第100話 サカキ、ミーコ、アキアカネ、イカソーメン
『あー、別に隠してるとかそういうんじゃないんだよね』
akiakaneというIDのユーザーが書き込んで説明をしてくれる。
akiakane『ほら、wikiって誰でも更新できるじゃない? 企業wikiとかはライターが書いてたりするけど、なんにしても書く人が素人なことが多かったり、ここにいる奴らみたいなのは「誰かに教える」って作業が心底苦手だったりするんだよね』
mi-co『聞く事しかできない奴ってのは、一回丁寧に教えてやるとその後もずっと聞きに来るからな。昔教えたことあるけど、ついには「武器は何を使えばいいですか?」とか言い出してうんざりしたわ』
アキアカネさんの書き込みに続いて、ミーコさんが溜息を吐く絵文字と共にそんな事を書き込む。確かに武器選びくらいは自分でやるべきだし、そんな事を聞いてどうするのか。という感想が俺の中で出てしまう。
とはいえ、情報収集に来た俺もその「鬱陶しい奴」の一人になっているような気がするので、素直に笑う事は出来なかった。
SAKAKI『ミーコ、新人さんを委縮させないの』
mi-co『ういー』
どうやらこの三人が結構チャットで発言している人たちらしい。話しぶりからして、それなりに経験がありそうなダンジョンハッカーなので、どうしてもわからないことがある時は聞いてみよう。
『それで、ファフニール討伐だって?』
適当に話を切り上げて、ログを読んで情報収集しようと思った時、ikasomenというIDで書き込みがある。
cornedbeef『あ、はい。そうです』
ikasomen『ファフニールは難しいからねえ、上級への登竜門。もしよければ自分たちでレクチャーしてあげるよ』
mi-co『え、ちょっと、イカちゃんそれめんどくない?』
ミーコさんが割って入るが、それをサカキさんが止めた。
SAKAKI『まあまあ、イカちゃんがリーダーですから。という事でどうです? 関東圏のダンジョンなら遠征してオフで教えられますけど』
cornedbeef『え、いやそこまでは』
ikasomen『まま、エンリョせずに、とりあえず深河駅近くのファフニールが居るダンジョンで次の日曜日、昼十時ね』
cornedbeef『ミーコさんが言うようにめんどくさいでしょうし、悪いですよ』
唐突に始まった初対面でのオフ会提案にびっくりして断るが、他の四人は全員乗り気だった。
SAKAKI『大丈夫ですよ、それとも中部とか東北住まいなんですか?』
cornedbeef『いや、関東圏ですし深河はそれなりに近いですけど』
akiakane『んじゃ決まりだねー』
mi-co『まーしょがないか、ミーコ様がしっかりレクチャーしてやるから待ってなー』
ikasomen『本当に嫌だったらバックレてもいいよ。でも少人数討伐とか見れるのは貴重だから来たほうがいいと思うなー』
半ば強引に決められてしまったが、考えてみると四人でファフニール討伐をするような話しぶりだし、丁度俺たちが参考にするべき人たちなのかもしれない。そう思って俺は一つお願いをしてみることにした。
cornedbeef『あの、もし迷惑じゃなければなんですけど――』
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