考える人の末路
家に帰った僕は、早速パソコンの前に座り、例の事件について調べることにした。
小さい事件だからか、なかなか思ったような記事が出てこない。
この
この90という数字を多いとするか、少ないとするかは各々の判断だが。
今日も、同じような記事が無数に掲載されている。
その記事を僕は見逃さなかった。
誰も目を留めないであろう、どこにでもありそうな、ありふれた記事。
これを運命と呼ぶにはあまりにも酷だが、僕は例の事件と再びまた巡り会えた。
記事にはこう書いてあった。
『…昨日の深夜未明、東京都世田谷区で起きた、女子高生が死亡していた事件について、警察の調べで、屋上に文庫本が残っていたほか、遺体のポケットには、スマートフォンとペンギンのキーホルダーが入っていたことが分かった。警察は、遺体の状況からみて、何らかの原因で屋上から約25メートル下の歩道に転落したことによる、事故死ではないかとみて、引き続き調査を続けている。……』
この記事には、名前も写真も掲載されていない。
名前が掲載されていたとしても、僕は知らないのだが。
でも、僕には、僕だけにはこの女子高生が、彼女だとわかった。
不思議と涙は出なかった。
込み上げてくるものもなく、ただただ、虚無観だけが僕を襲った。
どのくらい放心状態だったのだろうか。
気が付くと、涙が溢れていた。
名前も年齢も知らない彼女の死を僕は悲しんでいた。
ふと、脳裏に彼女との約束を思い出した。
最近のはずなのに、とうの昔のことのように思い出した。
気が付くと、僕はスーパーに向かっていた。
何故かって?
リンゴを買うために決まっているじゃないか。
毒りんごってどうすれば出来るのだろうか。
とりあえず調べてみるか。
グサッ。
え?
鈍い痛みを感じた。
痛みを感じたところを見ると、どす黒い血が溢れ出てきていた。
僕は膝をついて、うずくまった。
足元には、どす黒い血の海が出来はじめていた。
視界が霞む。
だんだん呼吸が荒くなるのを自分でも感じていた。
ああ、死ぬんだな。
何となくそんな気がしていた。
結局、生きる意味ってなんだったんだろうか。
ある人は言った。
『人は死ぬために生きるのだ』と。
また、彼女は言った。
『いつか訪れるはずの幸せを楽しみに生きるわ』と。
たぶん、どちらも正解なのだろうか。
いや、正解などむしろ無いのかもしれない。
僕にも未だに正解は分からない。
ただ、確かに言えるのは、
『人は皆、生きる意味を探すために生きるのだ』という事だ。
ある人が、死ぬことに生きる意味を見出したように。彼女が、幸せに生きる意味を見出したように。
人は皆、生きる意味を模索しながら、毎日を生きている。
今、答えを知ることが重要では無い。
死ぬまでに、それが気づけたら、それはたいそう幸せなことだろう。
それに気づけた僕は幸せ者なのかもしれない。
あーあ、死ぬのか。
嫌だ。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
誰か、助けて───────────────
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『……えー続いてのニュースです。昨日の夜9時頃に、男子高校生が、通り魔に殺害される事件が起きました。警察は容疑者として、自称会社員の
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