The Fifth Day

昨日の夕焼けが嘘のように朝から雨が降ってきました。

連日東京に呼び出され、当たり前と思ってしまう自分が怖いです。

警視庁に入ると当たり前のように相川さんが出てきました。

あれ、当たり前って何でしたっけ。


「朝からすまんな」

「ホントですよ。眠い」

「ハハハ・・・・・・。別に寝てても良かったんだぞ?」

「仕事で呼び出されたのに寝てるアホが居ますか。それで、今日はどんな用事で?」

「今日はだな、秋山が殺害された」

「はぁ。またですか」

「それで問題があってだな」

「何ですか」

「田河と田島が消えた」

「どういうことですか?」

「そういう事だ。指名手配をかけて今全力の捜査中だがまだ・・・・・・」

「分かりました。探せと言う訳ですね」

「いや。安城には別にやってもらうことがある」

「え?何ですか?」

「おそらくこれもこの事件に関連していて、この近くに大きな研究所があるだろ?」

「あの研究所ですよね?」

「あぁ。そこからサリンが盗まれた」

「・・・・・・よく聴こえませんでしたね。全く。冗談はやめてくださいよ」

「冗談ではないんだなこれが。大事になると非常に困る」

「渋谷のスクランブル交差点でサリンとか考えたくないです」

「普通にヤバい冗談を言わないでくれ」

「何も冗談のつもりは無いんですけどね」


私はそう言いながら早速捜査の方に繰り出すことにしました。

研究所には特に手がかりがなく、サリン約200mlが盗まれていたそうです。

ちなみに、一人につき致死量0.05ml・・・・・・。

ですから約40000人を余裕で殺せます。

自分で考えていて恐ろしくなりました。

先程、相川さんから連絡が来て、秋山の死因はサリンによる毒殺。

サリンの威力を試したという所でしょうか。

先に田河と田島の行方を辿りますか。

おそらくあそこという見当はついているのですが・・・・・・。

慎重に行くとしますか。

私は電話を掛けると相手が出るまで約10コールほど待ちました。


『もしもし』

「お久しぶりです」

『こちらこそ』



その日の正午。

田河と田島の行方が発覚した。

それぞれ今は任意同行で警視庁の方にいるそうです。

出来るだけ速く解決できるように私自ら事情聴取をすることにしました。


「安城。手がかりは掴めたか?」

「・・・・・・ある程度は。ですが、私が想像していることだとするととてつもなく恐ろしいですよ」

「どういうことだ?」

「それは――――――――」


私が想像していることをそのまま伝えると、相川さんは恐怖のあまり一瞬声を固まらせました。


「The End Of Japan、この意味が分かりますか?」

「日本の終わり、だな」

「えぇ。とんでもないことを考えますね、中学生の分際で」

「中学生の考えだからこそ侮ってはいけない。そうではないか?」

「そうですね。変に中二病をこじらせて、宝島を探しに本当に船を出す人と同じくらいこじれてますね」

「安城、それ以上の侮辱は許さん」


相川さんは懐から拳銃を取り出して私の頭に突きつけました。

気の短い警察官だこと。


「何ですか?大の警察官が小学生相手に拳銃ですか」

「もうお前は中学生だろ」

「まぁ、そうですね。では言い換えます。大の警察官が中学生相手に拳銃ですか?」

「言い換えれば良いもんでもないんだよ。とりあえずだな、彼らの事情聴取を頼む」

「任せて下さい」


私は取調室の方へ向かうと、問題になっていた田河と田島の事情聴取をすることにしました。

まずは田河ですね。


「早速ですが、に居たのは何故ですか?」

「あれは・・・・・・。生きてるはずのない稲からメールが届いてこの場所に来いって書いてあったから来たんです」

「稲さんから・・・・・・。メールアドレスとかは同じだったんですか?」

「はい。だから真に受けて。それに正午までは誰にも見つからないようにって書いてあったもので」

「なるほど。そこで誰かにあったりはしてないんですか?」

「会ってないですね。そもそも誰にも会わないようにしろと言う意味で解釈していたので」

「ちなみに、正午まではそこで何を?昨日の夜から居ないみたいでしたけど」

「・・・・・・。ゲームしてました」

「なるほど。最後に1つ。昨日の午後5時〜8時頃、何処にいましたか?」

「確か・・・・・・。家に」

「ありがとうございました」


私はそのまま隣の取調室へ入ると、そこに居た警察官と入れ替わりました。


「さて、早速ですが、に居たのは何故ですか?」

「えっと・・・・・・。フック・・・・・・いえ、福田から連絡があって、もしかしたら生きてるかもしれないから行ったんです」

「メールアドレスは?」

「同じものでした」

「そこで誰かと会ったりしてないんですか?」

「会ってないです。誰にも見つからないでって書いてあったので」

