The Fourth Day

次の日の昼。

私は連日の疲れで昼まで寝ていました。

我ながら情けないですね。

昨日、事件簿に記録を付けて即寝たわけですから、実質12時間以上寝てましたね。

起きて、朝食(昼食)を食べるべく、準備を進め、丁度食べようと思った所でスマホがなりだした。

誰ですかこんな忙しい時に―――――相川さんですか。


「・・・・・・もしもし」

『安城。大丈夫か?すごい寝ぼけた声してるが?』

「今起きたばかりですよ。それで何ですか?というか朝食を食べたいのでなるべく簡潔に」

『(朝食w)ん゛ん゛〜。えっとな。我々の方でも謎なんだが』

「じゃぁ無理です」

『まぁ、最後まで聴いてくれ。安達容疑者が死んだ』

「またですか・・・・・・。だから言ったんですよ」

『いや、我々も安城の忠告を受けて安達容疑者を警視庁の最上級警戒域に入れていたんだが・・・・・・』

「居なくなってたんですね」

『あぁ。捜索を続ける内に、今日未明、通報があって死亡が確認された』

「・・・・・・面倒くさいです。寝たいです」

『(今起きたんじゃねぇのかよ)えっと、それなら今日中に来てくれ。というか今すぐ現場に来てくれ』

「朝食が食べ終わり次第行きます。現場は何処ですか?」

『メールで送る』


そう言うと相川さんは電話を切りました。

しかも遠いし。

正直、寝ていたいです。



「・・・・・・現着しました」

「おう。お疲れ様。意外と速かったな」

「そりゃ、すぐ出ましたし」


朝食を食べてすぐ出て電車に揺られること約3時間。

遠いんですよ。


「本題に入りましょうか」

「分かった。死亡推定時刻は昨夜11時から3時頃。死因は転落死。通報者に寄れば、裏路地を通って家に帰る途中に倒れているのを発見、通報の流れだそうだ。目撃者は居ない。が、防犯カメラの映像によると、1人でこの建物に入っていく被害者ガイシャを捉えていた」

