第7話 エピローグ

南の国ハイビスカス国。


こんがり日焼けしたアリシアと俺は、海に面したヒューゼン公爵家の別荘で寛いでいる。

ここで彼女はアリアと名乗っていた。


デッキに長椅子を並べて、心地よい海風に吹かれ、夕日を見ながらシャンパンで乾杯。


俺はアリシアを抱き寄せて何度も口づけを交わした。

何年も前から、彼女に夢中になってしまった。


「外務大臣になるんじゃないの?」


「あー 面倒だから断った」


「いいのかしら?王弟なのに。お国の評判が落ちてるわよ」


「セルリアン王太子にコールマン侯爵令嬢を側妃に迎えて、立て直すだろう」



「アレンは私のような悪女のどこがいいの?」


「俺も悪人だから。似た者同士で良いじゃないか」


「貴方は好きで放蕩王子をやってたわけじゃないでしょう。私は好きで悪女をやってたのよ」




「・・・王太子妃になれたかも知れないぞ?」


「アレンがいるからセルリアンに未練はないわ。王妃は失脚させたから満足よ」



海を茜色に染めながら夕日が沈んでいく、同じようににセルリアンの海に熱くアリシアも沈んだのだろうか────


アリシアの希望通りセルリアンの心にアリシアは深く刻まれた。


それが復讐と言えるのかは分からんが、アリシアが満足したなら良いだろう。



────恋人としては複雑だ。



「もうこの国で暮らそうかな」


「ずっとここで暮らせば良いわ」


この国の永住権をとって、アリシアにプロポーズしよう。

海辺のホテルを買い取って、二人でのんびり暮らすのも悪くないし、もしもアリシアが事業を始めたいと望むなら、俺は協力を惜しまない。


アリシアの心には俺だけを刻み込んで欲しい。


「俺のアリシア、愛してるよ」



あの日アリシアを拒絶し、ナターシャを選んだセルリアンにアレンは心から感謝した。





────終わり


最後まで読んで下さって有難うございました。

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ボロボロに傷ついた令嬢は初恋の彼の心に刻まれた ミカン♬ @toda571

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