「なるほど。昨日の夜から居ないみたいでしたけど、正午まで何をしていたんですか?」

「ラインしてました。それとゲーム」

「ありがとうございます。最後に1つ、昨日の午後5時〜8時頃、何処に居ましたか?」

「家に。ラインをしてました」

「ありがとうございました」


私は取調室を出ると、現場に行くことにしました。

そういえば、田河と田島が見つかった場所と秋山が殺害された場所って近いんでしたよね。

何か裏がありそうですね。

現場には特に何も無いことは無かったんですけど・・・・・・。

まぁ、特に何も無いです。


「・・・・・・あまりにも少なすぎる・・・・・・」


思わず言葉に出てしまいましたが、手がかりがあまりにも少なすぎます。

日は傾き始め、東からは星の軍勢が登ってきていました。


「・・・・・・。そういう事、何ですか?」


思わず言葉に出てしまいました。

でも、これにはあまりにも証拠が無い。

私は相川さんに連絡して2人は無罪だと伝えると、開放して大丈夫と伝えました。

地図を出すと、私は秋山が殺害された場所と、田河と田島が発見された場所をそれぞれ直線で結んでみました。

こ、これは・・・・・・!!

二等辺三角形。

な、なるほど。

面白いじゃないですか―――――!!



その日の夜、19時。

私はに来ていました。

いや、1回登ってみたかったんですよね。

――――って、遊んでる場合じゃないんですよ。

観光は次の休日にやることにしましょう。

さて、何故私がここに来たかと言うと、先程の二等辺三角形、高さが634mだったんですよ。

それだけで?

と思うかもしれませんが、それだけです。

逆を言えば、ここで何かが起こる確信があるからこそここに居るんです。

一応相川さんに連絡しておきますか。


『もしもし』

「安城です」

『おう。どうした?容疑者達の尾行はしてないが』

「分かってます。一応伝えておこうと思いまして。実は今、私は東京スカイツリーに居ます」

『観光か?』

「そんな訳無いでしょう?実はですね―――――――」

『―――分かった。一応実行する。そして我々も向かう』

「いえ。その必要はありません」

『何故だ?』

「それは終わったら追々説明します」


私はそう言うとスカイツリーの非常用階段を係員の目を盗んで入りました。

そして電話を通話状態にして置きました。

頂上に着いた時にはすっかり満月が登ってました。


「やはり、でしたか」


私は非常階段の扉を閉めるとそう言いました。

振り返ったのは―――田河と田島でした。

共犯者レツだからお互いのことを黙秘していたんでしょうね。


「今すぐ、その手に持っているものをこっちに渡して下さい。それはサリンと言ってその量があれば4万人が殺せるんです」

「へぇ。良いこと聴いたな」


口を開いたのは田河でした。


「あなた達に拒否権はありません。既にこの周りを包囲しているので」

「これさえあれば乗り切れるさ。というか、あんたこそ危ないぞ?」

「何故です?」

「俺がここで撒き散らせばお前が死ぬからだ」

「残念ながら、それを開放してしまえばあなた方も死んでしまいます。ですからそれをこちらに――――」

「やだね」


田島はそう言うと田河からサリンをひったくり、抱え込みました。


「これ以上抵抗するなら武力行使もやむを得ませんが」

「このスカイツリーでか?止めとけ。転落死するぞ?」

「そうでしょうか?」

「あぁ」

「では、私も武力行使に出させて頂きます」


私はそう言うとで威嚇射撃をしました。


「最後の忠告です。渡して下さい」

「これを撃ち抜くとはいい度胸だな」

「そうですか。渡す気はないと。では一回眠ってもらいますか」

「一体何を―――――」


そう言いかけた田河は気を失いました。

それもそのはず。

によって肩を撃ち抜かれていたからです。

私は何も驚くこと無く歩み寄ると、簡単な応急処置をして止血しました。


「言ったはずですよ。武力行使はやむを得ないって」


本当の最後の忠告を下にも関わらず、田島は一向に渡す気配がありません。

そして田河同様、肩を撃ち抜かれて気絶しました。

私はペットボトルに入ったサリンを回収すると、相川さんに確保を伝え、病院に運ばれていきました。



「今日はありがとうございました――――――梨沙さん」

『いいの。久々の狙撃仕事だったから私も楽しかったし』


田河と田島を撃ち抜いたのは私の従姉妹、安城梨沙りささん。


「それでは、また・・・・・・」

『じゃぁね』


電話を切って帰路につくと、正面には煌々と輝く星々、そして南には月が輝いていました。




≪The Fifth Day was Finishing, And To The Next Story...≫

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