いま最も若手選手が活躍している巷で話題のプロ競技を知っているだろうか。そう、将棋である。
この作品は、将棋のプロリーグへ挑む若手棋士を描いた人間ドラマだ。
主人公の長谷一輝は、16歳の秋に四段に昇段しプロ入りしたばかりの期待の新人。
奨励会ではプロ最年少記録更新も期待され天才少年と呼ばれた一輝ですが、プロの世界はそう甘くない。スタートこそは好調だったものの、次第に一局の重み、一手の重みがのしかかります。
下位クラスであるC2級で壁にぶつかり、自分の力不足を思い知らされる一輝ですが、プロとしての仕事や次の対局は忙しくやってくる。
そしてもう一人の主人公とでも言うべき、幼馴染の女流棋士・牧野小夜もまた、女流タイトル獲得を目指し女子リーグのなかで必死に勝利の一手を探し求める。シビアな勝負の世界で奮闘する二人の男女の姿が手に汗握ります。
プロ棋士の誰もが一手一手に己の人生を賭けているからこそ白熱した対局になるのです。心を震わせる名局の数々を、是非ご覧あれ。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)