「他は居ないんですか?」

「前後3時間、建物に出入りした人はいない」

「うわ」

「『うわ』とか言うな。こっちまで面倒くさくなる」

「今回に限っては容疑者ゼロですか」

「あぁ。そして更に面倒なことに、今までの関係者、秋山、田島、田河は3人共近辺には居なかった」

「うわぁ」

「本当だよな。悪いが、徹夜で頼む。今の今まで寝てたんだろ?我々は近辺への聞き込みは既に終わっている」

「マジですか?」

「マジだ。頼んだ。お前しかいない」

「何ですかその表現。ラブコメ始めないで下さい」

「こんな中年のおっさんと中1になる直前の女子のラブコメなんてあってたまるか」

「それもそうですね。では行ってきます」

「頼んだ」


相川さんと言葉を交わした後に、私は現場を考察することにしました。

屋上には特に何もなく、現場の真上のフェンスには等間隔に傷が付いているくらいでした。

次に各部屋ですね。

管理人に案内してもらい、今は使われていない部屋を見ることにしました。

幸いにも、現場の真上の部屋があり、ここから落とされたと踏んでも良さそうです。

ですが、気になることはですね。

普通なら窓を開け放しとくはずなんですよね。

これが仮に自殺じゃないと仮定するなら、随分と几帳面な犯人ですね。

しかし、これが罠という可能性も無きにしもあらずですから警戒しないとですね。


「ん?」


その窓の下に僅かですが血痕が残っていました。

しかも、1ミリに満たない飛沫状の。

説明しましょう。

血痕は血痕でも、1ミリ〜5ミリのものは50センチ以内から、5ミリ〜1センチのものは1メートル以内から、1センチ以上のものは1メートル以上の位置から。

そして1ミリに満たない、今回のようなものですと、拳銃で撃たれたということになります。

ですから、今回で一番注意するべきなのは拳銃を携帯していることですね。


「お嬢ちゃん、そろそろいいかな?私も仕事に戻らないといけないからね」

「あ、はい。ありがとうございました」


管理人に急かされて私はその部屋を出ると、私はもう一度屋上に行きました。

屋上の扉を開けると、風が外から中に流れ込んできました。

フェンスに近づく過程で、足になにか当たったので見ると、釘でした。

釘・・・・・・。

そしてフェンスに付いている等間隔の傷・・・・・・。

他になにか無いか見ると、排水口に引っ掛かって糸がありました。

さて、私なりに聞き込みに行きますか。

その階段を降りている途中に、また1ミリに満たない飛沫状の血痕がありました。

無視しましたけど。



まず、学校に行きましたが、先日の被疑者の田島・秋山・田河は精神状態が不安定のため休んでいるそうです。

まぁ、言われてみればそうですよね。

1人ずつ聞きに行きますか。

3人の家にそれぞれ聞きに行きましたが、特に収穫は無く、安達が星空が好き、ということしか理解できませんでした。

正しくは理解できなかったのではなく、それしか情報がなかったんです。

精神状態が不安定ですからしょうがないといえばしょうがないんですけど。

・・・・・・。

なるほど――――。

一気に4つくらい理解しました。

相川さんに電話をすると、3,4コールで出てくれました。


『もしもし』

「相川さん、解決しました」

『分かった。現場まで行こう』

「あ、その前に。先に。、それからを忘れずに」

『――――マジか。分かった』


順に説明しましょう。

麻向精、とは麻薬のこと。

ラジオ、とは無銭飲食のこと。

マル暴、は暴力団のこと。

最後にレンコンは拳銃ですね。


「さて、どうしますかね・・・・・・。まぁ、いつも通りと行きますか」


相川さんに普通にやると伝えると『正気かよ』って言われました。

何故でしょうね。



相川さんと管理人、それから田島・田河・秋山が揃ったので始めますか。


「今回の事件には幾つかの奇跡が起こって展開されました」

「奇跡?」

「はい。言葉の通り奇跡です」

「まず最初に。安達さんは殺されたわけでは無いんです」

「え?じゃ、じゃぁ」

「そうです。自殺です。その証拠はあまり揉めあった後はない上にフェンスに付いていた傷。これは登ろうとした時に付いてしまったんでしょう」

「なら俺らは関係ねぇな」

「待って下さい」


管理人がそう言って踵を返そうとしていたところを私はすかさず止める。


「何だぁ?」

「俺って何ですか?」

「――――チッ。別に誰でも良いじゃねぇかよ」

「相川さん。田島さんと田河さんと秋山さんを車に」

「了解」


相川さんが3人を乗せたのを確認すると、私は続きを話すことにしました。


「見せてくれたあの部屋。実は拭き取れていない血痕がありましてね。1ミリに満たない飛沫状の血痕があったんですよ。それに加えておそらく麻薬も見えましたし。それから向かいの店がよく食い逃げがでて困ってると言っていたのでそれもですね」

「一体何の話だ?」

「しらばっくれる気ですか?あなたが今この辺を騒がせている暴力団のトップなのは調べが付いてます」

「――――チッ。仕方ねぇな。オメェら。出てこい」


そう声を賭けられた男たちが中からぞろぞろと出てきました。


「暴行に恐喝、無銭飲食、銃刀法違反、それに麻薬及び向精神薬取締法違反。叩けば山程出て来そうですね。楽しみです」

「そう大口を叩けるのも今の内だ。我々のことを知られたからには生きて返せん」

「さぁて、それはどうでしょうかねぇ」


男たちは銃を出す。

数は200と言った所でしょうか。


「相川さん。行けますか?」

「俺はな。眠い安城は行けるのか?」

「えぇ。帰ったら寝ます。100は余裕で。先に言っておきますが、犯罪者の扱いは慣れているので。少々手荒にいかせて頂きますよ」

「何ごちゃごちゃ言ってんだ!!!」


1人の男が撃ったのを合図に、相川さんと共に飛び出しました。


「まずは1人」


一番背の高い男の首を後ろから絞めて倒す。


「あ、あ、あ、あ、アレックス!?」


その男が倒されたことによって周りの士気が一気に落ちたのが目に見えて分かりました。

この機を逃すほど私も甘くないんです!!

一気に距離を詰めると次々に掛かってくる敵をなぎ倒しました。

この地獄は約5分に渡って続き、私達が勝利を収める形で終わりました。


「久々に力仕事しましたね」

「そうだな。まぁ俺は強殺に今日の朝行ってきたからな」

「大変ですね」

「あぁ。どっかの眠り姫とは違う」

「眠り姫ってなんですか眠り姫って」


私は相川さんに事実を伝えると、家に帰ることにしました。

この一連の事件を振り返って、改めて自分という職業の面倒くささに気付かされました。

空を見ると夕焼けにカラスが数羽飛んでいました。




≪The Fourth Day was Finishing, And To The Next Story...≫

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る