第4話 チート能力:モデリング

「お父様、先ほどから何をなさっているのですか?」


「ん? 今、ナイフの3Dモデルを作っているんだよ。ほら」


「? 私には何も見えませんが」


「そうなのか? このUI、俺にしか見えていないのか」


「お父様、お疲れならば少しお休みになられた方が」


「大丈夫大丈夫、おかしくなってないから」



 マウスやキーボードはないので指で動かす。どのハンドサインでどう動くのかは手探りだったが、わかってしまえば苦にならなかった。



「よし、こんなもんかな。テクスチャが微妙かな。まぁ、いいか。レンダリングっと」



 レンダリングのボタンをタップしてナイフを出力する。直感的にはこれでナイフができあがるっぽいんだけど。


 予想はあたった。


 レンダリング中のマークと進捗率が出ると同時に、俺の手元に緑の光が集まってくる。そして進捗率が100%になったとき、ずしっとした重みと冷たい金属の感触が手にのっかった。



「お父様! これは!」


「じゃじゃーん! ナイフ作ったぜ!」


「さすがです! いったいどんな魔法ですか!?」



 わからん。魔法というものがある世界観なのかもわからんが、とりあえずこの力を使えば必要なものは揃えられそうだ。



「よし、次は何を作ろうか。鍋とか調理器具を作ろうか、それとも武k――


「お父様? ……!?」



 やっとチート能力らしきものを手に入れて調子にのっていたわけだが、俺の意識はそこでぷつりと途切れることとなった。


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