子ども部屋一人過ごすは

永杜光理

子ども部屋一人過ごすは

朝が来た喜びの朝巻き戻し舟こいでいる日本の社畜


後輩の結婚を知りただうなずく古びた卵子がまたひとつ逝く


結婚か独身かという選択肢セーブしたまま先送りした


独身は楽しいと胸を張れないが夫の下着を洗う気も無し


子ども部屋一人過ごすは楽なれど日々増してゆく耳鳴りの音


賞味期限切れだと言ってくるアホはまだ見ぬ白髪に裏切られるぞ


若さへのこだわりがない若者はそれこそ若さの特権と知れ


女の道今は多くてありがたいそう言いつつも味蕾に苦味


幸せという名の砂糖菓子は強烈 決まった形がうらやましくなる


「仕事して結婚子育て完璧に」そんなハリボテ誰が作ったか


ひとりこそ至高だという人がいて独身者にも宗派の違い


運命の赤い糸持つアリアドネ 最後は男に捨てられている


花嫁とはカゲロウと同じ命なり翌日生ごみ処理をしている


タレントが入籍したと聞きすぐに年齢確認夜の十二時


激動の時代の女性を調べては良き時代だとチョコを一口


記憶より老けた親の顔を見てふと我にかえり掃除機かける


努力ならそこそこしてきたつもりだがこれはそこそこの人生なのか


炊事して黙食したら片づけて その晩餐にいつまで耐えれる


持っている手札が少なかったかも シワを伸ばして一人納得


休日の昼間パジャマのまま挽いたブラックコーヒーこれも幸せ

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子ども部屋一人過ごすは 永杜光理 @hikari_n821

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