第111話 テンちゃん
俺はその表示が見えた瞬間、反射的にテイムの許可を押していた。
テイミング成功
名称:■
そして、少しだけ悩む。テイムは出来るというか、しなければならないとは思っていたのだが、名前は全く考えていなかったのだ。安直な名前を付けたモビとマンダには悪い事をしたと思っているし、できれば安直じゃない洒落た名前を考えたいところだが……
うーん……ユキとかは安直すぎるし、テンゲって名前もなんかあんまりイメージと乖離している感じがする。
かといってサクヤとかそういう全然関係ない名前を付けるのもなんかモビとマンダの事を考えると不公平感あるしなあ。
うんうん唸りつつ、俺は名前をARキーボードで入力する。
「聞いてますかコンビーフさ――」
ミーコさんが俺に話を振ったところで、俺はそれと同時にエンターキーを押していた。ユキテンゲが光に包まれ、そして機械的なデバイスをいくつか付けた姿で空中に浮かびあがる。
「クルルゥ」
「よろしくな、テン」
俺がつけた名前を呼んでやると、テンは嬉しそうに空中で一回転した。こうして見てみるとどこか雪国のマスコットキャラみたいで可愛いかもしれない。
「……」
テンがモビにじゃれつきながら遊んでいるのを目の端で確認しつつ、ミーコさんに向き直る。
「あ、ごめん話聞いてなかった。もう一回――」
「えっ!? ええっ!? さ、さささ三体目!?」
今度は俺の声が遮られてしまった。
ミーコさんは腰が抜けたような、奇妙な駄馬だ場とした走りでモビとテンがじゃれ合っているところへ近づいていき、眼鏡の位置を直して、じっと観察している。
「クルル……?」
「キュ……」
二匹ともミーコさんの勢いに困惑しているようで、気まずそうにきょろきょろと周囲を見回している。
「は、はああぁ……これがテイムされたボスモンスター、海外のハッカーがファンミーティングで普通のモンスターを見せてくれたことはあったけど、まさかボスを見ることができるなんて……」
「あの、ミーコさん」
「……」
だめだ、完全に自分の世界に入り込んでいる。仕方がないので俺はテンのステータスを確認することにした。
名称:テン
種族:ユキテンゲLv1
力:3
知:16
体:1
速:15
スキル:ブリザード、凍結ブレス
支援スキル:ステータス強化<知>
まずステータスを見て驚くのは、その極振りっぷりだろうか。ネトゲのステ振り並みに極端なレーダーチャートを描いてそうだが、確かに戦ってみた感じ、こういうステータスをしていそうだという感じは確かにあった。
そして気になるのが、ステータス強化<知>という項目だ。俺はAR上でスキルのヘルプを呼び出し、その解説を見ることにする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます