第33話:ちょっと秘密のお話をするわね
心太の今回の説明で、忍力について話さなかったことがあるの。
忍力には、もう1つ力があるのよ。
これは、忍者という存在の根幹ともいえる力。
『契約』と呼ばれる力なの。
忍者は忍力を使って、他者と契約を結ぶことが出来るの。
ただ結ぶだけじゃないわよ?忍力によって結ばれた契約は、必ず実行されるの。
例えば、『契約違反した場合には死ぬ』という契約を結べば、必ず契約違反した者は死ぬの。
今は、そんな物騒な契約は禁じられているし、そこまで強い制約を結ぶのはちゃんと修業した忍者でないとできないのだけれどね。
え?それが何で忍者の根幹なのかって?慌てないで。
以前心太が言ったように、現在忍者の中では忍力という力は元々人ならば誰もが持っている力が元になっているというのが定説になりつつあるの。
その力を、忍者の始祖と呼ばれる人が『契約』という力をもって『忍者』という型に落とし込んだそうなのよ。
少し前までは、この話も『だろう』とか『らしい』くらいの可能性レベルだったのだけど、最近になって、ほぼ確かな情報と言われるようになったの。このへんの経緯は、またいつか話してあげるわね。
ちなみに、この『契約』についても理事長は知っていたわ。
まぁ、通常忍者でない者でその存在を知っているのは、忍者に対して依頼をする、一部の地位が高い者だけなのだけど、そういう人たちも、『契約』については知っているの。
忍者の存在を他言しないように、その人たち自身とも『契約』を結んでいるからね。
だけどおそらく、理事長はそうではない。
自らの力で忍者の存在に気が付いたか、はたまた忍者の誰かがその存在を理事長に話したか。
まぁ、そのあたりは心太も調べているようだし、いつかきっとわかるわよ。
とにかく、忍力にはそういった力があるの。
心太は当初、忍者の話をするうえで生徒や斎藤ちゃんと『契約』を結ぶつもりだったの。
だけど、理事長から待ったがかかったわ。
生徒を縛るのは担任として良くない。それは理事長の役目だ、っていってね。
ちなみにこの話を知っているのは整校長だけ。
斎藤ちゃんは知らないの。この話をした後に呼ばれて、先ほどの『輪を切る』って話になったから。
校長は『契約』の話を聞いて、「契約で人を縛るなどと・・・なんと忍者とは野蛮な存在なのでしょう」なんて言ってたわね。
でもその後に理事長が「あら、この中学校でもあなただけは、それが失言だと分かるはずよ?」なんて言ってたわね。
それを聞いた校長も、心太の視線を気にしつつも理事長に頭を下げていたわ。
理事長の発言がどういう意味なのかは、分からない。
ただ、もしもこれから心太が魔法使いについて聞いたとしても、おそらくその答えを聞くことはできないのでしょうね。
今は、それ以前に魔法使いへの知識がないのなから、まずは基本からしっかりと知る必要があるわね。
あら。心太が魔法使いについて、オリバー先生に聞くみたい。
斎藤ちゃんに聞かないところが、心太らしいわね。
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