第31話 復讐

2時間カラオケをした後、俺は彼女にこう言った。

「ねえ、この後だけど――うち来ない?」


「えっ――?」

彼女は少し動揺したように見えた。


「実は昨日、◯◯さんと何して過ごそうかって考えた時にうちでゆっくりご飯食べたいなって思って、鍋の具材一式買ってきちゃったんだ」

「外で食事したことはあったけれど、ゆっくり一緒に食事したことはなかったからさ」

「◯◯さんが心配するのもわかるよ。でも大丈夫、ほんとに鍋食べるだけだから」

俺は、彼女の不安を消そうと用意していた補足を次々に話した。


「うーん・・・」

彼女はそれからしばらく悩んだあと「さすがに家は行けないかも」とやんわりと断った。


「――そうだよね」

訊かなくても理由はわかった。

「どうしても来てほしいわけじゃないんだ。ただ――多分これが最後になると思うから・・・。いや、今でもほんとうはだめなのかもしれないけれど、でも最後に1回だけうちに来てほしいんだ」」


「どうして・・・? なんでそんなに来てほしいの?」


「いや、大した理由じゃないよ! なんというか・・・親友としての証? 思い出? が欲しいと思ったのかもしれない」

「嫌なら違うとこ行こう」

俺はそう言って判断を彼女に委ねた。



「――行こっか」

「いいよ。小林くん家、行っても」


「・・・ほんとに?」


「うん。行こ」


どうして彼女が考え改め、行く気になったのかはわからない。

でも、素直に嬉しかった。

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