考える人の末路

ニュース

　水族館に行った後日から、テスト週間に入ってしまい、あの場所には行けていない。

　連日連夜、課題に追われる毎日を送っている。

　こんなことなら毎日しっかり勉強しておけばよかった。

　毎テストごとに同じ感想を抱いている。

　今日も徹夜明けの体を叩き起しながら、朝食を食べている。

「……続いてのニュースです。昨日の深夜未明、東京都世田谷区の廃ホテル付近で、女子高生の遺体が発見されました。警察は事故と自殺の両方の可能性があるとみて、調査をしています。……」

　世田谷区か。僕の住んでいるところだな。

　未成年だった、実名は報道されないし、顔写真も載らないんだったっけ。

　僕が今死んだら、写真は卒アルのものになるのだろうか。

　嫌だなー。あれ写り悪いんだもん。

　どうせならもっとカッコ良く写った写真を使ってもらいたいな。

　そんなことを考えながら、テレビ画面を見ると、そこには毎晩、僕が通っていた廃ホテルが写っていた。

　僕は、薄らと感じた嫌な予感を気付かないふりをしながら、朝食を食べ進めた。

　朝食を食べ終えると、制服に着替え、身なりを整えてから、学校へと向かった。

　道中、例の場所に寄ってみたが、野次馬が集まっていた。

　まるで、いつもは誰も寄り付かなかったあの場所が、誘蛾灯になってしまったように感じた。

　僕は馬にも蛾にもなりたくなかったので、急いで学校へと向かうことにした。

　その日のテストはあまり身が入らず、散々な出来になってしまった。

　帰ったら、事件のことを調べてみよう。

　そう思い、僕は家路に着いた。