第9話 死ぬことができないという希望

結局、俺はその時死ぬことができなかった。

死ぬことからも逃げるしかできなかった。


だからなのか、その日を境に自分の心の中に"結局死ねないんだ"という考えが生まれた。

それは諦めや絶望に近かったが、どんなネガティブな感情だとしても死を前にしたら無力なのはある意味希望だった。

だからなのか、俺はその日を境にアルバイトを探し、学校にも行くようになり、就活もぼちぼち始めた。


"どんなに嫌でもどんなに死にたくても、結局死ねないんだからやるしかないんだ"

その時の俺はそれだけが原動力だった。

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