第103話 ちょっと前の出来事
mi-co「どうすんの? 首輪つけるとは言ったけど、いきなりオフ会は正直勘弁してほしいんだけど」
ikasomen「まあまあ、大丈夫だよ。こんなガチガチの攻略サーバーにくるようなのは、陰キャかチー牛ばっかりだろうし」
SAKAKI「私達の同類だろうし、問題ないんじゃないかな」
akiakane「それに四人で会うんだし、向こうのパーティ男女混合らしいから変な事も起こらないでしょ」
mi-co「本当にそう思う? ちょっとめんどくさい事になりそうじゃん」
SAKAKI「でも、私達にも後輩ができるって思うとなんかよさそうじゃない?」
mi-co「む、それは確かに」
akiakane「ミーコは特に最年少だからそういう言葉に弱いよねえ」
ikasomen「なんにしても、大丈夫でしょ」
SAKAKI「そうそう、何とかなりますよ」
akiakane「私の後輩が増えるぞ~」
mi-co「しょうがないなぁ……」
昨日のチャットログを見返して、ミーコは溜息を吐いた。周囲にいるサカキ、アキアカネ、イカソーメンも似たり寄ったりの表情である。
全員が全員野暮ったいファッションに身を包んでいるため、周囲の雰囲気は必要以上に陰鬱なものとなっており、通り過ぎる人のうち何人かは何事かと振り返っていた。
「ど、どうしよう……」
背の高い一人、サカキは自分の頭に手を当てて呟いた。その言葉に他の三人は反応を返さなかったが、彼女たちの心情としてはそれと同じものが渦巻いていた。
憂鬱の原因は、今日の待ち合わせ相手と、待ち合わせ相手が連れてきた四人だった。パーティメンバー三人と、監督役一人という事だったが、その人達は美形の男子とクラスカースト最上位の女子、そしてサークルを破滅に導きそうなメイクの女の子に、中性的な美形だった。
「ほら、だから言ったじゃん。やめとこうって」
ミーコが他の三人に向けて非難をする。
「でもミーコだって最後は了承してたじゃん」
「そ、そうだけど……」
太めの一人、アキアカネの言葉にミーコは口ごもり、改めてコンビーフの連れ合いを観察する。
地味目な格好をしてオーラを消そうとしているが、明らかにその上からでもにじみ出るものがある。地味さで言えば自分たちに比肩する物はそう居ない自分たちだからこそ、その圧倒的なオーラを感じてしまっていた。
(というか、あの中性的な人、男……だよね?)
ミーコはちょっと考えつつも、中性的で綺麗な人を見る。見た目は男に近いような気がするけれど、立ち振る舞いは女性の方が近いような気がする。なんとも不思議な雰囲気を持っていた。
「よし、ミーコ、挨拶してきて」
ミーコがそんな事を考えている時。背の低い一人、イカソーメンが唐突に口を開いた。
「はぁ!? なんで私が!?」
「だ、だって私たちの中だとミーコが一番おしゃべりだもん」
「あっそそ、そうだね、行ってきなよミーコ」
「ファイトですよ!」
イカソーメンの発言に他の二人が同調して、ミーコは半ば追い出されるようにして五人組の方へ歩き出した。
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