おっさん森に置き去りに会う
『……に損傷あ………活…限界………治…を……します………了………*^.?#•*の…を確認……吸収……融……に成功しました。*#•*の……適化…推奨………諾……
……最…化完了……*…•*は18%…復…___は消滅しまし……__ __ __は昏睡…態よ…復帰……した…
スキ…の確認…最適…を…奨………*#•…の指…もと…キルの…適…完了…___は………』
(……?)
先程から男の…いや機械っぽい声が煩い…今はAIというのか?…
ひどい寒さと頭痛…いや…身体のあちこちが痛い。目を開けても真っ暗で手を伸ばせば何かチクチクした質の悪い布に全身覆われているのがわかった。
(一体どうなったんだ…?)
あの白い発光体が一段と光った時から記憶がない。何処に閉じ込められたのかわからず俺は懸命にもがいた。
身体は弱々しく、もがけばもがくほど息が切れる。身体は冷え切っており、何時間も放置されていたのか、今は何時で実家に向かった引越しトラックはどうなったか、気になる事は山ほどあった。
(まずはこの布から出なければ…)
体感からして数時間。されど数時間。大の大人が数時間行方が分からぬからといって親も警察も動かないだろう。親に至っては飲み歩いてほっつき歩いてると思っているに違いない。
(…っ…そうだ…携帯を尻ポケットに入れていたはず…)
普段携帯をあまり使っていなかったから存在を忘れていた。これで連絡がつくかと一安心したが、尻ポケットをあさると着ている服の質感が全く違うし手持ちのボストンバックも、…少なくともこの袋の中身には無かった。
(…まさか着替えさせられたのか?…畜生…荷物もどうなったんだ…こんな事なら引越し屋に任せるべきだった…)
大切なものを失い、外部との連絡の手段を断たれ絶望的になった。あとは声を張り上げるしかない。先程からずっとボソボソと続いている機械の声は気になるが、この布の外がどうなっているかだなんて気にしてはいられない。
誰か!誰かいないか!?
「ーーーーーっ!」
喉は乾いていてカスカスで声も出ないほどだった。今まで体感した事がない状況だ。自分は一体どれだけの時間放置されていたのか。
ここからだしてくれ!誰か!助けてくれ!
「ーーーーーーーーーーぁーーー!」
俺は両手を突き出して精一杯の声を張り上げた。最後は獣の唸り声のような叫び声だったが、代わりに両手から何かわからない衝撃が起こり、ビリビリと布に穴が空いた。
何が起こったのかはわからなかったが、俺は必死にもがいてチクチクした布から出ると呆然とした。
(…ここは…どこなんだ?…)
辺りを見回せば鬱蒼とした木々に囲まれた見慣れぬ暗い森の中だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます