第2話 オタク化
俺は深夜アニメを見出すようになり、今まで感じたことのない新しい世界にまんまと魅了されてしまった。
ハルヒ、らきすた、灼眼のシャナ、ゼロの使い魔、ハヤテのごとく等、当時流行っていたコンテンツにどっぷりハマってしまったのだ。
俺は昔から何かに熱中してしまうと寝食忘れて没頭してしまう傾向があった。
その為、元々その子との共通点やその子が好きなものを知ろうとして手を出したはずが、いつの間にか自らが完全なオタクになってしまった。
まさにミイラ取りがミイラになった瞬間だった。
なかでも一番の出逢いは高校2年生の時に観た『CLANNAD』というアニメだった。
俺はそれを視聴し、こんなにも素晴らしく感動できるコンテンツがあるんだと元々オタク沼にハマっていたのがCLANNADのせいでさらに全身どっぷりと沼に落ちてしまった。
それ以降、AIR、kanonにハマり、しまいにはコンシューマーのギャルゲにも手を出すようになった。
To Heart2、パルフェ、この青空に約束を、夜明け前より瑠璃色な、リトルバスターズ等など。
その頃の口癖は「タマ姉は俺の嫁!」、「花鳥玲愛は俺の嫁!」、「夏海里伽子は俺の嫁!」だった。
救いようのないギャルゲオタクの誕生である。
あんなに熱中していた音楽もいつの間にかやめていて、バンドも自然消滅した。
そんなこともあってか、俺はギャルゲヒロインたちとのラブラブ生活のおかげでだいぶその子を意識する頻度を減らすことができた。
今考えると、オタク趣味に熱中したのは単なる逃げや現実逃避というわけではなかったと思う。
本当に心の底から楽しめていて、だからこそそっちに傾倒できていたのだ。
それが結果的に、その子と向き合う恐怖を楽しさで上塗りできていたのだと思う。
ようするに、その子への想いを抑圧も合理化もしなかった為、俺の中のその子への純粋な好きな気持はずっとそのまま残っていたのだ。
平日は毎日、その子と同じ教室で同じ授業を受けていた。
時には席替えで前の席にその子が座る時もあった。
自分から話しかけることは一切できなかったが、その子から話しかけられる日を妄想し、もし話しかけられたらどんな会話をしようか等をノートの裏にまとめたりもした。
それ程までに、俺はその子のことが大好きだった。
それでも、俺はけっして自ら行動は起こさない――俺はそのように自分の想いを誤魔化し続けて高校3年間を過ごした。
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