

開いたとき「ガッシャン」と音がしたけどもうどうでもよかった。

ドアを開けた景色を見るのは初めてだ。

何もない空間

フェンスが囲ってあってそれしかない。

風が強く風船なんかあったらどこか遠くに飛ばされてしまうのではないかと思うくらいだった。

私は消えるために一歩を踏み入れる。

もう一歩踏み入れる。

踏み入れた時どこか恐怖心があった。

でも、もう戻らないと私は決めてたからそんなものはすぐにどこか吹き飛んだ。

もう、生きててつらいしこんなにがんばったんだからいいよね...

フェンスは私の身長よりちょっと大きかったけどこの程度ならよじ登れる。

もう、これ以上私に関わると迷惑になるしいない方がいいよね...

私はフェンスをよじ登って一番上まで行こうとする。

登ってる時上を見てたせいか遠く感じた。

なかなか上に進まない。

神様は私を消えさせないためにそうしているのか

そう思えてきた。

それでも私は登る。

もう私は自由になる。

もう疲れてしまって限界...

そう思った時だった。


「おい、何をやってる!!」


ふと後ろを向くとただ1人だけ馳くんが立っていた。

え、なんで馳君いるの...

「お前、1回病院行ってみてもらいなよ。疲れておかしくなってるんだよ!」

馳君までおかしくなったのかな

「私がおかしいなんてないよ。みんながおかしいんだよ!」

と、大きな声で言った。

「忘れっちまったのかよ...楽しみを忘れちゃったのかよ...思い出せよ!」

そう言って、私はちょっと考えた。

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