第24話 錯綜

俺はそれに対して何も言うこともできず、しばらくの間ただただ傍観することしかできなかった。

今改めて考えてみると、彼女自身もメールのやり取りで俺と仲良くし過ぎてしまっていたと反省していたのだと思う。

5年越しにようやく話ができた"彼女自身の嬉しい気持ち"に素直になりすぎて、その嬉しさのあまり俺の気持ちや立場を考えずに何でもかんでも包み隠さず話し過ぎて、俺をその気にさせてしまったと。

でも、嘘をついてまで俺を拒否する意味や理由がなかったし、それは彼女自身も本望でなかったのだ。

”俺と話したかった"というのは彼女自身も望んでいたことで、でも彼女は”私には5年間付き合っている彼氏がいる”こともしっかり自覚していた。

だから、”こんな私でも良ければ、これから仲良くしてくれると嬉しいな"だったのだ――


どうしたらよかったのだろう?

俺はどうしたらいいのだろう?

その子は、俺と友達のままずっと仲良くしていたかったと言う。

でもそれは、俺がその子に彼氏がいることを認めた上でのものだ。

俺は、そのことが堪えられなかった。

だから、一番最初にその子に彼氏がいることを知って俺は去ろうとした。

事あるごとにその子に彼氏がいるという事実を目の当たりにすることが俺は堪えられそうになかったから逃げ出した。

でも、それに耐えられなくなったのは俺と友達で居続けたいと願ったその子の方だった。

だから、その子は俺と友達でいたいとメールを送った。

それが発端で俺は、その子ともっと親しくなりたい――その子の彼から略奪して自分のものにしたいと思うようになった。

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